見出し画像

No.630 私も馬も肥ゆる秋?

「天高く馬肥ゆる秋」
の言葉が相応しい季節が、訪れようとしています。
 
国語辞書には、
「秋空が高く澄み渡り、馬は良く食べて太る事から、爽やかな秋の好季節をいう言葉」
と説明していますが、もともとの言葉の由来は、大いに異なっているようです。
 
紀元前、中国の北方地帯には匈奴と呼ばれる「騎馬民族」が住んでいました。そこは厳しい寒さの地であり、冬の間は全く食糧が得られません。そこで、匈奴たちは春から夏にかけ馬に十分に草を食べさせ肥えさせておきました。それというのも、秋になり「農耕民族」が収穫した食糧を一斉に南下襲撃して強奪するためです。
 
その出典由来はというと、ネットの親切さんからの情報によれば、唐の詩人・杜審言(645~708年)が前漢時代のことを書いた詩の一節に、
「雲浄くして妖星落ち 秋高くして塞馬肥ゆ」
とあるのに基づいているそうです。古く、前漢の将軍・趙充国(紀元前137年~紀元前52年)が言った言葉だったとされていました。杜審言の詩中にある言葉「妖星」とは、不吉な出来事の前兆を指し、「塞馬」は北方の馬、匈奴の馬のことを指すのでしょう。

つまり、「天高く馬肥ゆる秋」の意味は、
「秋になると北方の騎馬民族たちが馬を太らせ侵略して来るから警戒せよ」
という、農耕民族にとっては「戒めの言葉」だったと言うのです。ヘーボタンです。
 
しかし、「肥ゆる」のは、北方の馬だけではございません。「秋」は「秋(みの)る」でもあり、海の幸や山の恵みが、我が胃袋と満腹中枢を容赦なく攻め、気の弱い私は、あえなく撃沈してしまいます。
 
それでなくても容赦なき我が家の体重計は、「忖度」の言葉を解することもなく、体脂肪率26%超えという「戒めの数字」を液晶表示します。「馬齢」を重ねる私にとって、まさに「馬肥ゆる秋」の到来です。
「ダイエットは、明日から!」
この言葉、今週すでに何回目?

※画像は空下 元(美少女ゲームシナリオライター)さんの「白馬岳」を使わせていただきました。有り難うございます。