見出し画像

味は知らないがミルクセーキを作る

元気を出すにはやはり料理。

ということで、今日はミルクセーキを作った。

よりによって、ミルクセーキ。元々のMilk Shakeという名前が、どこぞの誰かが聞き間違ったのか、伝わる時に変化したのか、今のミルクセーキになった。まあ、気持ちはわからなくもない。おそらく田舎のじいばあたちが、DVDのことを”デーブイデー”と発音するそれと同じであろう。

材料はシンプルである。牛乳、砂糖、生クリーム、卵。これだけで良い。
家には生クリームだけがなかったから、買いに行った。スーパーは珍しく人だらけで、生クリームだけ持ってレジの行列に並ぶのはどこか忍びなかった。それでも、牛乳とたらこパスタの素をカゴに追加しただけだったが、一つのカゴに生クリームだけ入れているよりマシである。

まずはキャラメルを作る。砂糖大さじ10。濃いきつね色になるまで火にかける。大学生の料理には、大さじのスプーンなんてものは登場しない。全て目分量である。だから、久々に会った大さじスプーンの大きさには驚いた。他人の子の成長は早いとは、言ったものだ。

思った以上に量を入れた砂糖をとかしていると、べっこう飴のいい香りがしてくる。小学校時代の家庭科の授業を思い出しながら、キャラメルの色をしっかりと確認する。溶け残ってスプーンについているが、まあいいだろう。いい色が付いてきたから火を止めて、生クリームを投入。こちらは大さじ8杯。テンポよくれていく。したらば溶け残ってこびりついた砂糖の塊を、弱火でことこと溶かしていく。

ここで問題が発生。溶け残った砂糖が、なかなか溶けない。どうやら鍋内の水分の量が足りないようだ。そんわけで急遽牛乳を投入。量は適当。ゆーっくりかき混ぜていくと、砂糖たちはちゃんと溶けてくれる。溶け切ったら粗熱をとるため、放っておく。キャラメルとは、少しおさらば。

キャラメルを寝かしつけているうちに、卵の加工をする。今回は、卵を容器にするというオシャレなことをした。たまにオシャレだってしたくなるものだ。卵のてっぺんをフォークの先っちょでコチコチ。1cmくらいの穴を開けたなら、箸で卵の中をぐるぐるとかき混ぜる。食べ物で遊ぶのは、やはり面白い。用意した卵のどちらも、穴から箸を侵入させて、かき混ぜる。トロトロの黄身と白身を出したなら、ミルクセーキのオシャレな器が完成。もちろん、作る全部のミルクセーキはその中に入らない。エコな、インスタ用の使い捨て容器である。卵も殻まで使われて、喜んでくれるといいのだが。

ここまでくると、あとは簡単だ。卵と、牛乳600mlと、キャラメルとをミキサーで攪拌していく。”かくはん”って「攪拌」って書くのね。今でも書ける自信がない。静かな部屋に、機会音が響く。誰もうるさいと言わない環境だから、なんだか心地よく聞こえる。調子に乗って混ぜまくったら、変な泡まで立ってしまった。そんなことはどうでもよくって、とにかくミルクセーキの完成。ろうとを使って、卵のカップに流し込む。あまりは大きめのコップに入れておく。冷やして完璧に美味しくなる。お風呂上がりに最高の一品ができた。

オシャレな響きの料理でも、やってみるものだ。意外とできてしまう。

***

ほぼ初めてと言っていい、甘いもの作りであった。母の鍋に砂糖がこびりつかないようにするところを、一番気を使った。大切な鍋を使い物にならなくしたら、何を言われるかわからない。ドギマギしたが、なんとか砂糖たちはおとなしく溶けきってくれた。彼らには感謝だ。

料理は変な考えを吹き飛ばしてくれる。不安とか、家にいる飽きとか、そう言ったもので霞んだ心を浄化してくれる。加えて甘いものだから、口に入れたら幸せが広がる。オーブンのような設備もいらないから、ミルクセーキは比較的簡単であろう。オススメの一品だ。

籠城の戦いは、この先も長く続いていく。どこまで続くことか。

でも我々にできることは、耐えること。

乗り越えるポイントは、自分自身をコントロールすることだ。あまり凝り固まらず、肩の力を抜くときはしっかりと抜いて。料理はその手段だ。僕は籠城しながら、これからも色々なものを作っていくであろう。


明日もまた、日は昇る。

朝一で残りのミルクセーキを飲みながら、次の料理を考える。

2020.4.10
おけいこさん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?