中二日で登板するバーテンダー

バーテンダーはピッチャーみたいだなぁと思ったことがある。

お酒をつくる人と投げる人にどんな共通点があるのかというと、カクテルシェイカーの振り方と、ボールの投げ方、それぞれを見分ける楽しみがあるということ。

シェイク法を気にしてみる

具体的にいえば、上からボールを投げるピッチャーを「オーバースロー」、斜め上からだと「スリークウォーター」、横からであれば「サイドスロー」、下からであれば「アンダースロー」と分類されるように、バーテンダーもシェイカーの振り方にそれぞれ違いがある。

基本的な分類は3つあって、手首だけの回転でお酒をまぜ合わせる「一段振り」、一段振りに上下運動を加えると「二段振り」、さらに横回転を加えると「三段振り」と分けられる。

バーテンダーは、つくるカクテル(まぜ合わせる材料)や、シェイカー(ツーピース、スリーピースなど)に合わせて振り方を変えるのが、基本的には自分のシェイクスタイルがある。

シェイカーを振ってる姿がよりダイナミックなのは、上下左右の動きがある三段振りだ。ただどれがいいとかわるいとかはない。どれが自分にハマるのかってことだろう(どの投げ方が一番自分の骨格に合うか、みたいな)。

シェイク法は、バーテンダーが持つサービスやカクテルに対する哲学や、オペレーション戦略などもひっくるめて、その個性をのぞけるもの。というわけで、バーに足を運んでみたときにチラ見するのがおすすめだ。

中二日で登板するバーテンダー

ちなみに、バーテンダーはピッチャーみたいだ、とぼくが思ったのは、むかし通っていたお店のバーテンダーが「うちのお店だとカウンターに立つのは三日に一回なんですよ」と話していたときだった。

そのお店にはバーテンダーが三人いて、それぞれが中二日空けてカウンターに入っていた。「一日に100杯近くカクテルつくるとさすがに肩にきますからねぇ」と笑い交じりにぼそっと話してくれたのだった。

ほほう、ピッチャーの登板みたいなんだな、いいこと知ったぞ、と心につよくメモしていたのを覚えている。

お酒好きじゃなくてもバーはきっと楽しめる

バーって、「お酒を飲む」だけの単純なところじゃなく、大事な人と過ごす場所だったり、一人の時間を味わう場所だったり、シックな音楽に耳を傾ける場所だったり、その楽しみ方は人それぞれで、お酒に詳しくなくてもべつにいい。

ただちょっとした作法を覚え、お酒やカクテルの知識が増えれば増えるほど、バーの楽しみ方が増えるのは間違いなく、お酒以外の知識としてはお店やバーテンダーの個性に触れるとバーで過ごす時間はもうちょい楽しくなる。

お酒なんてどこで飲んでも同じだ、と昔はそう思い込んでいたけど、ぼくの場合は先輩にバーに連れってもらって、バーでの酒の飲み方をなんとなく教えてもらって今にいたるわけだ。

バーに限らない話だろうけど、その入口まで案内してくれる人がそばにいるかどうかは、バーを親しみを持てるかどうかに大きく関わってくる。

なんとなく敷居が高そうで、気取ってそうで、バーは(よくもわるくも)閉ざされた場所、と思うのが一般的じゃないだろうか。

そういうイメージがあるからこそ、楽しみ方の間口はもっと広がるといいんよねーと思っている。バーは文化だし、日本のバー文化を知ってると、それだけで日本人らしさも見えてきておもしろいしなぁ。

グダグダと書いちゃったけど、とにもかくも、バーの楽しみ方を広げる一つのきっかけにこのnoteがなってくれたらうれしいのです。






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