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誰も見向きもしない気になる銘柄

 出来高が細くなってしまいインパクトに欠ける値動きが続く銘柄には投資家はあきらめの境地となり、出るのはため息ばかりということになり兼ねない。
 3700余りの銘柄の中にはそうした存在に陥ってしまった銘柄も多い。

 業績が停滞し、先行きが見えない中で時価総額が20億円を下回り、投資家の関心が高まらず売りも買いもできずにいる存在感のない銘柄ながらどこかに何がしかの魅力を備えている銘柄を敢えて本日は取り上げてみたい。


1.アルファ(4760)

 ダイヤモンド・ザイではテンバガー銘柄として取り扱われているが全く動きはない。ただ、1620円には2100株の売り、1615円には700株の売り指値が出ている状態。買いは1580円前後に入っているだけで睨み合いが続いている。
 時価総額は約13億円。今8月期の会社側の予想経常利益は2.3億円ながら四季報は1.4億円と下方修正を示唆。中間期の業績進捗が通期見通しに対して37%に留まったことを踏まえての見通しだと見られる。
 これが不人気の一因だと見られるが昨年の株式併合(10株を1株)で株価が高くなった印象があるのも不人気につながっているのかも知れない。

 何も好き好んでこんな品薄で下方修正しそうな銘柄を買う必要はないと言う意見が聞こえてくるが、筆者が注目している同社の新商材、「POPKIT」はヒットの予感がする。これはレインバードという会社がこれまでやってきた事業を同社が譲り受けて新会社POPKITにてビジネス化するもの。
 中小企業で作成するPOPをタブレット端末上でとても簡単に作成するというサービスをもってビジネスの拡大を図ろうと同社は考えている。既にPOPKITのユーザー数は20万人を突破しているようだが、新会社でのサービス開始のアナウンスメントを待つ状況である。

 同社の株価は現在1600円前後。6月25日に株価がついて以降は出来高なし。上場している意味のない銘柄となっているが、誰も見向きもしない状況下で勇気ある方にはそろそろ関心をもって頂きたい。
 今8月期予想一株当たり配当金は60円(年1回)で配当利回りは3.7%。

 今期業績は停滞気味ながら来期は新商品、新サービスの投入で業績浮上の可能性もある。


2.トミタ電機(6898)

 フェライト主力の電子部品メーカー。赤字体質からの脱却を図ろうと中国生産に全面移管させて業容改善を図ろうと試みるが、その矢先に起きた米中貿易摩擦で株価はまったくの不人気状態。
 株価は1250円の売りと1205円の買い指値が睨みあって成立しない状態。1250円で時価総額は8.3億円となるが自己資本は34億円。今1月期の予想経常利益は50百万円と黒字転換(前期は1億15百万円の赤字)を見込むが投資家は見向きもしていない。
 鳥取に本社を置く企業で地味な存在であることが、この評価につながっていると言えそう。
 それでもPBRは0.24倍、保有する現預金は11億円余りで時価総額を上回る。

 磁気センサー、RFIDに加え、5G、IoTなどのテーマ性にも乗る電子部品メーカーの株価が何らかのきっかけで動き出すこともありうる。


3.マツモト(7901)

 学校の卒業アルバムや一般商業印刷を手掛ける企業。少子高齢化に加え、デジタル化の波で厳しい事業環境の下、赤字経営が続いている。時代に取り残されたような企業の株など投資家は関心がない。
 結果として株価はほとんど成立せず、直近ついた株価は2281円。時価総額は8.6億円という水準。前期は赤字ではあったが100円配当は実施。
 BPSも8719円もあってPBRは0.26倍の水準。配当利回りは4.38%あって今期は経常利益が60百万円の黒字化見込む。
 この計画自体はあまり当てにはならないのかも知れないが一応黒字化する見通し。新規事業としての印刷通販、ギガフォトレージなども取り組んでおり、収益面ではコスト削減に取り組んでいる姿がある。
 株主数はわずか299名。オーナー経営でやりようによっては業績の向上も想定される。

 今期売上は29億円で売上自体は安定しているが、このままでは先がない。
 とは言え、無借金経営で財務内容は比較的良好。このあたりをどう評価するのかではあるが、投げ売りを待つスタンスで臨むのが無難なところか。かつて同社の担当役員と面談したことがあるが事態はあの時よりも悪化していて、このままでは存亡に関わる。まだ余裕のあるうちに次の思い切った一手を打つしか打開の道はない。
 それにしても時価総額8.6億円にはきれいな箱状態の価値があるという見方もできそう。地方銘柄復活の潮流が出れば評価も上がる筈だが・・。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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