焦るな森原よ。真のクローザーに求められる投球と継投の妙

今季から松井裕樹の先発転向に伴い楽天のクローザーを任されている森原康平。
昨日のオリックス戦で2点リードの9回に登板したが、まさかの5失点で初のブロウンセーブを喫した。

長身から長いエクステンションで伸びのある質の高い4シーム、スプリット、スラット型スライダーを投げ込み、制球がよく、走者に走らせない間合いや牽制技術、暴投の少ない投球など投球能力は抜群。拙著お股本を読んでツイートしてくれたり連絡をくれたりするなど、本当に大好きなタイプの投手である。経験を積んでいけば森唯斗(ソフトバンク)と共に日本代表のクローザーを任せたいレベルのタレントだ。

最近、好調だったリリーフ陣に陰りが出てきて、より守りたいという意識も働いたことだろう。

9回を振り返る

9回、先頭打者の平凡なフライをセンターとレフトの連携がまずく、レフトの島内が落球した。センターがとる打球だったように見えたが、味方のミスを守りたいと言った意識もより働いたかもしれない。

次の打者、ピンチバンターに山足が告げられて2球連続でストレートでバント失敗と簡単に追い込んだ。ここで2つのミスをしてしまった。まず、せっかく追い込んでいたのに、スラット型スライダーがやや甘く入ってバントをさせてしまった。しっかりと3バント失敗を誘発させるために、アウトローに投げ込みたかった。スラット型スライダーによるバント阻止理論はオンラインサロンNEORBEASEで今後詳しく解説する予定である。

それは仕方ないとして、弱いスピンのかかった打球であったが、セカンドに投げてしまいフィルダースチョイスとなってしまった。これはやはり精神的な部分が大きかったのだろう。

ノーアウト1,2塁となって続く安達の打席では、まずはアウトをとりたいという気持ちが強かったのだろう。ストレートであっさりとバントさせてファーストで1つのアウトをとった。精神的な余裕があれば、ここは逆にストレートで強めの打球でサード封殺を狙いたかったが、前のミスの影響もあり、余裕がなかった。
そして、続く3番の大城にセンター前に2点タイムリーを打たれ、逆転を許した。4番吉田正尚を申告敬遠した後、ロドリゲスはファーストファールフライに打ち取るが、6番のアダム・ジョーンズにスラット型スライダーが甘く入り、さらに2失点。ここで降板となった。

クローザーはまずは勝つことが最優先。そういう意味では、フィルダースチョイスが痛かった。最悪1点取られてもそれだけに留めて勝つことがクローザーには求められる。また、1点差のまま食い止められれば味方に逆転の可能性も残せる。

クローザー初経験の森原にとっては本当に苦い経験となったが、これだけの能力を持った投手。今後この経験を確実に活かしてくれることだろう。

今季はストレートはいいが、スライダーとフォークの変化球の落ちやキレはイマイチである。暴投が少ないと言った記事が無意識に働いて僅かに変化球のキレや落差に影響を与えている可能性もある。しっかりと曲げ落とす意識を持てるといいのかもしれない。

先発した涌井秀章が逆転を許して交代を告げられ、ベンチに戻ってきた森原にドンマイとばかりに優しくお尻を叩いたのが印象的だった。クローザー経験があり、先発の勝利を消してしまった経験も、先発としての経験も豊富な涌井からすれば「これをしっかりと糧としていけ」と言ったメッセージを伝えたかったのだろう。

なお、涌井投手は無傷の4連勝をあげており、昨日勝っていれば単独の5連勝。規定到達した投手では最高の奪三振率9.79と完全に復活している。お股本を読んでくれ、連絡をくれるなど、これだけの技術と経験がある投手はいいイメージを伝えて、意気に感じて投げれば三振も奪いつつ、長いイニングを投げるこれくらいのピッチングが展開できるのだなと感心している。ローテ5番目で相手とのマッチアップ優位と楽天打線の援護とリリーフがあれば、NPB史上初の3球団での最多勝の可能性もあると見ている。

運用だけでなく、継投・采配の妙を求めたい。ただ、トレンドとか言っているだけで真の一級品ではない

抑えの森原に外国人のブセニッツ、シャギワ、宋をローテーションし、アンダースローの牧田を5回くらいからのロングリリーフで起用、ルーキーの津留崎も防御率0.00をキープ、安樂も伸びのある4シームとジャイロフォークで安定した投球を見せており、酒井もスラット・スプリット型で安定していた楽天の中継ぎ陣。どの投手を出しても遜色ない陣容を揃えて、中継ぎローテーションを採用した素晴らしい運用を見せていた。
しかし、未だ無失点だった津留崎を降格させ、シャギワがMLB時代のようなスラッターのキレがでず、この日も失点するなど徐々に綻びが見えている。

ここから先は

674字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?