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海辺のストルーエンセ 観劇レポ 第一幕

自己紹介が済んだのでまずは最新の観劇記録から。

2月12日、KAAT神奈川芸術劇場公演『海辺のストルーエンセ』の千秋楽を観劇しました。
長くなってしまうので、こちらでは第一幕についてつらつらと書き連ねていきます。
本当はドラマシティ公演前に投稿したかったのにいろいろあってこのタイミングになってしまった

※このレポには個人的な推察やセルフツッコミ、ネタ要素が含まれています。苦手な方がいらっしゃいましたらすみません。

開演前

開演前のステージ

開演5分前になると舞台幕が上がり、スクリーンには海と思われる映像が流れ、波の音が劇場内に響き渡ってました。「海辺の」ストルーエンセというだけあり、この時点で世界観を想起させるな〜と感じました。
そして定刻になるとブザーが鳴り、会場全体が暗転。音楽と共にアナウンス。

「皆様、本日はようこそお越しくださいました。宝塚歌劇団、雪組の朝美絢です。」

この時点で自分はもう泣きそうになる(早い)。贔屓様が開演アナウンスを…!(ほんものの魔法使でもやってましたよ)

「只今より、指田珠子 作・演出、ミュージカル・フォレルスケット 『海辺のストルーエンセ』二幕を開演致します。」

第1場 朝 海辺

アナウンスと共に下手側のセットに座る召使い(白綺華さん)が登場。107期生の方がいきなり歌うのには驚きました。歌上手いですね…!

そして我らがヨハン・ストルーエンセ先生(朝美絢さん)(以後:先生)が登場。先生は「換気で新鮮な空気を」、「ベッドは清潔に保たなければ」と今の時代なら至極真っ当(というかそれができない病院に入院したくない)なことを言ってるのですが、当時は「病院にいたければ病院の決まりに従え」と一蹴。そんな風に言われ続ければ「自分が変えなければ…!」と思うよ。その想いを胸に熱く歌っているように映ったのでチョロいオタクは完全にメロメロに。

先生が決意を固めた後ろでは、愛のない厳しい指導を受け、未来に希望を見出せない幼少期のクリスチャン7世(縣千さん)(以後:陛下)と、それとは真反対に「私、お姫様になって軍隊に入るんだから~!」とまだ幼く何も理解しておらず、将来に希望しか抱いていないカロリーネ・マチルデ(音彩唯さん)(以後:王妃)が登場。
先生の野心、陛下の絶望、王妃の希望。異なるこの3つの心情を対比しつつも重なって、メインテーマを歌い上げるシーンはすごくエモーショナルでこれからの展開を期待させる重要なシーンだったなと終わった今思います。

第2場 ドイツ アルトナの病院

王太后ユリアーネ・マリーエ(愛すみれさん)(以後:ユリアーネ)とグルベア(叶ゆうりさん)の怪しい企みのシーンを経て場面は転換。

先生の個人病院華やかすぎん?もはや舞踏会。
でもって先生のビジュ…

登場シーンを見たぼくの気持ち

イケすぎいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!

はい、もう優勝です。(千鳥)
あんなん貴族様もお忍びで来ますわ。顔目的で。

そこに現れたのは王宮を追放されたイーネヴォルト・フォン・ブラント(諏訪さきさん)(以後:ブラント)とランツァウ伯爵(真那春人さん)。諏訪さんはどんな役も似合うし、真那さんは悪めのお役がよく似合う。にしてもこの二人、息合っていて好きだったな~。

「魔法なんてない」と歌っていたように、先生の今の治療法は、富を得るために行っていて本意ではない。本来は「理性」と「科学」に基づき、貧しい庶民のために治療を行うことが真の狙いなのである。前作と真逆じゃないか!「誰もが魔法使」って言っていたアダム様をどこにやった!(指田先生…さては狙いましたね?好きです)
陛下は飲んだくれのバカになってしまったことでお身体が非常に優れない様子。先生はそれを治療すれば、宮廷から認められ、名声を得ることができ、自分たちはそのような優秀な医者を呼んだという功績が認められ、また宮廷に復帰できると説くブラントたち。その考えに先生は乗っかり、一行はデンマーク郊外へ…。

第3場 デンマーク郊外 酒場

クリスチャン7世イケメンすぎん????

場所は変わり、オッテ(風雅奏さん)とアグネッテ(涼花美雨さん)が営む酒場へ。このシーンを見て自分は、「陛下は酒ばかり飲む無能な陛下ではない」と薄々感じました。酒を飲まずにはいられない苦しい人生、愛への飢え、自己嫌悪…。陽気に飲むシーンのはずが、歌声からそのすべての苦しみが感じられました。もっと彼が愛を受けていれば、先生がいなくてもきっと素晴らしい王だったのでしょう。それがないからこうせざるを得ないのだと感じました。俺は陛下をこんな風にした宮廷の奴らを許さない。
とはいえ酔いすぎで愛人のスサンナ(白峰ゆりさん)にまで手を出していたらダメです。それを決闘で解決しようとする先生素敵♡(このシーンがまさかこの後の重要なシーンと繋がるとは…。)
決闘中におねんねしてしまった陛下の様子を翌日診に行けることになり喜ぶ一j行。それをコンラッド・ホルク伯爵(日和春磨さん)(以後:伯爵)が「今の侍従長は僕ですからね。ブラントくん♪」と嫌みったらしく言ったシーンが大変好きでした。

第4場 王宮 枢密院

ユリアーネの歌声すげえな。

先生が「機械仕掛けの宮廷」と言ってた通り、機械的すぎる。こりゃ変えたくなるわ。うん。ベルンストッフ(奏乃はるとさん)が閣議と言っていたけど、こんなん陛下のサイン会やん。
ここで陛下は開演してからずっと「右腕」を気にしているなとふと気づく。これは一体…?
そして第1場で抱いていた希望をすっかり失って身体的にも精神的にも不健康そうな王妃が登場。明らかに人間不信になっていて氷のように冷たい人間と化していました。まあ、あんな汚い宮廷にいたらね

王妃「皆行かれましたか?」
先生「実にイカれた奴らです」

のやり取りはうますぎて心の中で拍手喝采状態でした。

第5場 A 王宮 王の部屋/B 王宮 庭

先日の約束通り、陛下の様子を伺いに来た先生。そこには、既に別の医者によって血を抜かれて(古い治療法のため先生もおかんむり)ぐったりしている陛下が。そんなことされた後だからまあ機嫌の悪いこと。それを先生は華麗にカウンセリング。
そのなかで、陛下はフリードリヒ2世(一禾あおさん)(一禾さん今作いろんな役やっててすごいな)が憧れと知り、考える方向は同じだと気づいた先生。そうして陛下の心にさらに近づいていくことに成功。さすが先生♡(ちょろいオタク)
陛下が機嫌よくなっていったのに不仲の王妃が現れ一触即発状態に。そりゃ王妃も不健康なるわ。
先生が陛下に「愛を教えるがごとし」の指導をするというが果たして…?

第6場 王宮 劇場

陛下、改心する。

なんということでしょう。劇団員一同曰く、以前の陛下はマナー悪い、無愛想、スサンナにしか拍手しない等々かなりひどい状態だったのが、先生の「治療」(いったい何をしたのだろうか)によって生まれ変わったではありませんか。(ビフ〇ーアフター)
しかも、ぶつぶつ言うロシア大使のフィロゾーホフ(稀羽りんとさん)に対して注意しているではありませんか。さすが私の陛下。
その後行われたサイン会(閣議ですよ)。拷問と出版停止に署名しそうになるも、先生が陛下に声をかけていたとは言え、自分の意思で止めたじゃありませんか。クリチャマ素敵ザマス!
一方、イベント事に参加しない王妃はまたいろんな人から責め立てられて…さすがに見ていてかわいそうでした。

第7場 昼 海辺

そんな風に言われたら海に逃げたくもなりますよ。
そこに先生が現れカウンセリング状態に。
イギリスにいた頃は希望と素敵なことに囲まれていたのが、デンマークでは、古いものと濁った風景しかないこと。そしていい王妃になりたいのに実現できていないことが王妃の中で大きな苦しみに…。
先生も、つい本音が漏れてしまうくらい打ち解けたかと思いきや、完全な打ち解けとはいかず。とはいえ、先生と王妃の距離が近づいてきました。

第8場 王宮 広間

茶ァ!!!!!!

陛下が劇団員とティーパーティー(という名の紅茶ハラスメント、略して茶ラスメント)をしているのだが、陛下の話し方が明らかに優等生である。どうやら先生に「治療」されているのがかなり影響されている模様。劇団員はそれが不満のようで嘆いているのだが、陛下はお構いなし…というわけではなく、我慢をしているようで、ついに怒りのボルテージがMAXになりイェルク(壮海はるまさん)を豪快に投げ飛ばした。ハンス(月瀬陽さん)も言っていたが、それでこそクリスチャン様。
でも、劇団員の1人(役名とお名前忘れた…)が強盗に遭った後、電気を灯そうと提案するなどすっかり王様らしく成長しているな~と感じた。

「今は茶を飲め!茶ァ!!!!!!」
「さあ!今は共に(紅茶を)飲もう!!!!」(投げ飛ばし)

その後ろで、陛下の羽振りが良くなったことに感心しつつ、ピリッとした雰囲気のベルンストッフ、ユリアーネ、グルベア。どうやら先生に対して危機感を感じているようで。
にしてもこの2つの対比、かなり良かったですね…。

第9場 A 王宮 王妃の部屋/B 海辺

王妃が読書していると先生が登場。何勝手に入ってるんですか
「心が鉛のように重い」王妃を軽やかにしようと本を没収。そのまま追いかけっこスタート。最初は普段通りだった口調がだんだん砕けてきて、王宮から海辺に着くころには二人ともヘロヘロに。ここで初めて王妃が心を弾ませていることに気づいた二人。最初は恥ずかしがっていた王妃も開き直ったのか、笑顔を見せるように。それをみて自分も満足顔。(誰)
…とここで、「なりたいあなたになるがいい!」といって王妃は舞台上で強制お着替え。その間、侍女のエリザベート(華純沙那さん)やブラントなどをはじめとした女性陣を中心とした華やかなダンスタイムに。それが終わると、なんと銃を持ち軍服を着た王妃の姿が(幼少期の夢叶ってよかったね)。いや、似合うな。この着替えにはめちゃくちゃ驚きました。
ここでようやく打ち解けた二人。仲良く腕なんて掴んじゃって…。

第10場 王宮 夏至祭の舞踏会

いや。楽しすぎるだろこの場面。

やっぱりここが一番見ていて楽しかったですね
初見の時は「?!?!?!?!?!」って感じだったのですが、何度か見ると「誰でもない、誰でもある」自分を解放して楽しんでいるのが伝わってくる。見ているこっちも踊りたくなっちゃう。
そして王妃が後に発言していたけど、この場所を怖がらず自分を解放しているのも伝わってきてよかったですね。
その後の追いかけっこもすごく楽しそうで見ているこっちもワクワクが止まりませんでした。でも演者さんの疲労もヤバそう

その追いかけっこで優勝した者の願いを百獣の王である陛下が叶えると宣言したところ、先生が優勝。「百獣の王の傷を癒すことただ1つ」が願いと言うのでどんなことを言うのかなと思いきや、まさかの「出版停止と拷問廃止」。その場にいた者たちはフリーズしていたし自分も頭を抱えた。
案の定ユリアーネはけん制するし、ベルンストッフも焦るし、他の者は嘲笑。盛り上がっていた場が一気に冷え込んでしまった。

第11場 海辺

さすがに調子に乗ったことを理解したようで陛下に詫びる先生。陛下はこれ以上はまずいと訴えるが、先生のやる気は消えていなかった。それは王妃やブラントも一緒。そして言った陛下もやりたいことは同じ。4人の向く向きが一つになった瞬間だった。そして第1場と同様にメインテーマを歌うが、第1場の時は全員が異なる心情だったのが、ここではブラントも加えた全員の1つの決意表明のように感じました。しかも皆が明るい表情。この対比も見ていてすごくエモーショナルでした。

第12場 王宮 海辺

王宮では陛下が舞踏会のことを詫びつつ、今後の決意表明。その一環で伯爵がクビとなり、ブラントが侍従長に復帰。そして、秘書官長として先生が就任することに。貴族がざわつく中、ユリアーネも「所詮子どもの遊び」「いつか夢から覚めますから!」と怒りつつも焦りが見える。ベルンストッフ・アンドレアス・ピーター(紀城ゆりやさん)(以後:メガネ)が言う通り、デンマークが変わることを期待させていました。

一方、海辺に残った二人はすっかりお互いを信用しあうように。と思ったら二人の距離が自然に近づきキス。その瞬間、王宮の時間も止まっていました。自分もここで来るか~!とつい口にしそうになりました。そして「自分は何を…?」といった表情を見せる二人。

やる気に満ち溢れた陛下と困惑し真顔になる先生と陛下。この三人を残して第一幕は終わりました。

第一幕 総合的な感想

今回の作品は第一幕と第二幕でかなり雰囲気が異なっていますが、第一幕はクスっと笑えるシーンや華やかなシーン、盛り上がるシーンが多々あり、さらには登場人物の成長や穏やかな関係の構築が見られたため、結構気楽に見れました。第二幕は心臓破裂するかと思いましたが。
そして、外箱ということもあり何役か兼任されていた方も多かったのですが、特にヘンリック役の一禾さんの役替わりぶりに驚きました。どの役にしても演技がばっちりハマっていたので才能がすごいな~と素人ながら感じました。蒼穹の昴でも(おそらく)Lilacの夢路でもいい役をもらっていたので今後も注目していきたいところです!

というわけで第二幕編に続きます!


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