No.621 「リアル、助く?」いえいえ、「デュアル・タスク!」

自慢するわけではありませんが、60歳の定年まで出場し続けた毎年の体育大会教員対抗リレーで、一度もこけなかった私でした。だが、でも、しかし、ところが、それなのに61歳の声を聞き、毎日サンデーになった途端にベッドの隣で「こけちゃった」のです。
 
齢のせいで足が上がらなくなったのだと独り合点していましたが、現実は違いました。原因は、「デュアル・タスク」(二重課題)にあったようです。人は、一つの事をするときには、神経が集中できるのだそうですが、「デュアル」(二つの)「タスク」(仕事)となると、両方を実行するバランスが崩れて、足元が疎かになって転び易くなってしまうのだというのです。
 
例えば、
「ひたひたの味噌汁をテーブルに運ぶ」
「メールを入力したり読んだりしながら歩く」
等、別の何かに「気」を取られる事が加わると「足」を取られる事に繋がるのだそうで、
「特に、加齢は拍車をかけます」
とは筑波大学の某先生の懇切丁寧なる説明でした。
 
言われてみれば、「さもありなん」です。あの日、私は、かかってきた電話に急いで出ようとコーヒーカップを持ったまま立ち上がり、ベッドを避けようとした時にコーヒーが零れそうになって気を取られたその瞬間に、足がもつれてこけたのでした。タキサイキア現象のようにスローモーションとなってぶっ飛びました。
 
「あなたが転んでしまったことに関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ」と言ったのは、アメリカ合衆国第16代大統領リンカーン(1861年~1865年在任)です。

この言葉には、まことに大きな意味があると思います。これから先も、何度も転んでしまう私でしょうが、何を考え、どう立ち上がれるかが、老いの課題のようです。

♪ 飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで、笑って笑って笑って笑う ♭