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不確定日記(二日酔いに手厚くする)

 2日連続で人がうちに来たので、料理を作った。メニューを考えてメモし、材料に目星をつけて買い物に行くが、売っているものによってメニューを変更し、帰ってから作りながらまたちょっと変えたり、一品増えたり、もともと作るはずだったレシピに足りないものがあって、また自転車で買いに行ったりする。わたしは料理をしている時が一番運動量と頭の回転数が上がるのではないだろうか。さらに部屋の各所も掃除し、花も買う。

 2日連続で酒を飲んだので、3日目はドロンとして過ごした。干し椎茸と梅のスープは二日酔い用に仕込んでおいたもので、そうめんを入れて食べ、歯を磨き、「三体」のドラマを見ていたが、こういう体調で気分の時にやるべきことを思いつく。早めの銭湯。
 徒歩10分の銭湯は日曜日だから開店直後でもそこそこ人がいたが、混んでいるというほどでもない。わざと眼鏡をかけていき、風呂場では裸眼になるので人はほぼ判別できないし文字も読めない。ぬるめの湯に浸かってただぼーっとする。段差も見えないのでそろりそろりと移動して隣の熱い湯にも入ったが、長くは浸かれなかった。サウナは苦手なので、出入りする人たちの肌色が移動する気配だけ何となく見る。上がってフルーツ牛乳を飲んだが、思ったよりも甘かった。

 帰り道の気温はちょうど涼しい。住宅街は道がところどころ折れ曲がり見通しがわるくどこか個室感がある。大通りから遠く、ああこれが「静か」か、と思う。小さい空き地の奥の細い桜の花を犬を連れて立ち止まって見上げている2人が「あれウグイス?」「ウグイスはもっと小ちゃいよ」と言っていた。前に近くでワカケホンセイインコを見かけたのを思い出した。

 血行も気分も良く、そのあとはずっと眠かった。お客さんに出した残りのキーマカレーをごはんにかけて、目玉焼きを乗せて「三体」の続きを観た。世界の危機に、わたしはきっと気がつきもしない。

そんな奇特な