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東京のラーメン/醬油ラーメン5撰/Ramen にじゅうぶんのいち

東尾久/Ramen にじゅうぶんのいち

都営荒川線。
都内で残る唯一の路面電車だ。
何故生き残ってるかというと、道路を走る路線が極端に少ないのでそのまま電車として活用できたことが理由らしい。
王子から下町に続くこの路面電車に揺られて恰度真ん中の辺りの駅。
ほぼ住宅街にその店はある。

寂れていい風情の出た商店街をゆっくり進むと商店街の終わり方に店の姿が見える。

ラーメンの専門店にしては立地があまりよろしくないところに構える。

Ramen にじゅうぶんのいち
非常に往来はしにくい場所にあるにも関わらずこの日も満席どころか待ち客が出ていた。
ボクは団体さんの後ろにつけ順番を待つことに。

年季の入った暖簾。
もうOPENしてから6年が経とうとしている。
関係ないが、寿司屋の暖簾は汚れていた方が繁盛してる証拠。
とかなんだとかいうらしい。
なんでも昔の立ち食い寿司屋は食べ終わった客が茶で手を洗いでから暖簾で手を拭って出たという話。
まぁ近代のラーメン屋には全然関係ない不衛生な話だが、このにじゅうぶんのいちも確かに流行っていることは間違いない。

「食券先買い」

食券を買い、券売機横のソファに腰掛けて暫し順番を待つ。
清潔感がありとても整然とした店内にはボサ・ノヴァ。
うーん、下町尾久のラーメン屋とは思えない佇まい。
ワン・オペレーションで店を回している為少々回りは遅いがそれも風情。

カウンターに通されそこから店主さんのゆっくりとしているが卒なくて無駄のない動きに見惚れつつ。

京都は棣鄂の麺を使用している。
こだわりの強い製麺所だ。
そんなこんなしている間にラーメンが配膳される。

特製醤油そば
¥1,150

まずはレア調理を施された鴨ロースと豚肩ロースの色味に食指を奪われる。
これは食欲を刺激するビジュアル。
鶏油と醤油の芳香も手伝いもうラーメンに一心不乱で貪りつきたい、そんな様相である。

棣鄂の細くて長い麺だ。
ヌメヌメツルツルとした触りが特徴的ですすり応えがとてもなめらかで気持ちいい。
今の製麺所もすごくて、オーダーメイドで自分の思うような麺を仕上げてくれるそうだ。
この麺もこの店の醤油に合わせたこだわりのモノなのだろう、そういうこだわりが好き。

珍しいのがレア調理された鴨ロースがトッピングとして乗っていること。
脂身が甘くて肉として食べごたえがありとても美味い。
これを食う為だけに来る価値すらある。

そして薄切りされたレア調理の豚肩ロースだ。
こちらは昨今よく見るタイプだがこの二種チャーシューで見た目の掴みはオーケー。
生醤油やその他醤油をブレンドした醤油ダレに鶏がかなり強いスープ。
そこに棣鄂の麺とこの二種チャーシュー。
ネオ・クラシカルな東京醤油を最大限にまで磨き上げた帰結だろう。

醤油ラーメンには極太の材木メンマ。
しっかりとした歯ごたえで醤油の強い風味にも負けない。

そして味玉は醤油の香りと甘さが強く入ったモノでこちらもこの店独特の味がする。

これらすべての要素を口に含むとサラっとなくなってしまうから驚く。

醤油としてのキレイさと美味さを兼ね備えた一杯は食べる価値あり。

特製塩そば
¥1,150

醤油だけではない。
塩も美味いのだ。
醤油オススメの店として紹介しているが塩も食べずにはいられない一杯だ。
醤油と同じく見た目でまず食欲を刺激するレアチャーシューのビジュアル。
そこに透き通ったキレイな塩スープだ。

塩角は一切なく円い旨味。
醤油より鶏がもっとダイレクトに舌へ飛び込んでくる。
棣鄂のヌメツルな麺とよく合う。

メンマは醤油と違い穂先を使用している。
より柔らかく、風味は強い。
メンマの風味がスープに落ちてよりコクが増すといった仕様だ。

ここへくると、醤油か塩でいつも悩んでしまう。
味噌もあるがそちらも淡麗で美味いことをお伝えしておく。

メシモノの鶏の炊き込みご飯もとても美味いのでラーメンと共に是非。

ラーメンを極限までシンプルに美しく仕上げている。
見た目だけではない、味も良い。
滋味深い鶏スープをぶらりと路面電車にでも乗って味わいに来るとしあわせになれるかも知れない。

営業時間

11:30~14:30

18:00~20:30

日 11:30~14:30

※売り切れ次第閉店

定休日

月・木・祝

座席

カウンター8席
※ワン・オペレーション営業で暫くの間6席

備考

昼飯時は少し並ぶ。
ワン・オペレーションの為、若干回転は遅い。