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陸でフライト

都会はノイズが多すぎる。なんてことを言う人がいるけれど、たしかに田舎のほうが人が少ないぶん、ノイズが少ないのかもね。

けど、田舎には田舎特有の人間関係だったり、見えにくいルールみたいのもあるから、それはそれでノイズなんじゃないかと思えば、そこに集まってくる人の規模によってノイズ量っては変わるし、都会と田舎のどっちにいようと種類の違うノイズに出会う可能性はあるよ、という話なんじゃないだろうか。

いや、ほんとはね、そんな都会と田舎の比較をするつもりはなくて、むしろどっちにも共通するノイズについて話したかったんですよ。

日本のどこに住んでようと、日常生活に欠かせなくなっているのが、スマートフォン。これ便利すよね、どっからでも連絡とれるし、世界中の人とつながっている感覚も得られるし。

大げさに言っちゃえば、Wi-FiをONにさえしていれば、田舎にいることを忘れられる。スマホ画面のなかには、田舎も都会も国さえも越えたひとつのワールドがある。

まぁだからこそ感じるノイズもあるわけで。

ことばを換えれば、スマホを持っていれば、どこにいても「連絡くらいとれるよね?」と思われ、半強制的に世界とつなげられている。鎖につながれた囚人のように、スマホの奴隷になってしまっている自分をときどき感じることがある。

その瞬間って、人間としての創造力をテクノロジーにぐいっと持っていかれてる気がしちゃってつらいし、かなしい。

だから、たまにやるのが思い切ってWi-FiをOFFにするということ。

現実に戻る、とまでは言わないけど、目の前の景色をゆっくりと眺め、アナログに耽るのだ。本を読んだり、白紙にペンを書き入れてじっくりと考え込んでみたり、コーヒーを丁寧に淹れてみたり、いろいろだ。

すると、同じ場所をうろうろとさせていた鎖を解き放って、頭の中は、のびのびのと、どこまでも飛翔していけるような晴れやかな気分になる。

Wi-FiをOFFにするわかりやすいボタンが、飛行機マークのあいつ。Bluetoothまでも巻き込んでいっさいの電波を遮断して、ノイズを沈めてくれるフライトモード。

べつに離陸してどこか遠くに向かうでもなく、自分を人間たらしめるためにも、ときどきぼくは陸でフライトするようにしている。窓の向こうに広がる景色はいつもと変わらない。ただ雪化粧をしていて少しだけ寒そうだ。

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