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No.1194 優しいウソ

今日は4月1日です。「四月一日」と書いて「わたぬき」さんは、大変珍しい読みですね。「苗字由来ネット」によれば、その苗字の全国順位は94,248位、全国の人数はおよそ10人だとか。群馬県高崎市の地名をルーツにするといいますが、衣替えの綿を抜くのと季節を同じにすることからの命名で、なかなか乙で好きな苗字です。

また、「四月一日」は「四月朔日」とも書き、「わたぬき」さんだけでなく「つぼみ」さんという読み方もあるそうです。福井県にある苗字のようですが、この頃春が訪れ、つぼみが膨らみ始めるからでしょう。各地で桜の開花が報じられていますが、まさに呼応するようです。こちらも「苗字由来ネット」によると、全国順位は20,292位、全国の人数はおよそ220人だとありました。
 
4月1日は「エイプリルフール」として世界的に有名です。由来にはいくつかありますが、それこそ「どれが正しく、どれが嘘?」というようなお話の展開になりそうです。
 
子どもの頃に「日本一の大ウソつき」の話を聴いた記憶があります。
「日本一の大嘘つき大会で優勝した人は何と言ったでしょう?答えは、
『私は、生まれてこのかた、一度も嘘をついたことはありません。』
だったそうだよ!」
 
1953年(昭和28年)生まれの私ですから、1960年~1970年頃ではなかったかと思います。ふと思いついたのは、池田勇人(1899年~1965年)首相のあの名セリフです。
「私は、嘘は申しません。」
 
1960年11月20日の第29回総選挙に先立ち、自民党のテレビコマーシャルで言った言葉だそうですから、私以上の世代の方には、記憶に残っている人もおられることでしょう。池田首相は、この時61歳でした。その言葉が、嘘つき大会優勝の話の元ネタになったのでしょうか?それとも、昔からあったのでしょうか?私は、大変よくできた話だと思います。
 
ところが、小説家三島由紀夫(1925年~1970年)の名言にも、
「精神分析を待つまでもなく、人間のつく嘘のうちで、『一度も嘘をついたことがない』といふのは、おそらく最大の嘘である。」
というのがあることを知りました。名言というのは、出典を明記されないことが多いので、眉に唾をつけながら書いているのですが、どなたか、作品か言葉の生まれた経緯・背景などをご存知であれば、お教えいただきたく思います。
 
いずれにしても、「一度も嘘をついたことがない」というのが「最大の嘘」だという認識は、老若男女にかかわらず、また国の内外を問わず真実なのだろうと思います。
 
♪  折れた煙草の 吸殻で 
 あなたの嘘が わかるのよ
 誰かいい女(ひと) 出来たのね 出来たのね
 
山口洋子作詞・平尾昌晃作曲の中条きよしの歌「うそ」(1974年1月)は、今から50年も前の歌ですが、女性の観察力(勘?)の鋭さに恐れおののいてしまいました。
 
「君のつく 優しい嘘に 励まされ」
   奈良県・60代・女性
「県民だより奈良 うふふ川柳」(2021年5月号)より


※画像は、クリエイター・ゆーじさんの、タイトル「芝桜の向こう側で親父に会える気がして」の1葉をかたじけなくしました。花は人を思い出させてくれますね。お礼を申し上げます。