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No.676 コメントの主さんへのお礼状

2020年の12月から息子の指南によってnoteの仲間入りをさせてもらいました。これまで、未知の方々から折あるごとに心あるコメントを頂戴し、こんな爺さんの独り言にお付き合い頂き、又、背中を押していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
 
ところが、コメントで親しく話しかけて下さる方がおられるのに、当方、情報機器の取り扱いに呆れるほど不案内で、お返事する術を知りません。チャットやラインではなく、「コメント可能にして返信不可の創作発表の場」が「note」なのだろうと勝手に解釈して、不義理を働いて来た次第です。
 
しかし、何かの形で気持ちをお伝えできないものかと考え、このような手を思いつきました。コメントを下さった方々には、田舎爺のやることとお笑い下さい。
 
外国の番組に「アメリカズ・ゴット・タレント」(AGT)というのがあります。あのスーザン・ボイルという圧倒的な歌唱力の一般女性を世に送り出した番組で、歌あり、ダンスあり、マジックあり、一発芸あり、市井にいる多種多様な「才能」を発掘する場です。腕に覚えのある老若善男善女が、自らの才能を恃んで、わんさかと押し寄せる人気オーディション番組です。
 
2021年6月にその番組で、全米だけでなく世界を感動の渦に巻き込んだのが女性歌手・ナイトバードです。数カ所の臓器に腫瘍があり、生存率は2%だと言います。医師からは余命半年の宣告を受けたと告白していました。そして、自身の癌との壮絶な闘いをつづった自作曲「It’s OK」を歌いました。その中の一節に涙腺をやられます。
♪ It’s okay, it’s okay
 it’s okay, it’s okay
 If you’re lost
 We’re all a little lost and it’s all right
(いいのよ、いいのよ、
 いいのよ、いいのよ
 あなたが迷うなら、みんな何かしら迷ってるものだし、大丈夫よ)
 
その体からしみ出してくるような美しい歌声と彼女の生き方のスピリットに感動しました。静かに語りかけるのは、自分自身に対してでした。命の期限をつけられた中でも前向きに生きようとする心の叫びが、慟哭ではなく、祈りのようであり、希望の歌声のようでもありました。だらしなく生きている私は、静かに鞭を当てられるように思いました。
 
辛口審査員にしてなるサイモン・コーウェルは、ゴールデン・ブザーで称えました。このゴールデン・ブザーは、各審査員が1シーズンで1度だけ、もっとも気に入った参加者に押すことのできるボタンだそうです。獲得した出演者は、そのまま準々決勝(生放送)に進むことができる名誉なもので、誰もが憧れているブザーです。
 
審査員のサイモンは、彼女への批評を述べている途中で一瞬言葉を詰まらせました。その時、ナイトバードは、
「困難な状況がよくなるのを待つんじゃなくて、とにかく幸せでいようと決めるのが大切なんです」
と語りました。私にゴールデン・ブザーがあったなら、ここで押したいと思いました。日々、怏々としながら生きている私には、特別な女神のように思われました。
 
しかし、医師の見立ての通り、半年後の今年2022年2月19日、彼女は31歳で帰らぬ人となりました。彼女の準々決勝進出も果たせぬ夢に終わりました。全米に、いや世界に愛された彼女は、きっと神様にも愛されてしまったのでしょう。
 
その3日後に孫が生まれ、私は3度目の「爺さん」の称号を頂きました。命の終わりと命の始まりを強く実感させられる2月でした。あれから8ヶ月が経とうとしています。
 
その間にも、私のコラムにコメントを頂戴しました。私は、「仁の音」(仁note)を毎日印刷して生きた証(本音は、ボケ防止)にしておりますが、有り難いコメントもその都度すべて印刷して冊子に加えさせていただき、思い出のよすがとさせてもらっています。いつかは、子供や孫たちもページをめぐってくれるだろうと期待しています。
 
こんな私ですが、お見捨てなく、今後ともよろしくお願い申し上げます。
思いやりの、いみじくて…。

※画像は、クリエイターましろさんの、タイトル「思いを込めろ!心を込めろ!」をかたじけなくしました。今の気持ちにピッタリです。お礼を申し上げます。