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支援事例「事業承継 経営者保証ネックに」

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令和 2 年 6 月 28 日(日曜日)沖縄タイムス 経済面掲載

国などの支援機関活用

 ◆ 企業名 K社
 ◆ 業 種 建設業
 ◆ 所在地 本島中部
 ◆ 資本金 非公表
 ◆ 創 業 非公表
 ◆ 従業員 17人

【相談】
 相談者は今年で62歳。体力的な衰えを感じ、そろそろ事業承継の準備に着手したいと考えている。後継者候補の長男は経営者として多額の借入金に対する経営者保証も継がながければならず、決断に苦慮している。

【回答】
 相談者は本土の中堅マンションデベロッパーで営業や土地の仕入業務に従事した後、地元に戻り40歳を機に独立開業。地道な営業活動と技術の高い施工管理が評価され、大手ゼネコンからの信頼も厚い。60代を迎え、事業の収益状況はおおむね安定しているが、過去に不渡りを背負わされた苦い経験があり、財務面ではいまだ課題を抱えている。
 当初は、社内幹部への事業承継を考えていたが、その人が1年前に家庭の事情で退職。そこで東京で就職している35歳の長男に打診することにした。長男は承継に一定の理解を示しているものの、妻と2人の子どももいて、本人の一存では決断できない。
 1億円を超える銀行借入金の保証人を引き継ぐこともその大きな要因の一つ。実は親族への事業承継を進める上で、この経営者保証が障壁になるケースは多い。国もこうした状況を重く受け止め、事業承継に焦点を当てた「経営者保証ガイドライン」の特則を策定し、今年4月に運用を開始した。その中で新旧経営者による二重保証の徴求を原則禁止し、金融機関などに対して本特則に即した対応を促している。 
 国の方針をお伝えするとともに、那覇商工会議所1階にある「沖縄県事業承継ネットワーク事務局」を案内した。同事務局は円滑な世代交代に向けた助言など、事業承継に関するさまざまなサポートを無料で行っている公的支援機関である。2020年4月からは、経営者の保証人解除に向けた専門コーディネーターによる新たな支援がスタートし、金融機関との調整役も担っている。相談者は「早速明日にでも問い合わせたい」と笑顔で帰られた。
 後日、状況を確認したところ、経営者保証解除に向けた手続きにも着手し、長男への引き継ぎも大きく前進したようで安心されたご様子。今後、当拠点の税理士のコーディネーターにも加わってもらい①承継時期や株式移転に係る税金対策②後継者育成方法③経営課題の磨き上げ―などをともに考えていくことを提案した。東京の長男ともZOOM(ネットによる遠隔相談)を活用して意見交換をしながら、事業承継に向けて準備を進めていきたいと考えている。
(県よろず支援拠点コーディネーター・大城剛)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、電話098(851)8460。または地元の商工会にお問い合わせください。

詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e11595188.html

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