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【参の幕】超気軽に東京から大阪までチャリンコで行ってみた話(箱根峠〜沼津)

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2017年11/1(wed)午後4時

箱根湯本、前田橋。

小田原を後にしてすぐに訪れた急傾斜に不和感を覚えながらボクは地獄の入り口にいた。

小さな吊橋だな。

ボクはここを地獄の入り口と呼んでいる。
国道の車の多さを避け、挙句手前で迂回路を探した結果この地獄の入り口へと辿り着いたのだ。

箱根駅伝の選手たちが勇敢に登っては下るルートが国道一号線。

だがしかしボクは先見性のなさと計画性の薄さを遺憾なく発揮しこの地獄の入り口に足を向かせていた。

東海道旧道

事前に調べたらわかることなのだが、

元来通るべきルートは新幹線と同じく箱根を迂回した熱海〜三島のルート。
たかが箱根から10kmほど遠ざかるだけで見事に平地移動が可能になるのだ。

だがしかしボクは地図通り、青い看板通り、距離の短い通りにまっすぐ進んでしまったのだ。

正に猪突猛進。

結果見事に獣道。

ヘアピンの最内側を通れば20%くらいの勾配がある10kmほどの登り。

静岡に何時に着く?

「ヒルクライム」

とか余裕をこいてた自分に腹が立つ。
この時点で4時半を有に越えている。
ガチのヒルクライムじゃねえか。

箱根峠「まで」10km

ここからの登りが更に10kmある事も知らずに。
写真なんぞ撮ってる心の余裕などもうない。
湯元を越えて木寄せ細工の集落を越え━━━━

って簡単そうに言うがず━━━━━━━━━━━━っと傾斜8%程度の坂道が続いている。

正に地獄である。

地獄の7曲りwwww

いや、実際12曲がり位あるからね?
脚力も実力もないボクはクロスバイクの一番軽いギアでなんとかシッティングし、このカーブを乗り切ることとなる。

身体は完全にオーバーヒート。
冬でなければ死んでいただろう。
ただひたすら坂が終わるのことを願いながら。
━━━━1時間後

装備もロクにして来なかったボクは暗闇に包まれてしまった。
自転車はおろか、民家は全くなく、地形により街灯の設置もされていない。
たまにくる後続車、或いは対向車のみが唯一の灯りだ。
この時点で午後5半時。

「これは死んだ」

猿滑りの坂とか大天狗の坂とか書いてあるんだけど全く頭に入ってこない。
そら猿も滑るわ天狗も出るわこんなん。

出る汗も枯渇してハンガーノック(低血糖)が起き始めていたので兎に角フロントバッグに詰めてあったハイチューなどの砂糖の塊を口に放り込みひたすらサドルを送る。

真っ暗で助けもない。
このまま後ろを向いて登山口まで降りてしまおうか。
そんな気持ちに何度も駆られた。

「だがそんなことで大阪までは絶対に辿り着けない」

その思いだけが原動力になり前へ進む。

照明にせよ普通夜の峠越えをする場合は━━━━

5つくらい点けるのが妥当らしい。

だがアホで有名なボクはノープラン。
勿論都会の平地の夜に走るような薄い照明1つのみ。

ケモノやモノノケでも出てきそうな━━━━
否、出てきてくれた方がよっぽど腹の括りが出来たのかもしれない。

深々とした暗闇の中ただひたすらと登る登る登る。

1時間程急傾斜をひたすら登った。

兎に角坂が終わらない。
永遠に続くかと思うような地獄。

いうて、街乗りのドシロウト。

そんなやつが初日でイキナリクライマックス。
箱根を背にするものは天下を制す。

知るか、迂回したかった。
だがそんな地獄にも終わりがやってくる。

シロウトが箱根の旧道を登りきった。
実に846m

11/1
息も白む。
標高も高い。
山もガスっている。
人も車も居ない。

元箱根に着いたのだ。
芦ノ湖も箱根神社も真っ暗で見えない。
ただボクを癒やしてくれたのは━━━━

LAWSON

これからの旅で重要になってくるのがこのコンビニの休憩スペースだ。

オーバーヒートし切った身体を水分と共に癒やす。
小1時間だろうか?
疲れ切っていて記憶が薄い。
すぐに身体が冷えてきて凍えたのは覚えている。

それでも頭からこの思いが消えない。

先へ進まなければ。

コンビニを後にして元箱根を後にし、少しの登り坂を上がった時点で山の向こう。
即ち三島の街の光が見えた。

この瞬間大のおとなのボクは━━━━

少し泣いたwwww

暗いよ辛いよ怖いよ。
そんな思いから開放された瞬間だった。

ここからは危ないくらい急勾配のダウンヒルだった。
3時間余りで稼いだ15km余りを一気に下る。

※平地なら3時間で80km位は急げばイケる。
ダウンヒルがまた寒い怖い。
身体も一気に凍える。

そのままの勢いで三島を後にして一路沼津へ。

この辺で空腹も限界。
たったの120kmで初日を断念することとなる。

さぁ宿探しだ。
Google先生を駆使してホテルのあたりを付ける。

あった。
安くて良い宿だ。

身体を真っ赤に紅潮させながらフロントへ突入するもネットの情報と違う。

倍くらいの価格を提示される。

そう。
ネットで予約しないと割引が効かず高くなることを知る。
なのでその場は検討ということを伝え、フロントのソファで慌ててネット予約を駆使する。
カード払いならば1万円のところ、6千円程度にセーブ出来るのだ。

ネットの手続きが済むまで15分程度のタイムラグがある。

が、割引通った。

ああ、ちょっと自分賢いと優越感にひたれた。

覚えておいとくと便利なのでいきあたりばったりで宿を探す場合ネット予約で割引を駆使することを薦める。

無事部屋を確保できたボクは兎に角何か食べたくて仕方なかった。

良い居酒屋でも探して箱根超えを労おうか?
ラーメンでも喰らい尽くしてやろうか?
シャワーを浴びサッパリとした状態で街へ出る。

沼津。
この時点で午後9時。
午前4時に出発して優に17時間が過ぎていた。

いや、動き過ぎだろw

兎に角沼津の駅周辺を散策する━━━━
ハラガヘッタ。

えーとね、うんとね。
何もないwwwwwwww
見事なシャッター通り商店街哉。

だがしかし、ラーメンフリークと言われる人種は転んでもただでは起きない。
しっかりとリサーチ済なのである。

卓郎商店@沼津

駅からかなり離れるが静岡淡麗系という派生のラーメンを出す店にギリギリ辿り着いた。

ふむふむ、自家製麺なんだねそうなんだね。
色々とあるがここは━━━━

うんうん。

乙 ビ ー で し た ! ! !
あああああああっ!
悪魔的に美味い。。。悪魔的に。
筆舌尽くしがたいとは正にこのこと。

自家製皮で巻かれた餃子がアテ。
モチモチとしてて美味すぎる。
ビールが美味すぎる。

塩らぁ麺

なんと、だ。
ラス客だったのか、余った肉をサービスで増してくれた。

感謝しかねえあざます。

無化調で自家製麺。
スープは無化調らしく淡くもう少しエン味をキメて欲しい所だが十分に美味い。
麺は多加水、全粒粉入りと淡麗のセオリー通りちゃんとキメている。

身に沁みる。

肉の処理が上手く味がしっかり入ってる。
厚切りで食べ応えもある。

都内ではよく見かけるタイプの淡麗系塩だが、沼津では突き抜けているんだろうな。

ごちそうさまでした。

イワズモガナ足りない。
駅方面から沼津港方面へ脚を向ける。
本当に閑散としていてる。

松福 本店@沼津港

街から外れてるのに地元の人たちで賑わっておる。

接客も元気がいい。
では━━━━

キェエエエエエエ!!!!!
キンキンに冷えてやがる!!!!!

どうやら家系の亜流のようだ。
ガンガンと地元民が入ってくる。

地元民に愛されてる店は良い店の法則。

チェーン展開しているようだが流行っているわけを知りたい。
それには食べてみないことには。

うまいラーメン(ハーフ)

ほら、控え目にしといて正解。
ハーフで普通のサイズが出て来た。
レンソーにキャベツにバラ肉。
醤油豚骨に鶏油だ。

麺こそ酒井製麺ではないが太くて短いタイプの家系なソレ。

今日の天使はココだった。
美味すぎる。

キャベツにほうれん草。
これが1発目ならライスを確実につけていただろう。

バラ肉もホロホロで美味い。
スープもかなり出ている。

駅からかなり離れているが沼津といえばココを推す。
非常に接客から味までクオリティが高かった。


初日からこのザマだ。
宿に帰ったのが23時を回っていた。
この後宿に帰り泥のように眠ったのだった。
この後の多難など考えもせずに。

しかし箱根(旧道)を自力で超えた。
これは生きていく上でかなり重要な尺度になるだろう。

正月の箱根駅伝が放送真っ最中だ。
箱根のヤバさ、身に沁みて良くわかった。
計画して行動しないと夜の闇に殺されそうになることも良く理解できた。

アリタコージは「計画性」のレベルが1上がった。

━━━━参の幕、了
 肆の幕へ続く。