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No.708 酒よ、お前は決して悪くない!

いきなりの質問で恐縮ですが、お酒はお好きですか?
まだまだ「飲ミュニケーション」の解禁が憚られるコロナ禍下です。しかし、一人手酌で飲む酒は、その季節とも相俟って(気の置けない仲間との盛り上がりには欠けますが)案外、乙なものではないでしょうか。
 
これからご紹介する川柳は、まだ新型コロナの存在を知らず、平和な酒盛りに楽しい話の花を咲かせていた時代の優秀な人々の作品群です。その酩酊世界にお遊び下さい。
 
「飲めば出る 話大盛り 武勇伝」
 
「そこをどけ へべれけ様の お通りだ
 
「『送るよ』と 言わせる為に 酔ったのに」
 
「吉田類 みたいな暮らし 憧れる」
 
「好きなのは 五郎丸より 大五郎」
 
「酒臭さ 見事に消した 加齢臭」
 
「言い訳が 思い浮かんで 押すチャイム」
 
「千鳥足 うっかり妻の 地雷踏む」
 
「お帰りと 俺より低い 妻の声」
 
「出だしから オチまで知ってる その話」
 
「楽しそう 翌朝とっても 苦しそう」
 
「午前様 土下座がオレの ルーティーン」
 
「我が家まで 三歩すすんで 二歩さがる」
 
「酒が好き? いやいや酒が 俺を好き」
 
「酔うまでは それは立派な 父でした」
 
「父と彼 酒が親子に してくれた」
 
「天国も 地獄も 酒に教えられ」
 
特に最後の三句は何度読んでも鼻の奥に来ます。酒のお手柄だってあるのです!避け(?)てばかりいては、勿体ないやら、惜しいやら。とはいえ、呑兵衛さんは心のブレーキが利かないのがご愛敬ですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言います。一人酒とはいっても、ほどほどのお付き合いが宜しいようで…。
 
「熱燗や かゞめたる背に すがる老イ」
久保田万太郎(1889年~1963年)

※画像は、クリエイター・わたなべ - 渡辺 健一郎 // VOICE PHOTOGRAPH OFFICEさんの「コモダル」をかたじけなくしました。壮観ですな!お礼申します。