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【保存版】Instagramマーケティングに関する戦略設計ガイドブック ~基礎から応用まで~

こんにちは、ライスカレー製作所の川上(@okyaaaann)です。

弊社では企業向けのInstagramマーケティング支援事業を展開していたり、自社で「シンプルホーム」という住まい・暮らし系のInstagramメディアを運営していたりします(2019年5月現在フォロワー数25万人以上)。カレー事業は一切やっておりません。

今回、企業がInstagramマーケティングを行う際の基礎的な部分から応用的な部分まで、個人的な解釈にはなりますが少し網羅的にまとめてみました。このnoteを読んで「お、これは参考になったな~」と少しでも思ってもらえたら、Instagramマーケティングで困っているお知り合いや友人のSNS担当者の方のお役にも立つかもしれないので、またぽちっとシェアとかしてもらえると嬉しいです。

少々長文となってしまいましたが、少しでもみなさんにとって参考になれば幸いです。

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①Instagramとは

まず共通認識の整理として、Instagramそのものの基本的な部分からいきましょう。

Instagramとは画像・動画共有SNSです。もとは画像加工アプリから始まり(その前にBurbnというアプリからピボットしたのはここではおいておきます)、そこから徐々に機能が拡充していき、画像共有SNS、そして現在の画像・動画共有SNSと変化してきました。

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現在の月間利用者数は全世界で約10億人、日本国内の月間利用者数も2,900万人以上と、画像・動画SNSとしては世界・国内ともにNo,1のSNSです。また、月間アクティブ率84.7%と非常に高い数値を誇っており、非常に多くの方々が日々Instagramを使っていると言えるでしょう。

男女比率は「男性:女性=43:57」と、女性がやや多くはなっていますがほぼ半々に近い数字となっています。また、「年代別の利用率」で考えると10代~20代の若年層が他の年代と比べても高い割合を誇りますが、「年代別の利用者数」で考えると実は30代以上を合算した数のほうが断然多いのも事実です。そのため、これまでの調査リリースやメディアの報道で「Instagram=若い子たちだけが使っているSNS」という認識がみなさんの中であるかもしれませんが、実は「Instagram=30代以上(主に女性)にもよく利用されるSNS」だったりします。

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また、Instagramにはフィード投稿とストーリーズ投稿があります。フィード投稿はタイムライン上に表示され、かつ自身のプロフィールページ上に残ります。ストーリーズ投稿は縦型全画面かつ24時間で消えるという特徴があります。いまこのストーリーズ投稿が非常に活発に利用されており、デイリーでの利用率は70%を誇ります。加えて、ストーリーズ投稿を見て後にオンラインで購入したことがあるのが50%、店舗に来店し購入したことがあるのが31%と、非常に態度変容を強く促すSNSであるとも言えるでしょう。

参照:
https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833
https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%23IGDAYTOKYO&src=tyah

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②Instagramマーケティングで目指すべきこと

Instagramマーケティング、ひいては、SNSマーケティングでは、その活動を行うための目的について議論されることもしばしばあるかと思います。ブランディングのため、購買のため、アカウント運用そのものを目的にしてはいけない、フォロワー数がすべてではない、エンゲージメントの中でもコメント数が大事、サイトにどこまで誘導できるかが重要、など。

これらの議論の1つの道標として参考になるのが、横浜国立大学の鶴見教授の論文です。

分析結果はツイート数が販売実績と正の有意な関係を有していることを示している

この論文の内容をざっくり要約すると「SNS上に口コミが増えることは売上増加に正の相関がある」というものです。つまり、口コミが増えることと売上が増えることは関係してるよ、ということです。

また、こちらは北海道大学大学院(当時)の蘇氏の「ネット・口コミが消費者行動に及ぼす影響のメカニズム -中国の旅行サービスに関する実証的研究-」という論文です。

実証の結果から、情報源との関係、情報源の専門性、情報の顕著性、口コミ・サイトの信頼性と有用性が中国の旅行者のネット・口コミの受信を規定する重要な要素であることがわかった。

本文中にもありますが、あくまで中国の旅行サービスに限定されてはいるものの、実際にSNS上の口コミが人間の購買行動において重要な要素であるといえるのではないでしょうか。詳細を知りたい方はぜひそれぞれの論文をご確認ください。

ただ、ブランドに対してポジティブに言及しない口コミがただ増えたとしても意味がなかったり、売上とSNS施策などの関連性は統計の誤謬もあるとは思っていますが、1つの事実としてこういう研究結果があるんだということを知っていただけると嬉しいです。

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また、こちらの図はGoogle社やP&G社が提唱している概念に私なりの解釈を加え少し改変した、一連の購買行動の流れを表したものです。

人はなにか行動を起こす際、必ず「キッカケ」が存在します。その後ZMOTと呼ばれる情報収集のタイミングがあり、その後FMOT、SMOT、TMOTと続いていきます。そして、TMOTでシェアされた情報は誰かの購買行動のきっかけにつながったり、情報収集の際の1つの判断材料となります。

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Instagramアカウントからのダイレクトな購買のみを主な流入源としている企業を除いて、Instagramマーケティングは主にこの「Trigger」「ZMOT」の部分に位置すると考えています。

Instagram上での偶然の発見や、購買を検討している際の情報収集時に出くわすなど、まるで星座のように、ネットの3次元空間上に自分ゴト化させやすい無数の情報接触点を創出しておくことが重要となってきます。

つまり、あくまで私個人の解釈ではありますが、Instagramマーケティング(ひいてはSNSマーケティング)の本質とは「ブランドに関するポジティブな情報流通量の最大化」であると考えます。

そして、それは企業からだけではなく、むしろユーザーからの情報発信こそが重要です。そのため、ユーザーからのブランドに関する情報流通量を最大化するための施策や仕組みを画策・構築・実行することが、Instagramマーケティングで行うべき重要なことだと僕は考えています。そうすることによって共有された情報がパーチェスファネル全体を強化・拡大につながります。

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SNSマーケティングをしようと社内で決まったとしても、企業のアカウントを運用することはあくまでその1つの手段です。重複になりますが、それよりも大事なことは「どうすればブランドに関するポジティブな情報流通量を増やせるか」「そのための施策や仕組みはどのようなものが考えられるのか」という点です。そのために、たとえばユーザーに対してどれくらいサンプリングを継続的にしていけばいいのか、どれくらいの量をオーガニックの投稿で獲得し、どれくらいの量をInstagram広告で獲得すればいいのかなど、そのバランスの見極めは非常に重要です。

ただ、企業の公式アカウントの運用はその集約場所や旗振り役のようなものとして重要であることも間違いありません。自社ブランド・商品・サービスのカテゴリーや特性、またその領域のInstagramユーザーの行動などを加味しつつ、Instagramマーケティングを実施してみましょう。

参照:
http://www.orsj.or.jp/archive2/or58-08/or58_8_436.pdf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46050
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/59657/1/Wen_Su.pdf
https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-resources/micro-moments/2011-winning-zmot-ebook/

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③Instagramを上手く活用するための1つの前提と5つのポイント

少し前提が長くなりましたが、徐々に本題に入っていきましょう。それではどうすればInstagramマーケティングをうまく回していくのか、そのヒントとなる1つの前提と5つのポイントをご紹介します。

前提「撮影していただき、投稿してもらえるか」

実は、一見この本当に当たり前のようなことが、なぜかアカウントを運用していたりキャンペーンを実施する際にはすっぽりと抜けてしまっている場合があります。
(ふだんInstagramをやってらっしゃらない方からすると少し感覚的に掴みづらい部分もあるかと思いますが、誰かに写真や動画を撮影していただき投稿してもらうことは、みなさんの想像の何倍もハードルが高いと考えていただいたほうが良いです…)

また、これはプラットフォームの特性でもありますが、Twitterであれば文字だけの投稿やRTするだけで良い場合もありますが、Instagramでユーザーから情報を発信してもらうには、写真や動画を撮影し、それをInstagramに投稿してもらわなければなりません。まず、この大前提があるというのを頭に入れておきましょう。そしてその上で大事なのが下記の5つのポイントです。

1:商品/サービスについて投稿してくれそうなユーザーがいるか
2:商品をもっているか、サービスを利用したことがあるか
3:そもそも投稿できるか
4:投稿したくなるか
+α:継続的に投稿することが当たり前となるか

1:商品/サービスについて投稿してくれそうなユーザーがいるか

Instagram上におけるポジティブな情報流通量の最大化がInstagramマーケティングの本質だとすると、そのポジティブな情報を投稿してくれる人がいないと機能しづらくなります。

そもそもInstagram上にあまりいなければうまく機能しないでしょうし、Instagram上にはいるが自社アカウントやタイアップ先のアカウントのフォロワーがいない(少ない)とまた難しいでしょう。

投稿してくれる人はいるか(そしてそれは近いか)、というのは大事なポイントでしょう。

2:商品をもっているか、サービスを利用したことがあるか

また、写真を投稿するにしても、その商品をもっていなかったりそのサービスを一度も利用したことがなければ、投稿したくても投稿できません。

新商品発売記念キャンペーンなどで写真投稿を促すものを見かけるのですが、新商品という特性上多くの人はその商品をもっていないことが想定されます。すると、よほどそのブランドのファンであり、かつ、投稿するメリットが大きい場合を除いて、投稿するためにその商品を購入するという態度変容はなかなかにハードルが高いことが想定されます。

そのため、その商品をもっているかどうか、サービスを利用したことがあるかどうかというのも大事なポイントでしょう。

3:そもそも投稿できるか

「このアプリをDLし1ヶ月間毎日1時間利用してもらい、その感想をInstagramのフィードで投稿してください」
「来週までにトルコのカッパドキアに行って現地の人と仲良くなった写真をInstagramのフィードで投稿してね」
「この告知投稿をスクショしてフィードに投稿してください」

これらは極端な例ですが、たとえば上記のような「そもそも投稿するためのハードルが高いもの」は、どれだけ魅力的なインセンティブを用意したとしても投稿される可能性が低いと言えます。

加えて、企業からすれば写真投稿するだけじゃないかと思いがちですが、現場の人間からするとそれは少々状況が異なります。日々Instagramを使っているユーザーからすれば「え、いきなり○○のテーマに沿った写真を撮影してキャンペーン用のハッシュタグつけて投稿するとかふつうにイヤ…」となりやすいと言えるでしょう。

そもそもこれって投稿できるんだっけ、ユーザーにとってフィージビリティーは十分にあるんだっけ、という問いかけも大事にしたいところです。

4:投稿したくなるか

たとえば、これまで自身のアカウントの世界観を丁寧に大切に育ててきた人からすると、「このキャンペーン告知投稿をスクショまたは外部アプリを使ってフィードに投稿してね」といったものはもう相当にハードルが高いと考えたほうがよいでしょう。自分なりの世界観を持ったユーザーの方々ほどその傾向があると言えます。

これまで年月をかけて育ててきて、オリジナリティ溢れる素敵なアカウントで、いきなり企業色が全開にでるような投稿をしたいと思うでしょうか?

ふだんInstagramを触れていない人ほどこの「投稿に対するハードル」を低く捉えがちなため、ユーザーから投稿してもらいたいと考える際には「この企画で投稿してもらったときに、投稿するユーザーやそれを見るフォロワーにとってもプラスとなるものか」というあたりまで配慮して企画に落とし込めると良いでしょう。

+α:継続的に投稿することが当たり前となるか

カテゴリーや業種によって当てはまらない場合もあるため、5つめは+αという形にしています。

Instagramマーケティングをするにあたり、ユーザーからの投稿数が増えることが事業にとってポジティブな影響を与えるため、いかに日々の投稿の中であったり継続的に投稿してもらえるかは重要なポイントです。

この「習慣化」をいかに作れるか、企業アカウントを運用するにあたっては思考を巡らせたいポイントでもあります。たとえば、ハッシュタグをつけて投稿することになんらかのメリットがあるなどは、企業のInstagramアカウント運用で重要だと言えるでしょう。

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④良質なコンセプトを作るための3つの視点

Instagramマーケティングで大事にすべき考えは、ブランドに関するポジティブな情報流通量の最大化であり、企業のアカウントはその集約場所であり旗振り役であるとお伝えしました。

また、すでにInstagram上に多数の企業アカウントがありますが、その中でも成長しやすい、また、投稿数が増加しやすいアカウントがあるのも事実です。この差が発生するのはなぜなんだろうと色んなアカウントを見て比較していくうちに、伸びやすいアカウントはそのアカウントそのもののコンセプト設計が優れているケースが多いのではないかと考えるようになりました。

そして、その良質なコンセプトを作るためのポイントとは「企業視点」「ユーザー視点」「Instagram視点」の3つの視点をもっており、そのバランスが良いものが伸びやすいのではないかという考えに至りました。

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1, 企業視点

ブランドとしてどういうことを伝えたいのか、このアカウントを通じてどういったコミュニケーションを取っていきたいのか、メインターゲットとなる人はどういう人なのか。これらを明確にしていき、コンテンツを見るユーザーにとっても受け取りやすい情報を作っていきましょう。

2, ユーザー視点

企業から伝えたいことがあったとしても、同時にそれがユーザーにとって見たいものなのか、という点は重要です。もちろん細かな商品情報や店舗の営業時間、日頃フォローしているタレント・芸能人・インフルエンサーの方の普段見れない一面など、両者にとってその情報を発信・受信する意義やメリットが存在する情報はあります。

ですが、たとえば1つの商品のプロダクトスペックを365日ひたすら語るアカウントをずっと見たいと思うでしょうか。「このアカウントずっと同じこと言ってるだけだし飽きちゃったな…」と、ユーザーから思われてしまえばオシマイです。ユーザーにとって継続的に閲覧する(してもいい)意義やメリットをいかにして作れるかというユーザー視点も意識しましょう。

3, Instagram視点

Twitterで反響を呼ぶ投稿とInstagramで反響を呼ぶ投稿はやや異なります(もちろんモノにもよりますが)。Twitterではネガティブなコメントがたくさんついているのに、Instagramではポジティブなコメントがたくさんついている、ということも多々あります。ある種これはプラットフォームの特性でもありますので、「この企画・このコンテンツはInstagramという文脈に沿っているか」という部分も考慮しましょう。

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⑤アカウント・コンテンツに付与することが望まれる6つの特性

3つの視点を意識し、良質なコンセプトを設計できたとしましょう。おそらく次に考えるべきことは「なにを投稿していくか」という点かと思います。そして、その際に意識すると良いかもしれない6つの特性があると個人的に考えています。

もちろん、これらの6つの特性を投稿する1つのコンテンツですべて満たしている必要はありません。ですが、これら6つの特性が大いに欠けているアカウントやコンテンツが多くの支持を集めているアカウントはあまり見かけないのも事実です。ですので、支持されやすいアカウントを構築するための一種のチェック項目として、この6つの特性があるか少し参考にしてみてください。

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1, 統一性

利用者数が増大し、投稿数も激増したいまのInstagramでは、ただ画像がキレイなだけでは差別化や独自化は図れません。色であったり、投稿する内容であったり、テイストであったり、そのアカウントひいては1つのコンテンツを見て「あ、○○だ」と気付いてもらえるような一種のフレームやフォーマットを意識的に作り出すことで、アカウントとしての統一性を構築・維持することを心がけましょう。

2, 一貫性

統一性と少し近い考えにはなりますが、ユーザーに対してこのアカウントで体験する価値の一貫性を保つ必要性があります。たとえば、前の前の投稿は20文字くらいの軽い投稿、前の投稿は1,000字くらいあるまぁまぁしっかりした文量だけどとても有益な投稿、今の投稿は5,000字くらいガッツリあり、しかもこれまで出てきてなかった運用スタッフの自分語り、など。

こういった具合に、テイストも文量もトンマナもちぐはぐコンテンツがバラバラ投稿されてしまうと見ているユーザーも戸惑ってしまい、投稿するコンテンツを毎回気持ちよく見てもらうことができなくなってしまいます。そしてそれはフォロワーの離脱を誘発してしまいます。

もちろん、投稿するコンテンツに軸が複数あり、それがこのアカウントの1つのコンセプトであり、すでにユーザーもそれを楽しんでいるという状態であれば問題ないでしょう。ただし、無作為にバラバラなコンテンツを投稿するのではなく、アカウントから提供する体験価値は一貫性を保つよう心がけましょう。

3, 双方向性

SNSは誰かがいて成り立つものです。自分が投稿して誰かがいいね!やコメントをしてくれたり、誰かの有益な投稿を見て自分も試してみたらすごい良かったのでそれを改めて自分のアカウントでも紹介する、など。

企業のアカウントだからといって、企業が一義的に自分たちの言いたいことだけを言ってしまうアカウントは支持されづらいと言えます。それは単なる広告掲載場所です。

アカウントから投稿するのはコンテンツかもしれませんが、その先にいて何らかのアクションを起こしてくれるのは我々と同じ人間です。企業がSNSアカウントを運用する際には、企業とユーザー、そしてユーザーとユーザーという、双方向性のあるコミュニケーションが前提条件のように大切であると捉えましょう。

4, 触発性

その投稿を見て「欲しい」「行きたい」「マネしたい」と思うかどうか、そんな触発性というポイントも重要です。TwitterにはTwitterの良さがありますが、Twitter的な本当に何気ないテキストコミュニケーションの文脈は、Instagramでは少々受けづらい側面があるのも事実です。ストーリーズでそれは解消されつつありますが、やはり軸はビジュアル情報です。

また、画像や動画は文字情報に比べてその情報含有量が多く、1つの投稿で多くのことをビジュアルかつ感覚的に伝えることが可能です。その投稿を見てユーザーが思わず行動を起こしたくなるような、そんな触発性のあるコンテンツを意識して制作できると、ユーザーの継続的な定着にもつながることでしょう。

5, 有益性

ふだんからInstagramを運用されている方にはおわかりいただけるかと思いますが、この有益性という要素はいまのInstagramにとって非常に重要なポイントだと言えます。

重複になりますが、ユーザー数が激増し、投稿数も激増したいまのInstagramでは、単にキレイな写真だけでは差別化や独自化が図れなくなりつつあります。また、自身から積極的にキレイな写真を発信したい層以外の、一般的なマス層も使い始めたことによって「アカウントを継続的にフォローしてまでコンテンツを見る」ための理由・意義・メリットがより重要になってきています。

そのため「この投稿は役にたつな」「ためになるな」「保存してまでまた見返したいな」と思えるような、そんな有益性の高いコンテンツを発信しているアカウントは支持されやすく伸びやすい傾向にあると感じます(ただ画像がキレイなだけより、むしろキャプション(文章)をしっかり書いているアカウントのほうが支持されているケースも多々あります)。

「このコンテンツは保存してまでまた見返したいと思ってもらえるか」ということは、そのコンテンツの有益性を自問自答する上で大事な問いであると言えるでしょう。

6, 共感性

息を呑むほどキレイな写真でたくさんのフォロワーを抱えてらっしゃる方々はInstagramにいらっしゃいます。ですが、いまInstagramで投稿される多くのコンテンツには、どこか「わかるわかる!」「そうなんだよねぇ!」と共感性の高い要素が含まれているものも多々あります。

旦那さんのこと、お子さんのこと、会社のこと、他愛もない毎日のこと。そんな一見ありふれたようなことでも、物理的に身近な人とそういったことについて話したり感情を消化する機会が少なくなりがちな現代では、SNSを通じて同じ環境や境遇の人とコミュニケーションを取ることでその部分を解消している側面があります。

前述の双方向性にもつながりますが、SNSはだれかがいて成り立つものです。画面の向こうにいるのが自分と似たような人であったり、自分のことを聞いてほしい、アクションしてほしいときには、やはり共感性のあるコンテンツが求められているのではないでしょうか。

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⑥プロフィールページで抑えておきたい3つのポイント

Instagramでは、アカウントをフォローするときにはそのアカウントのプロフィールページに訪れるというアクションが必ず発生します。そのため、アカウントをフォローしてもらう確率をあげるためにも、フィード投稿を魅力的に構築しておくのは必須として、プロフィール文章も充実させておくことが重要です。その際に考えるべきポイントは以下の3つです。

1, このアカウントはなにものなのか
2, 私にどんな価値を提供してくれるのか
3, 私はなにをすればさらなるメリットが待っているのか

アカウントに訪れそのプロフィール文章を読むのは本当に一瞬です。そのため、その一瞬でもパッと見でもわかるように意識しつつ、上記の3つのポイントを満たすようなプロフィールページになるよう調整しましょう。

参考例として、短期間で急成長したアカウントや、エンゲージメントが非常に高いInstagramアカウントをいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

参照:
https://www.instagram.com/leanbodyjp/
https://www.instagram.com/alittlehonda/
https://www.instagram.com/sucle_/
https://www.instagram.com/kfc_japan/
https://www.instagram.com/hinatalife/
https://www.instagram.com/simplehome_official/

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⑦ハッシュタグの価値とその選定方法

Instagramにおいてハッシュタグは非常に重要な意味をもちます。たまに「ハッシュタグってそんなに重要なんですか?」というお言葉をいただくときもありますが、簡単に言うと、Instagramにおけるハッシュタグ対策はデジタルマーケティングにおけるSEO対策と同様のものだとお考えいただけるとわかりやすいかと思います(語弊があったらすいません!)。

加えて、実は日本人はハッシュタグ検索を非常に活発に利用する人種であり、世界平均の約3倍もハッシュタグ検索を利用するとのデータもInstagramから公式に発表されています。

Instagramで投稿した際のキャプション(文字情報)はハッシュタグではないと検索に引っかかってきません。誰かがその投稿を再度シェアしない限り、いくら良いコンテンツを投稿していたとしてもハッシュタグをつけていないと、その投稿を見つけてもらうことができないのです。

そのため、より多くの人にそのコンテンツを届けたい、流入してきてほしいと考える場合、ハッシュタグはきちんと選定し投稿につけることをオススメします。では、そのハッシュタグはどのように選定すればいいのでしょうか。その選定の際のポイントが以下の3つです。

1, 検索意図を読み解く
2, 画像とハッシュタグの関連性を見る
3, アカウントのフェーズと照らし合わせる

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1, 検索意図を読み解く

この考えはSEOと同様のものかと思います。人はなぜこの言葉で検索するのか、どういうことを知りたいと考えたのかなど、人が特定の情報を知りたいときにどういう感情でどういう言葉を検索したのか、その検索意図を読み解きましょう。

2, 画像とハッシュタグの関連性を見る

これはどういうことかというと、Instagramの検索では、字面だけを見ると一見似たような言葉でも、検索画面上に出てくる画像が大きく異なっているものが存在します。ここを見抜けるかどうかで大きく変わってきます。

例をあげてみましょう。たとえば「#シンプルホーム」を見てみると、その多くは家に関する投稿が多いと思います。もう1つ、一見字面としては近そうな「#シンプル」というハッシュタグを見てみると、こちらはファッションのコーデだったり物撮り写真だったり人が写った写真などがあがっているかと思います(多少個別最適化がかかっているためブレはあるかと思います)。

つまりざっくりいうと、字面は似ていても検索結果として表示される画像は全然違うものが出るハッシュタグもある、ということです。そのため、仮にお家関連の投稿をした場合「#シンプルホーム」では人気投稿に出れるかもしれないが、「#シンプル」では人気投稿に出れる可能性は低い、と考えられます(ただし、そもそも投稿件数が少ない場合は学習データが少ないのであまり関係がない場合もあります)。

そのため、なんだか文字情報としては似てるから適当にハッシュタグをつけていると、そもそも検索画面に表示されないハッシュタグでぜんぜん露出しないし流入もされない、ということにもつながってしまいます。

「そのハッシュタグで表示されている画像は、自分たちが投稿する画像と関連のある検索結果になっているか」ということは重要なポイントであるため、ぜひ覚えておいてください。

3, アカウントのフェーズと照らし合わせる

Instagramの検索画面はそのアルゴリズムによって個別最適化がなされていますが、単純に投稿件数の多いハッシュタグは1日あたりの投稿件数が多いため、検索画面上から早く流れてしまいやすい特徴があります。

そのため、いま自身のアカウントで投稿する際、1投稿あたりで獲得できる平均的なエンゲージメント数と、その特定のハッシュタグの人気投稿の上部の投稿の平均的なエンゲージメント数のレンジを把握し、そのレンジの中に収まっているようであれば人気投稿の上部に露出することが可能であると判断できます。

つまり、投稿件数が1,000件、10,000件、100,000件のハッシュタグでは、検索画面の上部に出ている投稿のエンゲージメント数とそのエンゲージメント数の獲得時間は変わってくるはずです。

すると、いま1投稿あたり10いいね!なのか、100いいね!なのか、1,000いいね!なのか(そしてそれの獲得に何時間かかるのか)で、つけるべきハッシュタグは変わってきます。そのため、自身のアカウントのフェーズを把握した上で、人気投稿に出れそうなハッシュタグを選定し、段階的に調節していきましょう。

ただし、すべてを満たしている必要はない

ハッシュタグの選定について3つのポイントがあるとお話しました。ですが、ハッシュタグを選定する際に、常にこれら3つのポイントをすべて満たしている必要はありません。

特に、投稿件数が少ないハッシュタグはそもそもInstagram上にも学習データがたまっておらず、検索結果として表示される画像のテイストにもかなりばらつきがあります。そのため、シンプルにエンゲージメント数が高いものが人気投稿の上部に長期間表示されることもしばしば起こります。ですので、常にこれら3つのポイントすべてを満たしている必要はないとお考えください。

余談ですが、アパレルや飲食、旅行や観光領域を中心に、もはやGoogleで検索するよりもまず先にInstagramなどのSNSで検索する行動も定着しつつあります。Instagramの検索も文字を使った検索にはではありますが、テキスト情報をテキスト情報で返すGoogleよりも、テキスト情報をビジュアル情報で返すInstagramのほうが、直感的な検索として好まれるカテゴリーやケースも多々存在します。ビジュアル情報によるノンバーバルコミュニケーションは、容易に世界を越え、そして人々や情報を繋ぎます。

「検索=Google」とだけ捉えず「検索=Instagramのほうが適している場合もある」と頭の片隅においていていただけると嬉しいです。

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⑧Instagramのいまのトレンド

みなさんはInstagramに対してどのようなイメージをもっていますか?少し前だと「キレイな写真」「美しい世界観」などが重要視されたときもありましたが、いまではもうそのコンセプトだけだと受けづらかったりアカウントとして伸ばしづらい側面もあります(もうすでにフォロワー数が多い人は別)。

ではいまのInstagramのトレンドとはいったいなんでしょうか。それは個人的には「ミニブログ化」「日常化」「動画化」の3つではないかと考えています。

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ふだんInstagramを使われてない方からすると想定外かと思いますが、いまInstagramで投稿される文章は驚くほど長文化しています。ただ、単に文章が長くなったというだけではなく、

「とある商品を使ったけどここの部分は良かったけどここの部分はいまいちだったから、私にはあわなかったな~。でもこれが合う方にはすごいオススメです!」
「先日息子が熱を出してしまい病院にいってました。ふだん元気いっぱいな反面、いざ体調を崩している様子を見るととてもツラそうでこちらまでツラいです。。」

など、自身の実体験や感情を詳細に記述している方がとても多くなっています。

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また、24時間で消えるストーリーズ投稿ができるようになったことでInstagramの使い方の幅は格段に広がったといえます。「フィードに投稿するほどではないが(ずっとは残しておきたくないが)どこかや誰かにはシェアしたい」といった塩梅のものはみな総じてストーリーズに投稿しています。

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たとえば「ごはん中」「遊んでる途中」などはストーリーズがよく利用されます。また、そのストーリーズに返信する形でコメントすれば、そこから直接DMに移動しやりとりを開始することも可能です。つまり、LINEなどの外部メッセージアプリを使わずに、Instagram内だけでコミュニケーションが完結しているのです。

加えて、いまInstagramの検索画面には動画の枠がわざわざ大きく表示されています。さらに、そこにはIGTVで投稿されるコンテンツも検索結果として出るようになっていますので、必然的に滞在時間や利用時間が長くなる動画は、Instagramとしても今後推していきたいポイントなのではないでしょうか。

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⑨おまけ:なぜシンプルホームは純粋なアカウント運用のみでここまで伸びたのか?

つらつらと書き綴っていたらこんなに長くなってしまいました。

ですので、ここまで読んでくださった方のために最後のおまけとして、広告費ゼロながらも1年間で10万人、2年間で20万人を超えるフォロワーがついた我々の運営メディア「シンプルホーム」が、なぜここまで伸びたのかについてお話したいと思います。

フォロワーもゼロ、投稿件数もゼロ(いまでは17万件以上投稿されています)、そんな中どうやって伸ばしていったのか、その大きなポイントは主に3つで、1つ目はコンセプト設計、2つ目は価値観の転換、3つ目はハッシュタグの段階的な調整です。

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1, コンセプト設計

シンプルホームを立ち上げた2016年12月当時、Instagram内で住まいに関する情報を発信するアカウントのテーマは大きく2つに分かれていました。

1つはインテリアやモノにこだわり、色としては少々濃いめでウッディ感の溢れる「DIY系」です。もう1つはモノをほとんど持たない「ミニマリスト系」です。

ですが、Instagramを眺めているうちに気付いたのですが、実はInstagram上にはもう1つのトレンドがありました。それはまさに上記の2つの系統の中間のような、モノにはこだわりがあるが、家自体はキレイに整理整頓されシンプルな装いを保った、まさに主婦の王道のような系統です。

そこで、我々はそれを「シンプルホーム」という1つの言葉をかかげ、アカウントを開設し、ハッシュタグを作り(#シンプルハウス や #シンプルルーム というハッシュタグはあったのですが、実は #シンプルホーム というハッシュタグは当時まだなかったのです)、ユーザーのみなさんの素敵な投稿を紹介するメディアを立ち上げました。結果的にそれはユーザーのインサイトをついた、良質なコンセプト設計だったのではないかと考えています。

投稿する写真や動画のコンテンツとしてどれだけ優れていたとしても、それが継続的に運用できなければ、そのアカウントを、ひいては、Instagramマーケティングをグロースさせていくのは難しいでしょう。本当に大切なのはそのアカウントが掲げ体現する、そしてユーザーが受け取る体験そのものである、アカウントそのもののコンセプトなのではないでしょうか。

2, 価値観の転換

2つめの価値観の転換についてですが、その前提として、僕は人の行動原理をつきつめていくとその本質は2つしかないのではないかと考えています。それは「マイナスをゼロにする」か「ゼロをプラスにする」かのどちらかです。

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たとえば、お腹が空いていて(マイナスの状態)、それを満たすためにごはんを食べて満たされた(ゼロの状態)であったり、特に服には困ってないけど(ゼロの状態)、なにか今季の新作が欲しくて良いモノを買えて嬉しい(プラスの状態)、などです。

これは人に解釈のよってゼロがマイナスであったりプラスがゼロであったりもするので一概には言い切れない部分もあるかと思いますが、個人的に人間の行動はこの「マイナスをゼロにする」か「ゼロをプラスにする」かの2つしかないと考えています。

話を戻します。ではなぜシンプルホームが伸びたでしょうか。実はシンプルホームにはこの本質的な人間の行動原理のポイント(価値基準と言い換えてもよいでしょう)をスライドさせたコンセプト設計とコンテンツ制作を組み込んでいます。

先入観的なものでもありますが、家事はある意味「できて当たり前」「できてないのは怠惰な証拠」のような認識や社会的風潮があるかと感じています。つまり、家事という行動は「ゼロをマイナスにする」であると捉えられていると僕は考えました。

これをシンプルホームでは家事を「ゼロをプラスにする」ものとして捉え、家事そのものの価値転換と認識変化を図ったのです。「家事を日々していることはとてもすごい!」「こんなに毎日お部屋をキレイに保つことは本当にすごい!」「お部屋をこんなにオシャレにしているのはすごいセンスがある!」と、シンプルホームでみなさんのお家を紹介するすべてのコンテンツで、みなさんの日々の取り組みそのものを肯定し、共感し、称賛しています。

そのため、普段「できて当たり前」と思われているため、なかなか認められることの少ない取り組みに価値があると伝え続けることによって、多くの人から支持を得る存在となったのではないかと考えています。

3, ハッシュタグの段階的な調整

そして最後はテクニック的な部分にはなりますが、シンプルホームでは1年半ほどは細かくハッシュタグを段階的に調整していました。主な選定方法としては上述のハッシュタグ選定に関するパラグラフと同様のものとなりますが、検索意図を読み解き、画像とハッシュタグの関連性を見つつ、1投稿あたりで獲得できるエンゲージメント数を考慮してちょこちょこ変えていました。

一番がんばってたときは投稿に付与した30個のハッシュタグすべてを1時間ごとにチェックし、どのハッシュタグで何時間くらい人気投稿に出ているのか、またその際他の人気投稿はどうなっているのかを調べある程度の法則性を見つけ、どれだけ多くのハッシュタグで長時間人気投稿に出れるのかを見ながら調整していました。するとそれに比例するかのように、増加フォロワー数は増えていきました。

これは本当に細かい作業ですし、これと同じことをさぁやりましょうと言ってもなかなか難しいことに加え、いまはもうアルゴリズムがだいぶ変わってしまったので、真正面からこの方法で検証を繰り返したとしても少し難しいかもしれません。ですが、Instagramマーケティングにおいてハッシュタグというのは非常に重要ですので、可能な範囲でハッシュタグ選定についてはリソースをさけると良いでしょう。

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まとめ

ここまで読んでくださった方には本当に感謝しかありません。本当にありがとうございます。なんと1万6千字にもおよぶInstagramマーケティングに関することを読んでくださったようです。自社のアカウント運用やInstagramマーケティングにとって参考になるポイントもあった方は、ぜひ明日からでも早速活かしてみてください。

ですが、ここまで書いてあえていいたいのですが、上記を参考にしつつも細かいテクニック的な部分はすべて忘れてしまっても問題ありません。枝葉の部分の細かなテクニックではなく、なによりも一番大切なのは担当者の方自身がInstagramそのものを楽しみつつ、ユーザーの方々と楽しいコミュニケーションを取れることです。目先の数字に囚われてしまい、Instagramに触れること自体がイヤになってしまい距離をおいてしまうのが一番良くない形でしょう。

これまでのテキストコミュニケーションの世界から、新しい時代のビジュアルコミュニケーションの世界をぜひ楽しんでみてください。そこにはきっと、これまでみなさんが思いもしなかったような、素敵な世界が広がっているはずです。

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