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No.593 「note」に奏でる「tone」

「世界陸上」は、「世界陸上競技選手権大会」が正式名称だそうです。文字通り、陸上競技に特化した世界一を決める大会です。しかし、世界陸連は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとベラルーシを大会から除外しました。これは、世界大会だったのですか?
 
政治的な駆け引きによる問題解決を狙ったのかと思いきや、コー会長は、
「この戦争を終結させ、平和を回復するためにスポーツも参加しなくてはならない。見過ごせないし、見過ごすべきではない」
と主張しており、政治的な判断ではなく、スポーツを通して平和を希求せねばならないとの立場を明確に主張しました。私は、この発想と勇断を聴いてスポーツの尊厳を思いました。
 
第18回世界陸上2022オレゴン大会は、7月25日に最終日を迎えました。日本での「世界陸上」の顔ともいえる俳優の織田裕二と中井美穂アナは、1997年の第6回アテネ大会以来、13大会、実に25年にも亘ってメインキャスターを務めた名コンビであり盟友です。
 
今大会でMC最後となる2人からのメッセージが放映されました。
中井アナは、25年間の間に様々な記録が塗り替えられるのを「定点観測」できたこと、「遅れてきた青春」を味わえたことなど、広い視野からメディア人らしく振り返りました。
織田さんは、日本人選手が、今後、世界の超人たちに伍するために、
「諦めずに先人たちから反省と言うバトンを引き継いで新たな挑戦を止めなければ、必ず花開く」「地球に生まれて良かった!」
と、25年間で培った哲学的で個性的な名言を残しました。
 
ここで、最後の番組で心に残った二つの話を取り上げたいと思います。
一つ目は、為末大選手が2人のメインキャスターに対して述べたお礼の言葉が、秀逸だと思ったことです。中井・織田というゴールデンコンビの関係性をよくとらえています。
「織田さんが、あまりにも自由な振る舞いをするのを見て、中井さんがいないと成立しないんだなと…、このお2人のコンビで世界陸上が盛り上がっていたんだと実感しました。25年間、有難うございました。」
 
二つ目は、私も大好きなアリソン・フェリックスから日本人と2人に向けられた心あるメッセージです。
「生きていれば、うまく行かないことが必ずあります。全てが完璧ということは無いの。辛いことはたくさんあるけど、それをどう乗り越えて行くか、そこから何を学ぶかが大切。だから、逃げないで頑張って!いいことが、必ず待っているわ!」
「私の旅をずっと見てくれて有り難う。本当に大きな力となりました。」
 
地獄の中から這い上がって復活劇を見せた彼女のコメントを聞いた時、
「私にとっての旅」
とは何だろうと素直に考えさせられました。たしかに30有余年、教壇に立ちました。喜怒哀楽の花が咲いては散って行きました。しかし、定年退職し、生活の基盤が大きく変わりました。来年、古稀を迎える今この時に、私はアリソンから課題を突き付けられたように思うのです。
 
私にとっての旅は、身も心も変化せざるを得ない老境に向かいつつある中、生活の中からどんな自分を創り出せるのかという事です。それは、私自身を観続ける旅なのかもしれません。

「note」は、私の心の声・心の音の「tone」でもあります。