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【十八回】ちょっと小腹がすいたんで。

川口元郷/中国料理 文文

川口元郷。
埼玉高速鉄道の駅だ。
JRの川口駅からは3kmほど離れているわりかし新しめの街。
地下のコンコースから地上に出ると、すぐ目の前に交通量の激しい国道が通っている。
その国道を荒川の方へ歩く。
ただひたすら歩くこと20分ほど。

いや、遠いってば。

食い物の為とはいえ、駅から遠すぎるのも考えモノだ。
だが、この店はそれでいいのだ。
どんなに駅から遠かろうがいつでも混んでいるのだ。

そして、インターネットにはほぼ情報など乗っていない街中華だ。
だけどどこからともなくおじいちゃんおばあちゃんだったり、スーツを着たサラリーマンだったり、家族連れだったりビールを一人愉しむ男性だったり常にこの店だけは賑わっている。
本当に周りには何もないのに。

お昼過ぎ、13時半くらいだろうか。
珍しく店内には空きテーブルがあった。
家人と共に来店し腰掛ける。
優しくて丁寧な奥様と調理場で姿の見えないご主人の二人体制で営業されている。

他のメニューにも手を出したいがどうしても頼んでしまうメニューを食べに来た。
本来ならば、夜来店してお酒でも傾けながら色々とつっつきたいところなんだけど。

この店は車でよく通っていた道なのだが、何もない場所なのにここだけいつも不思議と人の出入りが激しく気になっていた。
そこで持ち前でありたまに怪我をする長所である「行動力」を消費して単騎突入。
そして、あっという間に常連になってしまった。
そんな経緯のある店なのだ。
インターネットの情報じゃなくて口コミで流行っている店。
ボク自身も確かに来てみなければこの店の魅力は分からなかっただろう。
動いてみると、そこに宝物があることも多数ある。 だから色々な場所にいってしまう癖がついてしまっているのかも知れない。

鶏絲湯麺(とりそば)
¥750

話はさておき、このキレイで透き通った水面よ。
はじめて対面したときはびっくりしたモノだ。
淡い鶏ガラの出汁と肉から出る旨味で作ってある塩そばである。

この皮付きで棒々鶏のように切られた肉を崩すたびに旨味が強くなっていく構造。
鶏の旨味がダイレクトなんだ。

鶏肉を崩しながら麺を手繰る。
麺は加水率が高くて少し緩めに茹でてある昔ながらのモノ。
このスープだと固めの麺は強過ぎると思うのでこれがジャストか。
鶏の旨味を一緒に引き上げてくれてとても美味い。
暖まる。

テーブルに餃子や焼売用の自家製辣油が置いてある。
これがまたしっかりと作られていて美味しい。

こいつを一垂らしすると高菜の風味が引き立ってとても香りが豊かになる。

この色味。
ザクザクと高菜を食み、ズルズルと麺をすする。
肉を崩しながらドンドンと食べ進め、最後の方は鶏感が満載のスープになっているから驚く。

家人は什錦湯麺(五目そば)を頼んでいた。
一口貰うと醤油の味がビッとキマッていてコクが豊かなスープ。
キクラゲに大粒のエビと花切りのイカ、豚肉に高菜と具だくさんで食べごたえがある。
こりゃあ流行るわ。
安いし多いし美味い。
大満足である。

焼売も大粒の肉焼売だ。
なんの変哲もない焼売だけど━━━━

ビール持ってこい!!!

ってなる。
みっしりと詰まった肉ダネの食い出は三つづけでもかなりボリュームがあり美味い。

今度この店で酒の池を作り肉の林を拵えたいのだけれども、どなたかお付き合い願えませんでしょうかね?
ここは炒飯や炒めモノも美味いので街中華飲みなんて最高じゃないですか。

営業時間

11:30~14:00
17:00~21:00

定休日
日/月



席数28席
(テーブル28席&地下に1個室あり)

備考

昼飯時は常に満席。
相席をお願いされることもある。
駐車場は2台分あるが、ほぼ満車。
近隣にコインパーキングは無しという難易度の高さ。