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まちづくり会社とタッグを組み、ローカルフードの販路を広げる~熊本県五木村ワーケーションルポ(2)

人口1000人の、熊本・球磨地方にある小さな山村の五木村。ここで地元事業者のWebサイト制作に携わりながら、およそ1カ月間を過ごすワーケーションに、東京から参画することになった筆者(詳しくは第1回参照)。このユニークな試みがどのようにして生まれたのか。今回のワーケーションの仕掛け人に取材を申し込みました。 企画を立てたのは、株式会社日添で代表を務める日野正基さんです。新潟県出身の日野さんは大学での学びをきっかけに、地方への移住や創業支援に携わるようになります。同じく地方活性

1000人の村に見る、”あした”の日常~熊本県五木村ワーケーションルポ(1)

“田舎”という言葉を聞いたとき、どのような風景を思い描くでしょうか。 山や海など壮大な自然の中での人の営みか、それとも、ロードサイドにチェーン店が建ち並ぶ姿か。都市開発が進んだ今の日本では、後者のような景色をイメージする方が多くなっているかもしれません。 これから紹介する熊本県の五木村は、明らかに前者の田舎。どこか懐かしさを感じさせる、情緒豊かな景色が広がります。この村にワーケーションで訪れた東京出身・在住の筆者。2021年・初夏時点の五木村の記憶を切り取り、お届けしま

福島で「暮らす」ということ〜移住5年目、ようやく言葉にできました

「福島県」と聞いて、どんなイメージを持ちますか? 私は、特に何もなかったんです。「何もないところ」ではなくて、イメージがわくようなものが何もなかった、あの日までは。 生まれも育ちも、神奈川県横浜市。東日本大震災以前は、神奈川県以外に暮らしたことはなかったし、暮らそうと思ったこともないくらい、「横浜大好きなハマっ子」でした。 でも揺れたんですよね、あの日。私の大好きな横浜も。だからあの日から、東北のことは私にとって他人ごとではなくなりました。 いま私は福島県いわき市に暮

福島に暮らして5年、あの日から8年――私は今の福島をどう伝えたいのか

年が明けて1月になると、福島県内は少し騒がしくなります。3月11日に向けて、いろいろ動き出すからです。イベントの準備や告知、報道関係。 いわゆる、「3月11日に向けたネタ探し」が始まるのです。各社、東日本大震災の被災3県に記者を飛ばし、「震災から●年」に相応しい記事にする「被災者」を探す……。 私はこの時期に、前回のおきてがみにも書いた「冬季うつ」が再発します。この時期に一極集中して、普段より大量の震災の記憶が町に、Webに溢れ出すからです。 直接被災したわけではない、

町と心の変化を見つめてきた私が、この先も忘れたくない「積み重ね」の話

初めまして。ライターのマキタシホと申します。私は2018年8月、結婚を機に、夫の地元である福島県南相馬市に引っ越しをしました。 海に面していることから「浜通り」と呼ばれる地域に位置する南相馬市。移住してきてから今まで、周りの人たちにも恵まれ、楽しく朗らかに生活しています。なかでも、夫が生まれ育った「小高(おだか)」エリアが好きです。仕事に行ったり、友人の家に遊びにいったり、私の生活を豊かにしてくれます。海、山、川と自然豊かで四季の変化を感じられるところもお気に入りです。風は

ローカルの「食」を見つめ、向き合ってきた3年半を振り返る。移住コラムその8

みなさん、こんにちは。2018年9月に愛媛県へ移住し、「cuddle」という屋号で食のローカル地域商社づくりに取り組んでいる、長尾愛里(ながおあいり)と申します。移住した経緯などは、以下の記事をぜひご覧ください。 起業型地域おこし協力隊「Next Commons Lab 西条」のメンバーとして愛媛県西条市に移住し、3年間の任期を昨年無事に終えました。それから半年たち、振り返って感じたこと、今後のことなど、改めて綴りたいと思います。 地域に愛される商品をひとつでも多く作り出

「cuddle」として始動した今のこと −拝啓、西条より。移住コラムその7

おきてがみ編集部の長尾愛里です。 昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。西条市が推進する「ローカルベンチャー育成事業」に参画し、食に関する仕事で起業しています。 移住の経緯については、移住コラム1回目でまとめています。 私の任期は3年。移住から1年半が経ち、折り返し地点に来ました。残りの任期や、任期終了後のことも見据えて、「自分がどうありたいか」「どう活動していきたいか」という思いを表明するために、ついに屋号を決めました。 屋号は「cuddle」です。「カドル」と読

東京から愛媛に移住して1年。新たな生活を通して出会った「10の変化」を振り返る − 拝啓、西条より。移住コラムその6

おきてがみ編集部の長尾愛里です。 昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」で、食をテーマに「Food director」として活動しています。 移住の経緯については、移住コラム1回目でまとめています。普段の活動も、「Next commons lab 西条」noteにて取り上げてくださっています。良かったら合わせてお読みください。 前回のnoteから早4ヶ月。移住してからあっという間に1年3か月もの月日が過ぎました。そこで、

わたしにはわたしのしあわせがあり、あなたにはあなたのしあわせがあるということ −拝啓、西条より。移住コラムその5

おきてがみ編集部の長尾愛里です。 昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、食に関する仕事で起業しようと、起業準備中です。 移住の経緯については、移住コラム1回目でまとめています。 昨年より西条市に住み始め、早10カ月が経ちました。この夏を経験すれば、季節も一回りします。東京から地方に移り住んで、気持ち的には穏やかなことが多いですが、起業準備中という環境もあり、なかなかにせわしなく過ぎた10カ月で

数字の奥にある地方の魅力を追い続けたい―拝啓、西条より! 移住コラム その1

おきてがみ編集部の長尾愛里です。今年の9月から愛媛県西条市に移住しました。「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、フードディレクターとして、食に関する仕事に携わっています。 Next commons labは、「地方に移住し、3年後に起業をして独立する」という目的の元、メンバーが集まった団体です。地域おこし協力隊の制度を活用し採用され、課題を抱える地域で自分の興味や得意分野を生かし、新たな事業を創出していきます。私が居るのは「愛媛県西条市」の拠

ようこそ、「孤独」の世界へ −拝啓、西条より。移住コラムその2

おきてがみ編集部の長尾愛里です。昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、フードディレクターとして食に関する仕事に携わっています。 なぜ移住したの? なぜ愛媛県に? 理由は、移住コラム1回目でまとめております。愛媛県西条市に移住して、早4ヶ月。1番の発見は、私は今「孤独」だということです。 初めて迎える、経営者の「孤独」の気持ち 「Next commons lab」は、地域おこし協力隊の制度を活用

あたたかい鳥の生肉に、心の底からの「いただきます」を −拝啓、西条より。移住コラムその3

おきてがみ編集部の長尾愛里です。昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、フードディレクターとして食に関する仕事に携わっています。 移住の経緯やこれまで感じてきたことは、移住コラム1回目、2回目でまとめています。良ければ合わせてご一読ください。 愛媛県西条市に移住してから、早くも半年が過ぎました。あっという間の半年でした。移住して後悔したと思うことは、一瞬もない半年でした。自分が希望すれば何でもでき

あなたの「おいしい」が、わたしへの対価に変わるときー拝啓、西条より。移住コラムその4

おきてがみ編集部の長尾愛里です。 昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、フードディレクターとして食に関する仕事に携わっています。 移住の経緯については、移住コラム1回目でまとめています。 今回紹介するのは、6月22~23日に主催した「たべものシネマ」というイベントです。このイベントは、「たべもの」をテーマにした映画を上映し、見た後に映画にまつわる料理を食べながら感想を共有するというもの。今回上