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支援事例「専門業務型裁量労働制について」

◆ 企業名 K社
◆ 業 種 情報通信業
◆ 所在地 本島南部
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 非公表
◆ 従業員 10人


【相談】
 当社では専門業務型裁量労働制を導入しているが、労働基準監督署から「専門業務型裁量労働制」の対象とならないという指摘を受けた。専門業務型裁量労働制の対象となる要件などを教えてほしい。


【回答】
 専門業務型裁量労働制とは「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度」である。新商品や新技術の開発、情報処理システムの分析または設計の業務、証券アナリストなど、厚生労働省令で定められた19業種に限り導入することが可能だ。
 相談企業は、情報処理システムの分析または設計の業務に該当すると考え、専門業務型裁量労働制を導入していた。しかし、労基署から対象労働者が早退した際、給与を欠勤控除していると指導を受けたという。
 専門業務型裁量労働制では労働者の業務遂行の手段や時間配分の決定に関し、使用者が具体的な指示をしないこととされる。労使協定で定めた時間で働いたとみなすことから、労働者が労使協定で定めた時間より短い時間で業務を終えた場合でも、その時間を欠勤として給与から控除してはならない。
 逆に労使協定で定めた時間より長く働いた場合も時間外労働としての割増賃金は生じない。仮に労使協定で「1日8時間」と定めた場合、労働者が8時間を超え労働した場合、原則として時間外割増賃金は生じない。相談企業では、対象労働者が1日8時間を超えて働いても時間外割増賃金を支払っていなかった。しかし、早退した際に欠勤として控除していたため専門業務型裁量労働制とは認められず、過去に1日8時間を超えた労働時間に対し割増賃金の支払うよう指導された。
 この状況を是正するため、相談企業に対し専門業務型裁量労働制を適用すべき要件を再度検討してもらった。
 裁量労働制の対象となる労働者と、対象とならない労働者を明確に区分するよう就業規則を見直し、対象とならない労働者には適正に割増賃金を支払うこととして、現在は適法な状況に整備されている。
(県よろず支援拠点コーディネーター・平田勇次)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、電話098(851)8460。または地元の商工会にお問い合わせください。

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