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わたしにはわたしのしあわせがあり、あなたにはあなたのしあわせがあるということ −拝啓、西条より。移住コラムその5

おきてがみ編集部の長尾愛里です。

昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、食に関する仕事で起業しようと、起業準備中です。

移住の経緯については、移住コラム1回目でまとめています。

昨年より西条市に住み始め、早10カ月が経ちました。この夏を経験すれば、季節も一回りします。東京から地方に移り住んで、気持ち的には穏やかなことが多いですが、起業準備中という環境もあり、なかなかにせわしなく過ぎた10カ月でした。

10カ月もすると私の存在を知ってくださる方が増えてきて、西条内でも、外でも、私の起業ビジョンや思いについてお話することも多くなってきました。

いかに他人の立場に主眼を置いて物事を考えるか

起業家の卵として、町に変化を生んでいく存在として、活動している今。テーマを「食」の地域商社設立とし、愛媛県西条市で起業準備をしています。「応援しています!」「期待しています!」と応援いただくこともあるのですが、それと同じくらい、「もっとこうした方がいいのでは?」「それで生きていけるの?」と、意見や批判も受けることがあります。

何か行動を起こすということは、変化を起こすことであり、そこには賛成と反対の両方が必ず生まれます。起業家を志す以上、賛成も反対もあることは重々承知で、それを覚悟の上で、自分のやりたいことを実現しようともがいています。

活動していくにあたって、意見や批判を受け入れるのも、自身のレベルアップのためには必要不可欠です。ただ、どの意見を取り入れて、どの意見は取り入れないのか、その取捨選択の軸を決めておくことは大事だと思います。

何か新しいことをやろうとして、この壁にぶつかる人は多いのではないでしょうか。他人からの意見や批判にのまれて、新たな一歩を生み出すことができなかったり、夢を諦めてしまいそうになったりする人もいるのではないでしょうか。

私なりの取捨選択ラインは、「その人の価値観の押し付けでないかどうか」だと考えています。人に対して意見や批判を言う時、その人の価値観に寄り添おうとしているかどうか。その人の価値観を尊敬した上での発言かどうか。これが、私の判断基準です。

当たり前ですが、ひとは一人一人生きてきた環境も違い、考え方も千差万別です。自分の考え方だって、自分の人生という色眼鏡がかかっています。これを全て取り除いて他人の価値観に寄りそうことは不可能です。

ただ、不可能な中でも、いかに他人の立場に主眼を置いて物事を考えるか、相手に伝えるのか。そこには「押し付けないやさしさ」が必要不可欠です。この「やさしさ」がその人の言葉の裏に読み取れた時、その言葉を自分のものにしたいなあ、と私は初めて思うのです。

しあわせの「ずれ」を面白がれる人間に

意見や批判にのみこまれそうなとき、私が大事にしているのは、「わたしにはわたしのしあわせがあり、あなたにはあなたのしあわせがあるということ」です。

私の価値観やしあわせは、私だけしか作れない、私だけのものです。この文章を読んでくださっているあなたの価値観やしあわせも、あなただけのものです。それは、誰にも邪魔できるものではないと思っています。私が「これをやると楽しいな」とか、「これってすごくいいと思う!」と思う価値観は、誰にも馬鹿にはできないものだと思います。

これを心に留めておくようになってからは、気持ちがすごく楽になりました。特に、起業するとなると、全面的に自分の価値観を表現することになります。世の中に晒す自分の価値観を守ってくれる、自分自身の一枚岩になってくれているような気がします。

私の住んでいる愛媛県西条市では、コワーキングスペースがハブとなり、私と同じく起業を志す仲間との出会いが多く生まれています。他のメンバーと、自分のアイデアや今後やりたいことなどをよく話すのですが、互いの価値観や創業ビジョンは面白いほど異なります。

ですが、その「違い」を認めてくれ、私のアイデアに「いいね!」「もっとこうしたら、面白くなりそう!」と共感やアドバイスをしてくれる人がいます。こんな風に、他人と自分の考えの違いを認め、面白がれる人がそばにいる環境のありがたいこと。自分も、人との価値観やしあわせの「ずれ」を楽しんで行きたい、と日々思っています。

毎度恒例の絵日記で、今回のコラムも締めさせていただきます。読んでいただき、ありがとうございました。


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