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No.722 こころときめき、こころなぐさむ

かわいいこころ、やさしいこころ、ときめくこころ、ほほえみのこころ、むねにしみるこころ、りんとしてひびくこころにうたれるのです。
 
「一筆啓上賞」というユニークなコンクールがあります。福井県坂井市の丸岡城に、
「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」
という日本一短い手紙文があることを全国に知ってもらうこと、活字やメールでは伝わらない本物の手紙文化の復権を目指すことを目的として、1993年(平成5年)に始まったそうです。
 
その手紙とは、徳川家康の家臣本多作左衛門重次が陣中から妻に宛てたもので、家を守り、家族を愛し、忠義を尽くすようにとの思いが簡潔に込められています。「お仙」は、後の丸岡城主となる、長男・成重のことだそうです。コンクールのHPから教わりました。
 
毎年、その入賞作品の発表を心待ちにしている者の一人です。2020年と2021年の大賞5作品ずつを紹介します。十人十色の「こころもよう」にしみじみとさせられ、「こころみがき」もさせてもらえるからです。
 
2020年(令和2年)
第28回一筆啓上賞 日本一短い手紙「笑顔」 大賞

「お母さん」へ
「貴方は親切ね。優しくていい
お母さんに育てられたのね。
私は、お母さんの娘ですよ。」
神奈川県・女性・68歳

「夫」へ
結婚式で白無垢綿帽子の私に、
満面の笑みで「リアルオバQ」
って言ったの忘れないから
新潟県・女性・49歳

「自分」へ
説教中、親を笑顔で見つめたら
もっと怒られました。
もう私は天使ではないようです。
神奈川県・男子・15歳

「おかさん」へ
手紙読むのが楽しみと笑顔見せ
言うてくれたけ、切手十枚また買うた。
途中で逝くなや。
岩手県・男性・63歳

「こどもたち」へ
迷ったら、
笑顔がうまれる方へ、
進んで下さい。
栃木県・女性・52歳
 
 
2021年(令和3年)
第29回一筆啓上賞 日本一短い手紙「こころ」大賞

「僕のこころ」へ
怒・悲・思・恵・怠・惑・恩・志・想・恋・・・
いろんな「こころ」が増えていく。
和歌山県・男子・11歳

「お父さん」へ
ぼくのこころ見えるかな。
ふくといっしょで、
時どきはんたいなんだ。
静岡県・男子・8歳

「お母さん」へ
心ってどこにあるのかな?
この前、弟に聞いたら、
「弁当箱の中じゃね?」って言ってた
千葉県・女子・15歳

「乳がんで無くした右胸」へ
君がいなくなった跡地には、
ちょっぴり強くなった心が住んでいます。
大阪府・女性・35歳

「いっぴつけいじょうのしゅうだい」へ
こころかぁ。
むずかしすぎてなんもかけん。
2ねんせいになったらかけるかな。
福井県・男子・6歳

こんな素敵な「日本一短い手紙のコンクール」は、今年29歳を迎えました。

※画像は、クリエイター・そよそよ * translatorさんの、タイトル「20190816 noteヘッダー用イラスト(鳥、手紙)」をかたじけなくしました。味のある優しいタッチに心は「ほ」!お礼を申します。