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私は黒衣になりたい

こんにちは。鎌田です。

2021/04/05の独白をお届けします。



今日は、私が職員として勤めている大学で入校式があった。

慣れないスーツを来て登校する新入生たち。学校の教訓を盛り込んだ校長の挨拶。「一同、ご起立願います」という入学式か卒業式以外では中々聞かない台詞。

先月大学を卒業したばかりなのに、すっかり大学の雰囲気に当てられてしまった。
懐かしさや寂しさが込み上げてくる。私はもう学生じゃないのだと、改めて実感した。

私は周りの人に助けてもらって、どうにか社会人になることができた。今度は私が学生たちの力になる番だ。
大学の職員として、私はより良い学生生活を送ってもらうための黒衣になりたい。そんなことを考えながら、入校式に参加していた。

元々、裏方に回るのが好きな性分でもある。
自分が楽しむより、遠くから皆が楽しんでいる様子を眺める方が好きなのだ。

なので、入校式で記録係としてカメラを渡された時は嬉しかった。
フィルターを挟んで、私は外側から皆の様子を眺めることができる。この心地よい疎外感。カメラで写真撮るのが好きな人の気持ちが分かった気がした。

また、新入生の検温も担当させていただいた。

↑こういう体温計で検温を行う。
カメラと違って相手から認識はされるが、それでもせいぜい検温装置の一部ぐらいにしか認識されない。

こういう「外側」って感じの仕事をしている時が一番気持ちいい。

こんな拳銃みたいなものを頭に突きつけてるのに、それでも新入生は一向に気にせず体温が測定されるのを待っている。

大丈夫か?やろうと思えば君の鳩尾を殴れるぐらいの間合いまで近づいてるんだぞ?

目の前の検温係がそんなことを考えてるなんて想像もしていないのだろう。
私が理性を保っていて本当によかった。


そんなこんなで、今日は入校式で散々外野の気分を味わうことができた。いい一日だ。

ただ、昼食時に話しかけられたことだけが唯一引っかかる。

いつも大学の食堂で昼食を食べているのだが、今日は「とんてき」というメニューがあったので頼んでみた。
恐らく豚肉のステーキだと思うのだけど、あまり聞き馴染みがなかったので気になったのだ。

で、予想通り豚肉を焼いたものが出てきた。
ステーキかどうかはともかく、普通に美味しかったのでそれは別にいい。

問題は、私が席に着いた時に起こった。


「へぇ〜それがとんてきなんですね」

急に知らない人に話しかけられた。何だ貴様は。


「あ、すみません自分で頼むほどじゃないけど気になって…」

なんかペラペラ喋った後、彼女はどこかに行ってしまった。おい待て貴様は誰だ。名を名乗れ、名を。

…いやまあ分からないではない。確かに「気になるけど自分で頼むほどではない」って時はあるし、たまたま近くにそれを頼んでいた人がいたら見てみたくなるのも分かる。

でも、だからとて話しかけるか?友達が頼んだとかなら分かるけど、初対面だぞ?

いや、もしかしたら初対面ではないのかもしれない。実は彼女は私の同僚で、あちらは新入りである私のことを知っていた可能性もある。

入ったばかりで、一緒に食べる相手がいないんじゃないか。そう気にかけて声をかけてくれたのかもしれない。

だとしたらめちゃくちゃ有り難いんだけど、でも私は君のことを知らないんだよ。
まだ仕事初めて3日目だし、1日目と2日目は就業時間ずっと部屋にこもって一人でパソコン見てた(リモートで研修受けてた)から、同僚の顔なんてほとんど見てないんだ。

もっと言えば、昼休憩の時ぐらい一人でいさせてほしい。
こちとら就業時間中、色んな人と同じ空間にいるだけで何もしてなくても疲れるんだぞ。

…やっぱり誰かに認識されるとろくなことがない。
黒衣になりたいと、改めて強く思った。



本日の独白は以上となります。

それではまた次回。
ご清覧ありがとうございました🧑

ここに文章を書くことで誰かがサポートしてくれるなんて、そんな都合の良い話あるわけないよな…いやまさかそんな…ねぇ?