見出し画像

世界ETF450兆円市場動向から見た投資家動向

こんにちは。CFPの梶原真由美です。

 娘の保育園入園から早くも2ヶ月が経過しました。最初は預けるときに泣いていた娘も今では笑顔で手を振って送り出してくれるようになりました。
 毎朝、園に娘を置いて出るときに保育士さん達の「いってらっしゃい!」に励まされ感謝し、今日も仕事を頑張ろうと思うこの頃です。


 さて、みなさんはETFをご存知でしょうか?

 資産運用にETFを活用されている方も少なくないのではないでしょうか?

 ETFという言葉も昨今の日銀量的緩和に基づくETFの買い入れニュース等で耳にすることも増えてきましたが、ETFとは、「Exchange Traded Fund」の略で、上場投資信託のことです。

 その名の通り投資信託が上場しているので、証券取引所が開いている時間はいつでもリアルタイムで値段が動いており、自由に売買出来ます。


 ETFの代表的なメリットにコストが低い事が挙げられますが、一般的な投資信託と比較して、以下の3点の理由から信託報酬が安くなっています。

 ・信託報酬のうち販売会社に支払う部分がない
 ・インデックス運用なので運用コストが低い
 ・現物拠出型のETFは、株式売買コストが不要となる


 先日、世界で6番目のETF・ETPスポンサーであるウィズダムツリー・ジャパン社のセミナーに参加してきました。

ウィズダムツリー・ジャパン
https://www.wisdomtree.jp/

 同社の抱えるETFストラテジスト、渡邊雅史氏はETF市場の分析やETFを用いた運用戦略の立案・提案業務に従事しており、今回の講演でも「ETF市場動向から見た投資家動向」をテーマに語られていました。
 その内容がとても興味深いものだったのでみなさんにもシェアしたいと思います。


■なぜETFで投資家動向がわかるのか?

 世界のETF残高は2017年4月に4兆ドル超えました。
 東京証券取引所の時価総額は約5兆ドルですが、比較するとETFの市場規模の大きさがおわかりいただけるかと思います。
 2005年に425億ドルであったことを踏まえると、年間20%弱も残高を増やしてきたことになります。

 更に今後の予想では2021年には7兆ドルを超えるとされており、今後も残高の伸びは増加していく見込みです。

 また、投資信託残高の推移を追うと、アクティブファンドから流出した資金がパッシブファンドに流入しています。
 更には、パッシブファンドの内、3分の1程度がETFとなっています。

 ETFの市場規模は拡大を続けており、ETF業界の資金フローを追うことで投資家動向を見て取る事が出来ます。


■ETFを通して見る投資家動向(2017年1月~5月)
 ウィズダムツリー・ジャパン渡邊雅史氏

・資金は米国から米国外へ
 米国にネガティブというよりは、新興国に対してのリスクオンか

・欧州株へのフローは復活、ただし今回は為替ヘッジせず
 2015年初頭にも同じ流れはあったが、その際ユーロに対しては為替ヘッジをする傾向があった。今回は欧州株買いのユーロ買いである。

・エマージング株へのフローは堅調
 2016年秋頃から新興国へは資金流入が続いており、現在もそれは続いている。

・日本株はトレンドは良くないが、余力はある
 海外投資家の日本株への資金フローを追うと、日経平均2万円だった2016年4月頃と比べ現在値を戻している今でも半分も戻ってきていない。
 つまり海外投資家の資金が日本株に戻ってくれば日経平均は更に上昇の余地がある。

・米国株の小型・バリュー相場は一服
 2016年~2017年頭に米国小型・バリュー株への資金流入が拡大していたが、現在は落ち着きを見せている。

・ドル建て債券はエマージング+バンクローンの一方で、長期国債にも流入
 米ドル建て債券セクターETFの資金フローを追うと、エマージング債とバンクローンへの流入が拡大している。
 今後利上げ観測があるものの、長期国債への資金流入も拡大中。


■これからの投資戦略
 ウィズダムツリー・ジャパン渡邊雅史氏

・エマージング株へのトレンド注目点はインド。
 インドの改革プログラムは実行中で、行動力もある。

・共和党トレードの復活で米国小型株に注目
 中小小型株は米国内で利益を稼ぐ企業が多い。結果として米国における法人税減税の恩恵を受けやすく、損益期待が大きい。
 とはいえ、安易に小型株を買うのではなく「利益の出ている中小企業」を選別して買っていく必要がある。

・金利リスクをヘッジした米国債券総合ポートフォリオ
 金利上昇に備えた戦略として、ネガティブデュレーションETF(デュレーションがマイナスのETF)を保有することで、デュレーションをほぼゼロにし、イールドを確保するといったポートフォリオを持つことが可能。


 いかがでしたでしょうか?

 特に最後のネガティブデュレーションETFを利用した金利上昇リスクをヘッジする戦略は面白いなと感じました。
 米国の利上げ観測に伴い、2014年頃から登場しはじめたETFだそうです。


 国内市場のETFは未だ商いが薄い為、現状では少々使い勝手が悪いのが残念ですが、もっと国内でもETFが流行すれば私達個人投資家にも、低コストで良質な運用が出来る機会が増えるのではないかと思います。


株式会社マネーライフプランニング
パートナーCFP(R) 梶原 真由美


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?