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「平日しかライブをしません」宣言から考えた、暮らしありきのものづくりのかたち。

「だれの国語」という日記でも書いたけど、ハンバートハンバートの曲が好きなので、よく聴くようにしている。

田舎に移ってからというもの、暮らしのいたるところ(炊事、洗濯、散歩、畑仕事、寝起き、晩酌など)で、ハンバートハンバートの響きがシンクロするようなかんじがする。また、”夫婦デュオ”という暮らしと仕事が一緒な二人のあり方が昔からずっと気になっているのもある。

そんな彼らが、つい先日、こんな宣言を出した。

「平日しかライブをしません」、その理由をコミカルに漫画を通してお知らせするというもの。これがFacebookタイムラインに流れてきたとき、ぼくは「わあいいなぁさすがや」と思ったわけです。

ファンがあっての(商いとして、プロとしての)アーティストである(と思う)。ただそれ以上に、彼らは夫婦であり、三児の父母であるということ。子どもたちと過ごす時間のこと、「家族」を大切にできる暮らしのために、週末ライブをなくし、平日ライブにシフトしていく試みなんてすてきじゃあないですか。

「仕事があって働き方があって暮らしがある」ではなく、「暮らしがあって働き方があり仕事ある」というかたちを実践するというがまず尊い。また、それができるアーティストとの基盤を築き上げてきたことしかり、ファンとの関係性しかり。

知名度がある彼らだからこそ、その活動の仕方が、他アーティストにも影響する気もするし、もっと広くいえば、ものづくりに関わる人が働き方の選択肢を考える機会になる気もする。

「週末じゃないとライブに行けない人がいる(集客問題)」というリスクを背負いながらも、「平日に狙いを定めることでスケジュールが増える」や「地方出張が増える(かも)」などの利点を生かしながら、ライブづくりをしていくという考え方にも大賛成だ。

『生活の柄』『ゆうべは俺が悪かった』『天井』『がんばれお兄ちゃん』など、もともと暮らしのふとした(こと細かい)気づきや人間関係、家族をストーリー性を持ちながらゆるやかに描いてきた曲が多い(とぼく感じている)。

だからこそ、さらに「平日しかライブをしません」を実践していくなかで、どんな曲が生まれていくんだろうなぁという楽しみもある。今も十分すぎるくらいいいけど、来年以降のハンバートハンバートはもっといいんだろうぁ。

ついでに思ったことだけど、「わかりやすさは消費を多産する」で触れた「関係性だったり、想いだったり、消費以外のことを大切にしている人」こそ、彼ら二人なんじゃないだろうか。

また、荒い言葉にすれば「お客さんに媚びない」というスタンスは、最近みたカレー屋「サンラサー」のそれにも近いのかもなぁと。

「曲」とか「食べもの」とかそういったものをコンテンツとして扱っているのだけど、結局のところ、その魅力を届けたいところに届けつつ最大化するのは、それに関わる「思想」とか「哲学」みたいなものであって、さまざまな経験を通じてその考え(方)をこれまでに整えてきた「人」ことが筆頭となるコンテンツなんだろうな。

そんなことを思いながら、そして、書きながらも聴いてるのはハンバートハンバートの『台所』と『虎』。最近は落ち着いて作業したいときに流している。あ、あと、このインタビューがぼくは好きです。おすすめです。

「せっかくいい曲ができたんだから、どうでもいい歌詞を書こう」

メリハリというか、抜け感というか、バランス感覚がさいこーすぎる。

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