見出し画像

「外国人風メイク」という表現がモヤモヤする話

言語学の話ではありませんが、今日は、私が若干モヤモヤする表現を取り上げたいと思います。

たまに、女性向け雑誌やYouTubeでこんな紹介をしているのをご覧になったことはありませんか。


「簡単!メイクで外国人みたいな「まん丸アイ」をつくる方法」

「ハーフメイクで憧れの外国人風!メイクのコツやポイントをチェック」

「プロメイクさんの作る本格外国人風メイク術」

「外国人風メイクで憧れのハーフ顔に!」



私はどうもこの「外国人風」という表現に違和感を覚えてしまうのです。



多くの場合、この「外国人風」メイクというのは

  • くすみのない素肌っぽい自然なツヤ肌

  • スッとした鼻筋

  • 彫りが深い立体感のある顔

のような表現とともに使われています。


そのような「憧れの」外国人顔に近づけるため、

「ファンデーションで白くて透明感のある肌に」
「アイシャドウやノーズシャドウで彫りを深く見せる」
「アイラインは長めにくっきり
「リップはぷっくりと立体感をだす」

のようなメイク手法が紹介されています。


さて、「外国人風メイク」の「外国人」と聞くと、たいてい多くの人はこのような顔を思い浮かべるはずです。



つまり、「外国人風メイク」で私たちが想起するのは、欧米の白人であることが多いのです。


これまで「外国人風メイク」とうたっている雑誌の中に、このような黒人モデルが連想されることはほとんどありません。



さらに、このようなアジア系モデルも「外国人」として連想されることはないでしょう。


黒人やアジア系でなく白人を想起させるのはなぜなのでしょうか。

西洋の「美」への潜在的なあこがれが根底にあるのかもしれません。

とはいえ、外国人=白人 のように一括りにするのは違和感があります


だって、アメリカ人もブラジル人もフィリピン人もベトナム人もフランス人もエチオピア人も、すべて日本人からすれば「外国人」ではないでしょうか?

「外国人風メイク」が「白人のような顔を目指すメイク」で、非白人の人に対する配慮が足りないように感じます。

話が脱線しますが、私たちには潜在的に「欧米人」=白人 というステレオタイプもあります。これも正確さに欠けています。

欧米人の中には、白人以外のアジア系や黒人、ヒスパニックなども一定の割合で存在しており、人種はまさに「多種多様」です。

例えば、私の仕事のクライアントにアメリカ人がいますが、顔は完全に私達に似たアジア系です。

台湾系移民だそうですが、アメリカ国籍を持っており、「欧米人」「アメリカ人」であることに疑いの余地はありません。


おわりに


「外国人」という言葉は、私達が無意識に使う表現です。

単一民族である日本人は、「外国人」という表現を「日本人以外」という意味で使います。

それにもかかわらず、雑誌やYouTubeでよく見る「外国人風メイク」という表現は、たいてい黒人やアジア系ではなく白人を想起させます

この表現は、要するに次のような刷り込みを行うのです。

憧れの顔 = 白人顔 ⇒ 非白人はメイクモデルの対象外 = 憧れではない

白人を持ち上げ、非白人を蔑視するような潜在意識が生まれやすいので、この表現を使う際は注意が必要だと感じます。

また、「外国人」以外に「欧米人」「アメリカ人」のようなカテゴリー化する表現を使う際にも少し注意が必要です。

この「外国人風メイク」という表現のほか、「ハーフ顔」という表現もモヤモヤしますが、皆さんはいかがでしょうか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?