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Vol.5「待てない人々」 byおくたま文庫@奥多摩 





「待つこと」について考えてみる。

哲学者・鷲田清一は「現代は、待たなくてよい社会、待つことができない社会になった。私たちは、意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっとしているしかないもの、そういうものへの感受性をなくしはじめた。」と綴っている。自戒を含め、全くその通りだと思う。対価さえ払えば、好きな時に食べたいものが食べられ、やりたいことができる。そんな不自然で過剰なサービスを消費し続けていれば待てない社会に凋落していくのは当然なのかもしれない。

実店舗営業を終了してから、度々物件のご紹介をいただく機会を頂いた。その都度「ここで再開したら、おくたま文庫のお客様はどう感じるか。」と自問し、見送るうちにとうとう一年が経過してしまった。しかし、その時期がきたら自然と見つかるのではないか、と言う根拠のない、直感のようなものに宥められ、不思議と焦りはなかった。そんな中、奥多摩の知人から一通のメッセージが届く。景観が美しく、立地が最高の喫茶店が惜しまれつつ閉店したらしい。二週間もしないうちに喫茶店のオーナーに会うべく、現地へ出向いていた。


(この後、ご縁をいただき、2023年9月より既述の喫茶店にておくたま文庫を再開できることになりました。)https://note.com/okutamabunko/n/n29376f9d9ef8

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illustration,text /岡村ひろみ
古本と喫茶 おくたま文庫店主、原田治パレットクラブスクール11期生
白洲正子と日本酒とラジオが好きです。