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地方私鉄の旅 Vol.2 /ひたちなか海浜鉄道

茨城県のひたちなか海浜鉄道の撮影に出かけてきました。

ひたちなか海浜鉄道は、2008年に茨城県にある茨城交通から鉄道部門を独立し、茨城交通とひたちなか市が出資する第三セクターの鉄道で、JR常磐線の勝田(かつた)から、おさかな市場で有名な那珂湊(なかみなと)を経由し、阿字ヶ浦(あじがうら)までを結ぶ、全長14.3kmの路線です。沿線には那珂湊のおさかな市場や、ネモフィラやコキアで有名なひたち海浜公園があります。

久しぶりのひたちなか海浜鉄道、冬は低い位置から差す太陽の光が、平地を走る列車を照らすドラマチックな光景に、撮影意欲を掻き立てられます。早朝、日中、夕方と太陽の光と向き合いながら、OM-1をぶら下げて沿線をのんびり撮影してきました。



2022年12月20日

数年ぶりに出かけた1回目。最初に向かったのが、殿山駅から平磯駅へ向かう途中の海が見える踏切です。シャッターを押した手前のコマも保存されるプロキャプチャーモードで、海を入れつつ、列車の顔を出すいいタイミングのコマを逃しません。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

高田の鉄橋駅から中根駅に向かって約2.3kmの区間の撮り歩き。広い田んぼの中、築堤を駆け抜ける列車を、目で見る奥行き感に近い焦点距離25mm(35mm判換算50mm相当)でねらいます。やってきたのは兵庫県にあった三木鉄道から譲り受けたミキ300で、当時の塗装のままで活躍しています。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

10年前に初めて訪れたときからお気に入りの中根駅。短い停車時間で、まだ空に紫色が残る情緒ある光景をカメラに収めます。この日は、ここでの撮影で終了です。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO


2023年1月3日

那珂湊駅から阿字ヶ浦駅の区間で夕日を背景に列車を撮りたくて、また出かけました。田んぼが広がる美乃浜学園駅で下車、付近を散策して日が沈む方向での撮影ができるポイントを探ります。待つこと約10分、日が沈む方向にカメラを向け、日没と列車のタイミングが合うのかどうか、どきどきしながら待ち構えていたところにやってきた列車を撮りました。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO


2023年1月10日~11日

夕景のほかに、早朝、日中、夜景も撮影しようかと、今度は宿泊をともなった撮影旅に出かけます。まずは、1月3日にも訪問した美乃浜学園駅。日没後、駅や列車がシルエットになるドラマチックな光景をカメラに収めます。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

翌朝は早く起きて、中根駅から金上駅までの約3kmを撮り歩き。太陽が顔を出したころ、中根駅から発車した列車が太陽の光で輝きます。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

ひたちなか海浜鉄道では少ない林の中を走る区間。午前中に差す日の光が木漏れ日となり、林の中を照らします。太陽の光に光条が出るよう、絞り値をF11まで絞り、シャッター速度は1/30秒のスローシャッターで、列車をぶらせて躍動感を表現してみました。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

金上方面へ先に進み、林から出たところの踏切から、林の中をやってくる列車をねらいます。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

午後は磯崎駅からスタート。ホーム向いにある大きな木に太陽を重ねた構図で阿字ヶ浦行の列車が来るのを待ち構えます。「デジタルシフト」で、広角による台型になる歪みを、縦がまっすぐになるように補正しました。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

日が傾き始めた時間に、平磯駅から那珂湊駅まで約1.4kmの撮り歩き。通学下校時間で2両編成の列車に日差しが反射しているところをねらいます。徐行して加速する際に排気された煙にも太陽の光が当たった瞬間です。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

星と鉄道車両の鉄道夜景が撮れるかと、静態保存されている旧型車両がある阿字ヶ浦駅にきました。定期列車が発車して次の列車が来るまでの間で、駅の電灯が入らないように低い位置からの、約23分のライブコンポジット撮影です。車両は1969年留萌鉄道より購入されたキハ2005で、2010年より国鉄急行色で運行され2015年12月に引退しました。

OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

ひたちなか海浜鉄道沿線でお魚グルメ

「撮影に出かけたら、食事の時間ももったいない。」と思うところもありますが、ひたちなかといえば、漁港がある町。那珂湊駅から徒歩約10分のおさかな市場での海鮮丼やお寿司はもちろん、沿線のお食事処では「あんこう鍋」もおいしいです。やっぱり地元のグルメは外せません。


地元の方も応援。地域の発展と活性化を目指す取り組み

おらが湊鉄道応援団
ひたちなか海浜鉄道湊線の存続・発展を願い、さらには湊線を核とした会員と地域住民の交流を通じた地域の活性化を目指し、活動している市民団体で、応援団作成の「ポストカード」や「湊線1日フリー切符」など、鉄道や応援団の運営費になる取り組みや、土日祝日を中心に那珂湊駅で湊線沿線の店舗・旅館等への誘導につながる湊線乗車証明書の配布、おさかな市場などへの道案内など、鉄道と一体になって活動されています。
ホームページ:http://minatosen.com/

三鉄ものがたり実行委員会
ひたちなか海浜鉄道を起点とし、鉄道模型やサロン、イベントや遠足など、鉄道ファンが楽しめるまちづくりを通して商店街活性化のお手伝いをする団体で、新しい観光資源として、2021年7月31日には、阿字ヶ浦駅に留置されているキハ222をご神体とし、1925年製という古いレールを鳥居とした神社を建立するなど、鉄道と一体になって活動されています。
ホームページ:https://3tetsu.org/


私は鉄道を利用して撮影にでかけることが多いです。初めて出かける鉄道の場合、少しは事前にインターネットで調べることはあるものの、現地では鉄道に乗り、気になったところには、極力、最寄り駅から歩いて向かいます。沿線を歩くことで、その地域の特徴や催事などを知ることもできます。まずは、地域を知ること、これは写真撮影のオリジナリティにつながります。列車の運転本数が少なくても、その間隔は次の最寄り駅まで歩く時間やご当地での食事の時間に当てます。鉄道や地域のお店を利用することが感謝の気持ちです。

鉄道を撮り歩きするときは、小型のカメラリュックに入る範囲で機材を身軽に持ち歩きます。OM SYSTEMの場合は、カメラ本体の他に交換レンズを4本は持ち歩け、35mm判換算で広角14mmから望遠300mm相当までカバーすることができるほか、プラス1本明るい単焦点レンズを持ち歩くこともできます。

今回の機材
OM SYSTEM OM-1
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

OMデジタルソリューションズ(株)の商品紹介へリンクします

今回の撮影では、冬の低い位置から差す太陽の光によるすてきな光景に出会うことができました。ひたちなか海浜鉄道オリジナル、「みなと」から付けられた車番のキハ3710、37100を始め、元三木鉄道のミキ300-103や元JR東海のキハ11などの現役車両のほか、引退した旧型車両の撮影も楽しめました。また別の季節にも行ってみたいと思います。
お魚グルメあり、広大な景色ありのひたちなか海浜鉄道、ぜひみなさんも小型軽量のOM SYSTEMを持って、のんびり歩きながら撮影を楽しんでください。


撮影・記事
高橋 渉 / Wataru Takahashi
公益社団法人 日本写真家協会 会員
公益社団法人 日本広告写真家協会 会員



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