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【対談02】 「日本の糸」が本場イタリアで喜ばれる理由

丸安毛糸では、イタリア・フィレンツェで年2回開催されている世界最大規模の糸の見本市「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」に2017年から出展しています。今回の出展はコロナ禍以降初となる3年ぶり。この出展のためイタリアに行ってきた素材部の片野さんと、汪(わん)さんに、展示会の感想や、現地での出来事を岡崎社長が自らインタビューしました。

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岡崎:
今回の「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」は、2024年のSS(春・夏もの)だったけど、お客様の反応はどうだったの?

片野:
ブースには常にお客様がいる状態で、3日間対応をしていたらあっという間に過ぎていったという感じでした。毎回、うちのブースに限っては春夏向けの方が反応は良いと感じています。

岡崎:
それは素晴らしいね。その中でも、印象に残った接客というとどんなことがあるの?

片野:
合成繊維と言われる化学的な繊維と、ナチュラルな麻や綿を混ぜて作る素材はヨーロッパにはない技術で、そこが「MONTELUCE(モンテルーチェ)」としては今回も最も高い評価をいただきました。

例えば、この「アロンジェ」という糸は、ポリエステルとラミー(麻の仲間)が素材です。この素材から、透けるぐらい細い糸を作る技術は「MONTELUCE(モンテルーチェ)」独自のもの。こういった点は、来場された方々に反応がとても良かったです。

「アロンジェ」の糸見本。

汪:
お客様の中には「普段、合成繊維は使わない」というナチュラル志向のデザイナーもいらっしゃいましたが、そんな方たちにもアロンジェは評判が良かったですよ。

片野:
今日、汪さんが着ているニットに使われているものですよね!
綿100%なのにシャリッとした手触りで、お客様から「今まで見たことない」と反応がありました。

岡崎:
イタリアは、カシミアとか最上級の糸の本場だから、本来は、わざわざ日本からカシミアを買う必要がないんだよね。

だから、うちらが日本から出展して成果を出すには「MONTELUCE(モンテルーチェ)」として個性が出せる、こういう春夏の糸の方が良いのかもしれないよね。

片野:
はい。「わざわざ日本から買ってでも使いたい」って感じてもらえる素材をいつもラインナップすることが大切ですね。
「ほかにはない素材」というところが1番のポイント。

汪:
あと、“製品サンプル”があることで、お客様へプレゼンがしやすいですし、素材の魅力が伝わると感じました。

岡崎:
ほかのブースは製品サンプルを置いてないんだっけ?

片野:
そんなにないですね。
糸や編み地(糸を編んで作った布)はありますが、うちでは製品が完成したサンプルまで準備してお客様にプレゼンテーションしてます。

製品サンプルを展示しているようす。

岡崎:
日本での展示会だと製品サンプルが欠かせないけど、海外での展示会はそれをやってる企業が少ない。これは、ほかのブースと差別化できるポイントだね。

片野:
そうですね。久しぶりのイタリア出展ということもあったので、いつもより多く製品を作って行きました。お客様の反応が良くて、製品化するまでの相談を受けることができました!

会場でプレゼン中の汪さん。

汪:
お客様がブースに来て真っ先に見るのは、ハンガーではなくて必ず製品。製品から素材を選ぶ方が多かったりしましたね。

片野:
ブースに来た海外のお客様は日本とリアクションが違っていて、良いものは「良い」。Noのものは「No」と、とてもはっきりしています。
見せて1秒ぐらいで反応がかえってきますし、良いものに対する評価には熱を込めてくれます。 
その反応をみることが、とても楽しかったですね。

(つづきます)


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