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delyのモノ創りは躍動する

2019年7月、株式会社Basecamp CEOの坪田朋さん (@tsubotax) がdelyの執行役員/CXOとしてジョインされました。delyのプロダクト領域全体を牽引していただくことになります。坪田さんの経歴は以下の通りです。

livedoor、DeNAなどで多くの新規事業立ち上げやUIUXデザイン領域を専門とするデザイン組織の立ち上げを手掛ける。デザインファーム「Basecamp」を立ち上げてスタートアップの事業創出を支援。2019年7月からdely株式会社のCXOに就任。

坪田さんのCXO就任で、delyのモノ創りがどのように変貌していくのかということを中心に書きたいと思います。

プロダクトも組織も妥協しない

日本を代表するプロダクトデザイン界の方々が様々な企業にコミットすることは徐々に増えてきています。有名なところでいうと、THE GUILD創業者の深津さん (@fladdict) と安藤さん (@goando) でしょうか。

坪田さんのCXOとしてのジョインは、経営しているBasecampに軸足を置きつつではなく、会社ごとジョインするという日本のベンチャー界隈では珍しいケースだと思います。僕も初めて聞いた時は驚きました。同時に、プロダクトも組織も妥協せず、常に最高の選択をしていくdely社としての姿勢を改めて考えることになりました。

FastGrowの記事にもあるように、クラシルは1,800万DLを迎えたプロダクトながら、破茶滅茶な少数精鋭でプロダクト開発をしています。それは、クラシルというプロダクトに対して、デザイナーやエンジニアなど技術者が主体的に動き、自分の範疇に捉われることなく、躍動しているからで、皆がプロダクトを良くしたいと心から考えているから実現できることだと思います。同時に、最高のチームで最高のプロダクト開発をしたいと思っているため、組織創りも妥協したくありません。今はリソース的にきついけれど、その中で成果を出すためにはどうすればいいのかを、プロセス改善やイシューは何かを徹底的に考えて意思決定をしているから、闇雲な採用はしないと考えており、その結果として少数先鋭のチームが構築されています。

デザイン x プロダクトマネージメントの可能性

2019年に入ったあたりから、坪田さんと仕事をする機会が増え、デザインとプロダクトマネージメントの相性の良さを痛感しています。

僕がクラシルのプロダクトマネージャーになってから、どうすればプロダクトを伸ばすことができるのかということを常に考えてきました。様々なプロダクトをみていく中で、ここ数年でtoC向けプロダクトの寿命が短くなっていることや機能的価値のみを提供しているだけでは、すぐにコモディティ化してしまうことを危機感として感じていました。今ほど劇的に変化をしている世の中だからこそ、プロダクト開発もスピーディに変化を歓迎しながらプロダクトを提供していくためには、プロダクトマネージャーという役職が重要性を増していくだろうと思ったのです。

つまり、良さそうなサービスを世に出せば十中八九真似されます。現在では、ミドル〜メガベンチャーにおいてもスピーディにプロダクトをローンチできる組織体制があるので、スタートアップがプロダクト開発を通して"当てる"ためのハードルが上がっているように思います。リソースと資金力 (マーケ戦略と紐づく) はどうしても勝てないです。その中で求められるのが、どこにも負けないスピードでいかにして不確実性を減らしながら進んでいくのかということと、コモディティ化したプロダクトの中でも選んでもらえるブランドをいかにして創っていくのかです。ここにリソースと資金力が合わされば最強になります。

長々と書いてしまいましたが、端的にいうとプロダクトがすぐにコモディティ化して、対消費者のプロダクト寿命が短くなって、不確実性が高い世の中においては、プロダクトマネージメントは急激に重要性を増しています。そこにシナジーが効いてくるのが、デザイナーとしてのスキルセットです。ここで言うデザインとは、抽象的な概念を一気に具体化して見える化するスキルと、ユーザーとの接点をデザインしていくUI/UXのスキルです。UI/UXの話は最後の節に後述します。

不確実性が高い世の中だからこそ、スピーディに意思決定をしてユーザーに対して価値検証をしていくことが求められています。成長フェーズからマネタイズフェーズのプロダクトでは、基本的にはプロダクト開発部以外の組織がステークホルダーとして関わってくると思います。他部署を巻き込んだ意思決定において、見える化してプロジェクトを推進していくことはとてつもなく強力です。よくありがちなのが、関わる人が増えれば増えるほど認識を共有して進めていくことは難易度が高くなっていくので、meetingが多くなる傾向にあります。これを解決するのが、具体的なUI/UXを可視化させてslackなどのコミュニケーションツールで共有しながら、ステークホルダー達の認識を揃えていくことです。例えば、当たり前ですが「今回は〜をこうして、〜をこうしようと思っています」と文字で書くよりも可視化された具体的な情報設計やUIをズドンっと共有した方が、各々の認識がブレずに会議を開いたとしても手戻りが少なく、スピーディに物事を推し進められるからです。基本的には会議は出席する人の時間を合わせたり、事前に認識を揃えていかないとせっかくの時間が本質的ではない話に費やされてしまうことを防ぎます。もしも本質的ではないことでタイムアップしてしまった場合は、意思決定は来週になってしまったり、どんどんスピードが失われてしまいます。

デザイン x プロダクトマネージメントの本質は、抽象的な概念を可視化することによって、非同期的にプロジェクトに関係するステークホルダーたちの認識を揃えて、プロジェクトを推進していく力にあります。もちろん、強いファシリテーション能力など巻き込み力なども必要になってくると思います。

delyのモノ創りはどうなっていくのか

坪田さんがCXOとしてジョインすることで、重要なことは、執行役員としてのロールも持っていることで、経営レイヤーにデザイナーが加わるということです。

ここ数年でビジネスにデザイン視点を加えることの重要性が叫ばれ、デザイナーがビジネス視点を持つことの熱量が高まってきたと思います。僕個人としても、上の書いたプロダクト開発の複雑性が激増してきたという文脈から、プロダクトの成果にコミットしたいと強く思うデザイナーはビジネス視点を持っていかないと淘汰されてしまうのではないかと思っています。ここでいうデザイナーはグラフィックの領域を専門的に扱うのではなく、いわゆるプロダクトデザイナーを意味しています。

delyのようなtoC向けのプロダクトを提供している事業会社では、ビジネスモデルにもよると思いますが、売上をあげつつ長期的なユーザー体験を上げていくことは、とても難易度が高いことです。短期的な売上を上げるためにはユーザビリティを落として、機能を制限すれば良いというか考え方もできますが、それではプロダクトは短命で終わってしまうかも知れません。よくdelyでは「登るべき山」という表現が使われますが、僕らが登りたい山はとてつもなく高いわけです。FastGrowの記事にもありますが、今後delyは食の領域から昇華してライフスタイル全域をカバーしうるプロダクトを世に出していきます。より生活に密着した領域でユーザーに愛され、使い続けてもらえるような本質的な価値を提供できるプロダクトを創っていくためには、ユーザー体験の設計であったり、インターフェースの使いやすさなどはとても重要です。そのために、経営レイヤーに坪田さんクラスのデザイナーが加わることはとてもインパクトがあると考えています。

これからのdelyのモノ創りがさらに躍動していくことに、ワクワクが止まりません。

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