走ることについて語るときに僕の考えること

今朝初めて皇居一周ランをしてみた。

僕は高校1年生のときのマラソン大会(正式名称は30kmくらいを歩く会だが、運動部は走らされる)のとき、初めてランナーズハイを経験した。約15kmを過ぎたくらいから、突然身体が軽くなり、どんどんスピードが上がっていき、どんなに走っても疲れなかった。5kmくらいは疲れるどころか、走っていることが気持ちよくて気持ちよくて、びっくりした。これが、いわゆるランナーズハイだ。

これが経験したくて、長距離走なんて大変なことをみんなしたがるんだと、そのとき思った。

確かに気持ちよかった。脳内麻薬が発動していた。後にも先にも、あの感覚は経験がない。

高校2年生、3年生の時も同じマラソン大会に参加したと思うが、そのときにはランナーズハイにはなれなかった。そのときの体調にもよるようだ。

基本的にストイックではないので、それ以来、長距離走を走ることはなく、ランニングもしたことがなかった。

今回はランナーズハイを経験したくて皇居ランをしてみた訳はないけど、久々に走って、そんなことを思い出した訳だけれど、きっと皇居を走るランナー達はそういうのが気持ちよくて、走るのだろうなぁと思って、ここを走ることがどんなに気持ちが良いのかなって、自分も経験してみようと思ったのだ。

もう15年以上走っていない鈍った身体ではたった5キロのランですらきつい。東京駅を出発して、北の丸公園を過ぎたあたりでもう辞めたくなった。
実際ぼくはそこで走るのをやめて歩きに切り替えた。
すると、左側に皇居お堀とその周辺に咲く綺麗な桜が目に入ってきた。

とても美しかった。天気も良く、桜も満開だった。確かにここを爽快に走るのは気持ち良いに決まっている。

走れずにだらだらと歩きながら、右や左を見回すと、そこかしこ美しい樹木ばかりだ。

英国大使館近くの皇居外苑の楠木のなんと立派なこと。夏のような影と光の濃淡。

最高裁判所の硬質な建物と桜の相性のよさ。

半蔵門近くのお堀に朝日の反射する水面の美しさよ。

もはや、ぼくは走ることを忘れて、これらの自然や建物の美しさに夢中になっていた。

法務省の明治を想起させる近代的な建築

桜田門の桜。この辺で水戸藩士は尊王攘夷の想いで井伊直弼を刺したのか、とか思いを馳せながら。

桜田門の贅沢な木の使い方よ。いま作ったらいくらかかるのか。笑

東京のど真ん中の自然環境豊かすぎるだろ 笑 とか思いながら。
偉大な知恵者が昔にいたのだろう。都の真ん中には多様性のある森を作るべしと。

有り難くて、二重橋前で思わず手を合わせたくなる。
いや、涙すら溢れた。朝7時半だ。笑笑

このとき、もはや僕にはランナーズハイは必要なくなっていた。
脳内麻薬などなくても、人は幸せになれる、と都会の森は教えてくれた。

こんなに素晴らしい環境を我が国のど真ん中に残してくれた先人達へ感謝の気持ちで、朝から幸せな気持ちで一杯になった。

2019 4 9 皇居 二重橋にて


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