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23-24シーズンにおけるスタッドランス前半戦総括と後半戦展望


今シーズンのリーグアン全17節を終えての順位・感想

23-24シーズンのリーグアン17節の試合が全て終わり、約二週間のウィンターブレイクに突入します。リーグアンの選手からも来年1月上旬に開催される大陸大会たるアフリカネーションズカップとアジアカップでナショナルチームに召集される選手、召集されずウィンターブレイク終了後のクープ・ドゥ・フランスとリーグ再開に備える選手も出てくる訳ですが選手たちが万全の状態で試合に臨める事を祈りたいです。

前置きはさておき、リーグアン17節終了時点で順位を確認しましょう

前半戦の話題として新監督が就任してポゼッションサッカーで上位をひた走るニース、降格圏を彷徨っている強豪クラブ・リヨンの惨状、CLで死の組を何とか突破しリーグ戦も首位をひた走るPSG、2シーズン目のモナコで復活を遂げた南野選手など様々な話題がありましたが今回この話で取り扱うスタッド・ランスはヨーロッパ大会出場権を得られる6位以内までと勝ち点差1の8位となっております。
今シーズンは昨シーズンの得点源だったbalogunがチームを去り、新たな得点源を得るために複数の攻撃的選手に多額の投資を行いましたが新戦力のmohamed daramy以外は合格点を与えられる成績を残していない状態です。ただ、このような状態でも監督のWill stillの戦術や現有戦力をきちんと動かして何とかやり繰りする采配、主将のYunis abdelhamidや伊東純也などの昨シーズンからの主力がきちんと稼働しトップハーフの順位を保っております。

明暗がくっきり分かれる事になった新戦力のアタッカー陣


チームを支える絶対的選手となったTeuma

今シーズンはスタッドランスのフロントは欧州大会を狙うための戦力として新戦力のFW陣にCFのOumar Diatkite(O.Diakite)・Adama bojang・amine salama、WGにMohamed daramy・中村敬斗、攻撃的MFにTeddy teuma・reda khadraといった大量のアタッカー陣を揃えました。特にCFのoumar diakiteはプレシーズンマッチで得点を量産、中村も前シーズンでオーストリア一部リーグで公式戦17G8Aを達成、ガーディアンのネクストジェネレーションに選ばれる程の逸材だったがデンマークで燻っており中村と同じ1200万€の金額で加入していたDaramyに期待が集まっていました。
しかし、シーズンが開幕するとO.Diakiteと中村はリーグアンの守備レベルなどに飲まれて苦戦、高い個人能力を加入当初から見せつけていたDaramyも中村とポジションが被って中々出場時間を与えられないといった状況でした。
ただ、昨シーズンベルギーのユニオンSGをヨーロッパリーグベスト8に導いた実績を持つTeumaは遺憾なく実力を発揮、ビルドアップの補助からセットプレーのキッカーまで務めてチームを支える絶対的主力プレーヤーの一人となり、中村と共存する形でセンターフォワードに移ったDaramyは高いアシスト能力を見せるようになり前半戦で2G4Aを残す形となりました。
他にも途中出場が多い中で度々推進力のあるドリブルを見せていたkhadraも前半戦の終盤にスタメンに名前を連ねるようになり、インサイドハーフのポジションを務める事が出来ると証明して後半戦どのような活躍を見せるのか期待させる力を持っています。
リーグアンに中々適応出来なかった中村・o.diakiteも徐々に期待できる動きを見せるようになっており、どれだけ活躍出来るかが楽しみです
言及していないAdama bojangは欧州トップチームデビューを果たし中々期待できる動きは見せていましたがまだまだ監督の信頼を得るには至らず、amine salamaも序列が下がっている状態なので両名とも後半戦に向けて奮起してほしいところ。

テクニックを向上させて、パフォーマンスも安定するようになった伊東


伊東が答えたシャンパーニュのファンを鼓舞する文章

昨シーズンはチームでBalogunにクロスを提供しアシストする役割を果たしリーグアン1シーズン目に6G5Aを残しながらも、好不調の波が激しいと評価されていた伊東純也。今シーズンのパフォーマンスは伊東本人のテクニックが向上し、パフォーマンス自体も安定感を持つようになりました。例えば、第12節のPSG戦ではチームの中でもハイパフォーマンスを見せつけキーパス8本を通す攻撃能力を披露、またスタッドランスのファンメディアサイト「Reims VDT」が11月2日に伊東がファンを鼓舞する熱い言葉を掲載した後の11月5日第11節ナント戦で決勝ゴールを挙げる活躍を見せました。
ただ、やはり今シーズンのベストプレーは第二節のクレルモン戦で見せたテウマのロングボールをトラップして独走後、ダラミーにボールを提供したスーパーアシストでしょう。来年元日のタイ戦で日本代表に召集されそのまま1月から始まるアジアカップでの招集も確実視されておりますが、アジアカップ終了後も高いレベルで安定したパフォーマンスを見せて欲しい所です

昨シーズンの主力を固定化させたスタメンから変化したWill stillの采配


今シーズンはbalogunが去った影響で得点源を固定化できずチームの得点能力が大きく減退したシーズンとなっておりますが、戦力に厚みを加える事は可能とした事で監督のWill stillもシステムを固定化させず柔軟なスタメンが可能となりました。昨シーズンのCFにbalogun、二列目に伊東・Munetsi・Flipsを固定した4-2-3-1でしたが今シーズンは4-3-3を基本として主力メンバーに怪我人が出たら3-4-1-2、3-1-4-2を使い分ける事が可能になるなど采配の幅自体は広がった印象です。また、O.DiakiteがCFとしてあまり活躍出来なければ過去にCF経験があったDaramyをCFに回すといった動きを見せたり、ドリブルで良い動きを見せていたkhadraをスタメンに抜擢する動きも見せるなどスカッドの運用も柔軟となった印象です。
ただ、ファンメディアサイト「Reims media football」に「will stillのスカッド運用はAmadou koneやbojangといったBチームで活躍する選手を信頼していない」と言った評価もあるといった状態です。今後のアフリカネーションズカップ・アジアカップ開催期間中で複数の主力が抜ける事が見込まれるスタッドランスにおいて、どのようなスカッド運用が行われるのか見守っていきたいと思います。

次にシーズン前半戦で印象に残る選手たちの個人的な評価に移りたい。

シーズン前半戦における特定の選手たちへの個人的評価

Mohamed daramy


過去にガーディアンのネクストジェネレーションに選出されるほどの高い注目を受け、デンマークのFCコペンハーゲンからアヤックスに移籍した経験のある逸材だがレギュラー争いに勝つ事は出来ずFCコペンハーゲンにレンタル移籍しチャンスメイカーとして高い能力を見せてアヤックスから保有権を購入したスタッドランスに移籍する。
切れ味鋭いドリブルと高いチャンスメイク能力が武器のFWで、左WG以外にもCFをこなす事が出来るので中村敬斗が左WGの時はDaramyがCFとして起用される時もある。加入したばかりの第二節クレルモン戦から高い個人能力を見せているものの、全体的に消える試合とそうではない試合の差が激しい印象でそこは改善してほしいポイント。安定的に試合に絡める回数が増えれば、持っているポテンシャルを開花する事が出来ると思うのだが…。アジアカップ期間中に攻撃の軸である伊東が離脱するため、teumaと並ぶ攻撃の軸としてチームを支えてほしいプレイヤー。

中村敬斗


昨シーズン、オーストリア一部で公式戦36試合17G8Aの活躍を見せたWGストライカー。今シーズンはリールへの移籍が成立しそうになっていたが、リール側がEU外枠の処理で戸惑っていた間にスタッドランスがハイジャックして移籍する事になる。加入当初は伊東と中村敬斗の日本人WG両WGとして期待されていたが、リーグアンで求められる高い個人能力と相手の守備レベル・守備スピードなどの壁に阻まれ苦戦。ただ、そこからリーグアンの環境に順応しつつあり第五節ブレスト戦で初アシスト、第六節リール戦で初ゴールと活躍していたが10月の代表ウィークカナダ戦でラフプレーを受けて一か月弱の負傷で離脱。復帰していた当初もプレーで輝きを見せなかったが、第十七節ル・アーブル戦で決勝ゴールを挙げるなど後半戦の活躍が期待できる選手として楽しみである事に変わりない。
カットインで中に切れ込んで仕事するWGであるためゴールに絡む能力が求められるのでクロスの精度とペナルティエリアの左から放つミドルシュートが枠内に行かないのは改善点、代表でも自分が出来るプレー選択の幅を広げる事が出来つつあるためクラブでのプレーも自分が出来るプレーの幅を広げてほしい所。

Oumar Diakite


今シーズンのプレシーズンマッチで6試合5得点の活躍を見せて昨シーズン大活躍だったBalogunの後釜を務められるのではないと思われたが、シーズン開幕から中村敬斗同様リーグアンの守備レベル・スピードに阻まれて苦戦、第4節メス戦で初ゴールを挙げるものの第6節リール戦でベンチに回るといった苦境に立たされ、更に途中出場した第11節ナント戦で相手のDFラインを裏抜けするも、シュートを打たず味方にパスするというFWとして判断力を疑うプレーを見せてしまう失態を見せる。ただ、第13節レンヌ戦でレギュラーとして起用されてコーナーキックから得点を挙げる活躍を見せる事が出来たので少しずつリーグアンの順応しているのは確か。身体能力は抜群だが、課題は山積みの選手であるだけに克服して成長していきたいところ。

Amir richardson


アメリカのNBAオールスターに4回選出された父親を持つル・アーブル出身の若手有望株。昨年の夏の移籍市場でスタッドランスが獲得するもレンタルの形で残留、昨シーズンはリーグドゥでインサイドハーフとしてリーグ戦34試合3G4Aの結果を残してル・アーブルの昇格に貢献し今シーズンはレンタルバックで合流する。長所は身長195cmの長い手足から繰り出されるボール奪取能力と空中戦を制す力でインサイドハーフ・ダブルボランチ・アンカーをこなしシーズン前半戦はリーグ戦14試合3G1Aの結果を残す。ただ、インサイドハーフだと攻撃性能で長所の部分が見えずらく同じポジションにドリブルが得意のkhadraが台頭しているためもう一段階攻守に大きくレベルアップを果たして欲しいのはある。

Reda khadra

本人はドイツ生まれだが両親がレバノン出身の二重国籍者で、本人はドイツ代表を目指してるアタッカーと今シーズンのアジアカップ離脱は明らかに無さそう。昨シーズンのバーミンガムではCFから両サイドのサイドハーフをこなすUT性を見せて保有元のブライトンからスタッドランスに移籍、第1節マルセイユ戦ではスタメンだったものの活躍出来ずにベンチからの途中出場が続く。ただ、途中出場の中でも度々推進力のあるドリブルを見せていたため第16節RCランス戦でインサイドハーフのスタメンに抜擢、見事な活躍を見せ続く第17節ル・アーブル戦でもスタメン起用されており今後のスタメン争いが楽しみな選手。両WG・攻撃的MFをこなすポリバレントな選手であるため、アジアカップ期間中に伊東・中村の離脱が確定的な状況の中、ドリブルで活躍が期待できるのは確か。

Yunis abdelhamid


今シーズンもチームのディフェンスを支えるベテランDFのキャプテン。今シーズンはセットプレーや空中戦での得点で前半戦だけで3Gを挙げる活躍を見せ、新興の強豪国へと躍進したモロッコ代表に再び招集され始めるなどパフォーマンスも上々。気になるのは今シーズン限りで契約満了になるクラブとの契約問題で、本人はスタッドランスでの引退を望んでいるもののスタッドランスの給与体系においてチームでナンバー2の給与であると推定されている事や現行のトップチームで左利きのCBがabdelhamidのみの状況でフロントは彼とどのような結末を迎えるのかが後半戦で気になるポイントの一つ。

Yehvann Diouf


昨シーズン途中からスタッドランスの正GKを奪い、リーグアンでも上位にシュートストップ率を見せた事で注目を浴びるようになった24歳のレギュラーGK。ただ、今シーズンはパフォーマンスが冴えないというかディフェンス面で細かなミスや失点に繋がるクリティカルなミスを起こすようになっているのが問題点。また、ビルドアップ面でもサイドにいるSBにボールを供給する事は出来てもロングフィードで敵のDFラインにボールを供給して味方のFWに裏抜けをさせるといった点が出来ない点も存在するので、課題を克服出来なければ本人のためにも市場価値が高いであろう来シーズンお別れするのも良いのではないかと個人的には考えている。ただ、それを決めるのもスタッドランスのフロントなんですが…

アフリカネーションズカップ・アジアカップ同時開催でナショナルチームに向かう主力メンバーと開催中のスタメンになるメンバー


来年2024年に1月中旬から2月中旬までアジア各国の大陸大会「アジアカップ」とアフリカ大陸の大陸大会「アフリカネーションズカップ」が同時開催されます。スタッドランスもアジアカップで伊東が抜けるのは確実、中村敬斗も左WGの一番手である三笘が負傷したようなのでアジアカップのメンバー23名になるのはほぼ確実、O.diakiteとabdelhamidもコートジボワールとモロッコの暫定リストの上位23名に入っているので確実、Amir richadsonはモロッコの暫定リスト26番目(アフリカネーションズカップは試合運用可能なのは23名までだが、オプションとしてスカッドのメンバーを27名まで追加する事が出来る)に入っているので代表に入るか半々の確率といった状況です。
単純にこの5名が前半戦でどのぐらいチームのゴールを挙げたかというと計12ゴールで、前半戦のチームゴール数が22ゴールなので単純に過半数のゴールを挙げた選手たちが抜ける事になります。
コートジボワールはともかく、日本代表とモロッコ代表は立ち位置がアジア・アフリカの強豪国であるので4名が2・3週間~一か月チームから居ない状態と想定すると、その期間開催されるリーグアンとクープ・ドゥ・フランスの試合は最低5試合~最大7試合あります。

現地時間
1月7日クープ・ドゥ・フランスラウンド64 Dinan lehon FC
1月13日リーグアン第18節モナコ戦(A)
1月21日クープ・ドゥ・フランスラウンド32
1月28日リーグアン第19節ナント戦(H)
2月3日リーグアン第20節トゥールーズ戦(H)
2月7日クープ・ドゥ・フランスラウンド16
2月10日リーグアン第21節ロリアン戦(A)

リーグアンで強豪と位置付けられているクラブと対戦するのがモナコ戦ぐらいですが、トップハーフを目指してる中得点力が低い現状でロリアン・トゥールーズ・ナントのどの試合も落とせる訳が無いので主力4~5名が抜けた想定でも全力で勝利を目指す必要があります。
CBのabdelhamd・セントラルMFのRichardson・右WGの伊東・左WGの中村・CFのO.diakiteの5名が抜ける想定だと現況CBをトップチームの2~3名で回してるので間違いなく4バックに固定、CBに怪我人が出たらBチームに入っている若手メンバーを起用していくのだと思われます。
次にセントラルMFだとアンカーの控えであるRichadsonが抜けるのでアンカー可能なのがMatusiwaぐらいですが、現状レキップの報道だとスタッドランスフロントはFoket・Matusiwaの二人に魅力的なオファーがあったら売却して動くと言われてるのでどういう状況になるのか全く不明。インサイドハーフはTeuma・Khadraと怪我から復帰するMunetsiの三名で回しくいくのだと思われますが、khadraをWGの方に回す事も想定できます。
問題なのはFWで、Daramyを攻撃の軸に回しくいくのだと思われますが左WGかCFで起用するのかが分かりません。控えのFWだとCFメインで右WGでのプレイも可能なSalama、BチームだとCF起用がメインのBojang、左WGのMamadou Diakhonなどの若手がいますが3トップの起用がどうなるのか全く読めないのでどうなるのか。プレミアトップクラブとの争奪戦を制し高い前評判で移籍して、トップチームでのデビューも結構良かったBojangに大きな期待を個人的に抱いてますがはてさて…

スタッドランスフロントは冬の移籍市場でどう動くか


12月中旬に移籍市場で大きな報道力を持つファブリツィオ・ロマーノがスタッドランスフロントがスウェーデンの若手ストライカーJusef Erabi争奪戦に動くと報道してましたが、現状は前述のレキップ報道の通りFoket・Matusiwaに魅力的な移籍オファーが届いた場合のみ冬の移籍市場で動くと言われています。ただ、夏にベルギーのアンデルレヒトに移籍したもののベルギーリーグで苦戦しているAlexis Flipsを半年レンタルで獲得に動くと「Footmercato」が報じているのでどうなるのか読めない状況です。また、夏の移籍市場で得た金額が約6000万€で使った金額が総額4900万€と約1000万€の残金がある訳ですが、この金額だと主力メンバーとして想定できる選手を一人ぐらいしか獲得できないのでスタッドランスのフロント含めてどう動くのかやはり不明です。
個人的にこの冬の移籍市場で動かないのもアリの立場なので…

終わりに

ここまで大量の長文を書き連ねる事になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。新しいnoteを作成する機会があれば、またのご縁がある事を望みたいです。



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