唐辛子タレとダイバーシティ
私は昨日、ある一つの気づきを得て、静かな感動に浸っているところです。それは、「ダイバーシティとは唐辛子タレのようなものだ」 ということです。
きっかけは、アジアごはんズさん主催によるイベント、「アジア料理に欠かせない唐辛子タレに注目!」でした。
タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアの4ヵ国の唐辛子タレ(サンバルやチリソースなど)を食べ比べ、アジア各国の豊かな文化や多彩さを知ろうという食イベント。
13種類の唐辛子ベースのタレを料理と一緒に食べ比べるというものすごくマニアックな会なのですが、4ヵ国をそれぞれ代表してお話してくださる4名もまた知識と情熱が豊富で、ものすごくマニアック!今までに食べた珍しいものや、日本では入手が難しいようなものも、惜しげも無く披露してくれました。
インドネシアでは、唐辛子を使ったソース全体のことを指してサンバルと言い、その種類は50種類以上(もっと)あるとか。日本にとっての醤油のような存在で、あらゆる料理に欠かせない伝統的な調味料ですが、最近ではインドネシア国内にもサンバル専門レストランなどもできて、改めて見直されているそうです。ただ辛いだけではなく、使われている食材によって味もさまざま。生のものもあり、青いマンゴーを使ったソムタムに似たようなものまで。
インドネシアは18,000もの島々からなる国ということもあって、辛さの好みも人それぞれ違うため、サンバルは料理に添えて出され、食べる人が各自で好みの辛さに調節して食べるのだそうです。
マレーシアもシンガポールもタイも唐辛子タレの使い方は同じだそうです。好きなように、好きなだけつけて(またはかけて)食べる。「万人受けする辛さはない」だから、同じ料理を食べていても「みんな違う味で食べている」のだそうです。
なるほど! 私はそこに「みんな違ってみんないい」の精神を見た気がしました。つけダレを使って、食べる人が自分好みの味に調整することをシェフが嫌がることもなく、一つの統一された味が提供されることもない。ダイバーシティってこれなんだ!人それぞれ違うんだ!と唐辛子のタレによってなんだかものすごく腑に落ちました。
一昨年までは「サンバル=カルディで売っている瓶詰めの辛い調味料」くらいの認識でしたが、去年は国ごとの違い、地域ごとの違い、民族ごとの違いがあることを知り、昨日は人それぞれ好みが違うことを改めて気づかされました。
会の最初で主催の方がお話されていたのは、「一つの国の食文化を理解しようとするときに、他の国と比べることで違いがわかる、そしてその食文化をもっと知ることができる」ということ。4ヵ国で競うでもなく、他を否定するでもなく、他を知ることで、より理解が深まっていく。なんて素敵なコラボレーションなんだろうと感動しきりでした。
たまたまInstagramの思い出が、7年前は味噌作りイベントに参加して、味噌の食べ比べをしていたことを教えてくれました(下の写真)。違いを知るのは面白い!
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