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WE ARE LITTLE ZOMBIES、効果音の話③

前回の続きです。

自社スタジオで効果音を作り込み、5.1chで確認します。
弊社スタジオの5.1ch環境はベースマネジメントシステムで
劇場システムとは違いがあります。
詳しく書くと、各チャンネルの120Hz以下カットされ、1つのLFEから全て出ます。
このシステムは狭いスタジオにはとても有効なので
自社スタジオはそのようにセッティングされております。

でもこれでは劇場とは聞こえ方が変わってしまうので
弊社プレビュールームには7.1chダイレクトシステムで
劇場とあまり遜色ないシステムを組んでます。
そこで音の感じをチェックします。

今作では、劇場で最大限、音を浴びれるように
色々なチャンネルから主音声を出してます。

この方法は業界的にはタブーとされていて
基本的には前のL、C、Rの3本から主音声を出して、
後ろのLs、Rsは、補助音扱いです。
劇場は広い所が多いので、部屋を音で包む為に補助音扱いなのですね。

タブーな理由は
劇場のスピーカーバランスが場所によってバラバラなので
小さく出るかもしれないし、壊れているかもしれない。
という事からです。

日本の劇場は機材設置時に、業者がチェックを行い
あとのメンテナンスは殆どしません。
なので、スピーカーが壊れている劇場も実際に多く見てきました。

でも、今作では後ろからセリフが聞こえたり
効果音が耳音で聞こえたりと、かなりのギミックを使っている箇所もあれば
ライブシーンは、実際に会場で5.1ch録音した音を使う等
相当マニアックな作り込みになってます。

劇場によっては変わる音作りを、逆に意識して
お客様に楽しんで頂こうという作戦も込めております。

これは自分の経験値を最大限使いレコーディングとミキシングを行いました。

少し自分の経歴に移ります
映画やCMのサウンドデザイナーをしながら、
メジャーアーティストのレコーディング、ミキシングも主業務としております。
その中でライブBlu-rayを多く手がけており、
皆さんが知っているアーティストも多くを担当させて頂いております。
そのような環境に居るので、音楽的アプローチも可能になったという感じです。

この様な環境で、最高に面白いものを作ろうと挑みました。
音作りにかけた日程は3ヶ月くらいです。

自社スタジオでの作り込みが終わり、監督チェックもOKを頂いた所で
日活スタジオへ移動します。
ここは実際の劇場サイズのスタジオで、最終バランスを決め込みます。

各スピーカーへの配置は、自社スタジオで済んでいるので
細かいノイズ除去や、バランスの調整をしました。
この作業に7日間もかけて、細かく調整していきます。

主に、小さい音はより小さく、大きな音はより大きく、
ダイナミックレンジを広げる作業を行い
監督と、劇場で聞く楽しみを最大限作りました。

CGも間に合ってない所があったりしたので
想像で効果音を作った箇所もありました。

主にラストの、へその緒が切れるあたりなのですが
監督からどんな風になるか、言葉で説明を頂き
音を先行して作りました。
そのシーンは、なまなましい音が良いか
多少電気的な音が良いのか、
監督と一緒に何度もテストして方向を決めました。
最終的にどんな音になったかは、劇場でお確かめください。

そんな感じで約3ヶ月かけて作った音、
かなり考え込んで作ってます。

この映画、一度見ただけでは、驚きで終わってしまうと思いますので
自分としては、
1度目はストーリーを感じる、2度目は映像を見る
3度目に音を聞く。
こうすると、最大限楽しめると考えております。

お楽しみくださいませ。

乱文失礼いたしました。

サポート頂けますと、書くスピードが上がります、 皆様是非よろしくお願いいたします。 これからも、より為になる記事を書かせて頂きます。