No.1200 大きな志
お名前に「子」がつきますか?
「昭和に多かった子どもの名前ランキング」にこんな記事がありました。
やはり、女子は圧倒的に「子」が付いていました。私は、1953年(昭和28年)生まれですが、同学年の女子の名前の75%に「子」の字がついていたようです。平安時代など天皇家や貴族の女性の名は、ほとんど「子」がついています。一般の女性に「子」がつくのは、明治時代の後期になってからだそうですが、一つには、上流階級の名前の高貴で上品なイメージが好まれたのではないかと言われています。
「虎に翼」の主人公・猪爪寅子は「ともこ」(名前訓みとして漢和辞典に出ています)と読みますが、父・直言(なおこと)が見合いの席で、説明しています。
ところで「子」には、こんな素晴らしい解釈もありました。いわく、
「一(初め)から了(終わり)まで」
の意味が「子」の字を構成しているのだそうです。「子」がつく名前は陳腐だとか面白みがないとか思われがちですが、どっこい、こんな素晴らしい意味も含んでいたのです。
まさに、寅子は、強い信念を持って実践し、初めから終わりまで女性の生き方や権利についてブレずに生き抜きました。大きな志が込められているのが「子」なのではないでしょうか。尊ばれたい文字です。
猪爪寅子の生まれた1914年(大正3年)は、「甲寅」(きのえとら)です。寅子の実在のモデルである三淵嘉子さんも、1914年生まれです。女性のためにと法律の勉強に心血を注ぎ、「嘉き一生」を貫かれた裁判官でした。
※画像は、クリエイター・わたなべ - 渡辺 健一郎 // VOICE PHOTOGRAPH OFFICEさんの「十二単」の1葉をかたじけなくしました。この装束を召した平安女性も「子」がついたことでしょう。お礼を申し上げます。