嬉の里

一級建築士と考える医療介護の場・空間

平成30年8月5日、私もスタッフとして関わらせて頂いた
「O-project」主催のセミナーがありました。
今回は、一級建築士の山口瞬太郎さんをお招きして
「医療介護の場・空間」を医療従事者の方々と考える機会を設けました。
そのセミナーの内容を公開していきたいと思います。

★玉城からの他己紹介
O-project代表の玉城の方から、講演者の山口さんの紹介をして頂きました。
職人としての考え方、現在までに山口さんが設計した建物は、
玉城にとって印象深いものであり、
今回の講演を設けるきっかけになりました。

★講演序盤
山口さんの建物設計までの考え方について話がありました。
山口さん自身、建物の設計は一人でやっている感覚はないとのこと。
一人の考えだけでは限界があり、スタッフなどのいろんな話を聞きながら「この部分は、こうした方がいいですかね?」
「いや、こうした方がいいかもしれない。」等と模索することで、
自分一人では考えられない、上のレベルのものを構築する面白さがある
とのことでした。知力と体力が必要な、ハードな仕事ではありますが、
多くの話を聞けば聞くほど、自身のキャパシティが広がっていくそうです。

★山口さんの設計した建物
講演は、これまで山口さんが設計した建物を素に話を展開していきました。
ちなみに沖縄では、2012年から約1年毎に主要建物の設計に関わっています(前事務所での設計も含む)。
各建物を設計するにあたり、既成概念や慣習にに捉われず、
常に”初めて造る”つもりで「ゼロベースから考える」ことを
モットーとしているそうです。
老人ホームを設計するなら「老人ホームってどういうところなんだろう?」というところから考えて、建物を設計していくのが
山口さんのスタンスであるとのことでした。

●あいレディースクリニック
(前事務所での建造物の為、写真は掲載できません)
外壁には花ブロックを使用し、風通しの良さと柔らかい光が差し込むような造りとなっている。
建物の骨格自体は、上にかけて徐々に細くなっていくものだが、
その部分をあえて可視化できる造りとなっている。
また、中央部分から外側にかけて骨格が徐々に細くなっていく構造により、
中の空間を広くさせる為、オリジナルの空間を造り出すことができている。

●つみきの薬局
(前事務所での建造物の為、写真は掲載できません)
こちらも外壁に花ブロックを使用。
コンクリートと木造が融合したオリジナルの設計となっている。
建物の下部分をコンクリートで造っており、地面から這い上がってくる
シロアリ対策をしている。コンクリートの上部分から木材を使用しており、外壁・内装は木造建物そのもの。台風の多い沖縄の気候にも配慮しており、木造のみだと上が軽くなってしまう為、屋根をコンクリートにすることで
重しにしている。

●中城のクリーニング工場

本来、クリーニング工場は業務用機械の配置等により、
建物の多くの設計は概ね決まってしまっている。
その中で、室内にやわらかい光が入るように壁をデザインしたり、
室内が暑くならないよう、柱の横を窓にすることで、
風が通りやすい設計にした。
上記のような工夫により、
作業している人にとって快適で癒やされる空間を造った。

●南風原の老人福祉施設

今回のイベント会場となった老人福祉施設。
この建物に関しては、規模も大きなものであることから、
設計には丸2年費やした。
設計に携わるにあたり、最初はコンペ形式で7組の中から選ばれて始まったプロジェクトでもあった。
最初は森しかない場所であったが、
元々あるものを活かすことをポリシーとしている山口さんは、
木の一本一本に目印をつけ、残す木と切る木を分ける作業を行った。
実際に作業する人にとっては、いっぺんに木を切ってしまった方が
効率も良く楽だが、会長さんの「森への想い」を受け、
少しでも多くの木を残すために行なった作業でもあった。
その森も今は、やぎやにわとりの住む場所にもなっている。

※詳細は、後ほど投稿予定の「施設見学」の項目でお伝えします。

●首里の二世帯住宅

コンクリートと木造が融合した設計となっている。
二世帯住宅ということもあり、家族の要望がそれぞれあった。
その要望を叶えながらも、
罹患の為入院している身内の方が、帰ってこられるように動線の確保と、
緊急時の搬送にも配慮した動線まで確保している。
家族の生活背景を踏まえながら、
要望以上のことを提供している印象の建物である。


次回は「アンケート内容からの質問」を掲載します!


しゅうじ




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