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No.1198 引っ張るなぁ、もう!

テレビの予告編で心を掴まれた歌の場面を今か今かと待ちわびていました。

それは、4月2日(火)の夜のNHKBS「世界ふれあい街歩き ブラジル音楽の都リオ コパカバーナ&イパネバ」という番組のワンシーンでした。圧巻の町の風情、力強い海、ロマンチックな夕日と渚にたたずむ恋人たちの風景、歌を愛する明るい人々に見入りました。

「イパネマの娘」は、アントニオ・カルロス・ジョビン(トム・ジョビン)が1962年に作曲したボサ・ノヴァの名曲です。その楽曲は、還暦を迎えた今も人々に愛され歌い継がれています。彼は、リオデジャネイロの出身の国民的大スターです。
 
あのシーンはまだかな?いつかな?画面をかぶりつきで見ていました。
コパカバーナの繁華街に先代の店主の遺志を引き継いだ人の経営する音楽喫茶がありました。楽団がにぎにぎしく歌い演奏するのを、大勢のお客たちが立ったまま取り巻くようにして聴き、手拍子足拍子をしながら演奏に応えます。演奏後は、拍手の代わりに指を鳴らして慰労します。夜中に拍手したり大声をあげたりするのは迷惑だという心遣いからです。
 
その観客の中にいた50代から60代と思われる褐色の肌の女性が、
「ここには、人生・芸術・歓喜のすべてがそろっているの。」
と誇らしげに取材ディレクターに話しました。
 
その時です。予告編で聴いて待ちわびたその歌詞が、聴こえてきたのです。
「♪リオは私のために生まれた~」
 
なんて凄いフレーズでしょう!
「リオデジャネイロは、私のために生まれた街だ!」
と誰憚ることなく堂々と歌うのです。いや、むしろ誇り高く歌っているのです。日本人の発想では、生まれにくいキャッチーではないでしょうか。初めは「しょってるね!」と思いましたが、故郷を愛するスケールの大きい心が、私の胸を打ったのだと気づきました。
 
「♪リオは私のために生まれた~」
一体、「私」とは誰なのでしょう?曲名も作者名も分かりませんでしたが、
1.歌の作者(トム・ジョビン?)?
2.サンバ(あるいはボサノヴァ)?
のどちらかを指すのだろうと思います。そして、
「私はリオのために生まれた」とはせずに、
「リオは私のために生まれた」としました。

その発想にシビレまくるのです。情熱の国に相応しい情熱的な言葉。大げさ大仰なセリフが、気障ではなく相応しく思われました。「すごい人?(ブラジル音楽?)もあったもんだ!」と、敬服したい気持ちになりました。
 
もし、その曲名と作者名をご存知の方がおられたら、是非教えて頂きたく思います。NHKの取材クルー、或いは編集者も、ひょっとしたら、同じようにいたく感動したのかもしれません。
 
なぜかって?その言葉とシーンが画面に登場したのは、7:00~7:59までの放送中、最後の最後の7:58頃だったのですから。引っ張るなぁ、もう!


※画像は、クリエイター・角@京都さんの、熱気が伝わるリオのカーニバルの1葉です。お礼申し上げます。