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道化と覇者のローカル

いまだによくわかってないし、説明として正しい気もしないことばなのだけど、「ローカル界隈」が苦手になってきたのは、3~4年前くらいだっただろうか。

ローカル界隈というのは、「地域おこし」だとか「まちづくり」だとか「移住」だとか、そういう地域に根ざして何かをやったり、地域に根ざないとしても、根ざしている人たちとの関わりと深くしてその土地から離れたところにいても地域を慮る、みたいな人たちがいる界隈のことである。

なぜその界隈が「あ、苦手だ...」と思うようになったかというと、まだすべてを言語化はできていないが、自覚しているぶんで言うと、「明るく振舞っているやつが多いから」という至極単純明快である。

なんというか、自分たちのやっていることを祭りのように盛り上げるためには、ワッショイ的な明るさ・元気さが必要になってくる。もっと雑にいえば、「!」が必要になるということ。

ぼく自身がライターとしてローカル界隈に関わるようになって感じたのは、「(うるさいくらい)明るいやつが多いな」ということであり、これは若干のジェラシー交じりではあるのだけど、その明るさが根暗な自分としてはうざったかった。

そんなことを感じながらも、後から気づいたことは、「根明じゃないくせに、ムリして明るく振舞っているやつ多いぞ...」という事実である。それが顕著になるのはSNSでの発信であり、さきほどの「!」の多さで勢いを出してるくせに、リアルに会ってみると実はあまり覇気がなくどちらかといえば語尾に「...」付くのがデフォルトのような人がそこそこいるということだ!!!!!!!!!!

つまり、ローカル界隈での生業をつくってしまったために、普段はそうじゃないくせに、SNSや人前に出るときには道化師のように明るさを演出し、明るい人が地域に集まりやすいシカケをつくっているように思う。

だから、ぼくが知ってるかぎりでも、facebookでは笑っているけど投稿ボタンを押すパソコンの前では嘆いている人は何人もいて、そういう人が「自分らしい生き方を」なんてのを推奨しているのだから、皮肉なもんで、どこか歯車に狂いがあるように思う。

少なからず、その地域と明るさの関係性について、ぼくも加担していて罪はあるので、あまり強くは言えないのだけど、ぼく自身もそこに疲弊してしまったし、嘘をついてる自分に絶望したのもあって、そこから離れようと決したのが恥ずかしながらある。

余談でいえば、根暗な人たちが地域に馴染まない、ということではなく、実はむしろ馴染むんじゃないか説はある。ただ、彼らはべつにメディアに露出することや、人前に出ることを良しとしてるわけでなく、ただ自分たちの暮らしをよりよくしていきたいと考えて、日々のあれこれをしてるだけみたいなので、祭りのような”賑わい”からは距離を置いている人がとりわけ多い。

あともう一つ余談。地域が盛り上がってるように見せるには、その地域についてのウェブアーカイブ(記事)などを数本蓄積させるだけでもその”雰囲気”はつくれるので、地域に関わるライター人口を増やすといい。なんとなく盛り上がってる感は出るが、足を運んでみると実情は違う、ということに出くわすのはそれが理由で、意図的にパーティ感を作り出せれた地域もあるってのは知って損はないだろう。まぁこれはメディアをどう戦略的に使うかどうかっていう話でもある。

とりとめのない文章になっているのは認めつつ、そういう明るさに満ち溢れた人たち(明るさを醸し出しながらピエロってる人たち)が伝える「地域」というのは、どうしても「強者/覇者」感があって、根暗サイドで生きている人たからすれば、手が届かないところにあるもののように思える。

ジェーン・スーが「運動不足の人に対して『一駅前で降りて歩くといい』というアドバイスは正論なのはわかるが、本当の運動不足からすれば、その距離を歩く体力すらない」的なことを、とあるコラムで書いていて、定期的なトレーニングを経て、「やっと『人駅前で降りて歩く』という土台に立てた」と続けていた。

まさに、このような心境的、性格的ともいえる、彼らが当たり前にやっていること、言ってることも、「頭ではわかるのだけどその言葉を身に実装するためにはまだもう一段くらい上がらないといけない」という壁があるということだ。

防御態勢を取らしてもらうと、このnoteはその現状を批判的に言いたいわけではなく、そういう精神的/性格的な格差/段をどのように埋め合わせていけるのかを考えることは大事なんだろうな、という発見がぼくの身のあったことの報告でしかない。

まぁそれはぼくが考えるものでなく、ローカル界隈の人たちが考えてくれればいい、というのが今のところの見解ではある。

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