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スマホを割って、血を呪う。

 つい数日前、スマホの画面のヒビが割れた。二度見しちゃうくらい、バキバキに。ただそれだけのことなのにひどく心臓をえぐられたような気分になる。しかも、一度ならず何度も、日々のゆるみを狙って、隙あらばえぐり直してくる始末。

 最初は自分でもよくわからなかった。

 ただ「スマホ割れて修理代かかる!今月ピンチや!」くらいの引きずり感かなぁと思っていたのだけど、実際には根は深いようで、脳内で割れたシーンを再生しながら、ふとフラッシュバックされる出来事こそが重要だった。

 そもそもスマホが割れたのは、自身のせいで、ちょっとした苛立ちが原因だった。

 我が家で飼っている猫5匹、ときどきラリったように、家のなかでえらく大暴れする。その日もそうだった。雨天が続いて、外に出せてなかったから余計だったかもしれない。

 いつもなら「一歳で遊び盛りだからしょうがないよなぁ」とのんきに考えながら、軽い声掛けをしたり、パンッと音を鳴らして猫の気を引いてみるなどして、その場を凌ごうとする。

 だけどこの日は、ボクは少し荒れていた。今思えばなんでそんなことで苛立ってたんだろう、と恥ずかしい話ではあるが、チームの足並みが揃わずにちょっぴり仕事が滞っていただけだったのに。

 とはいえ、最初は、小さな炎でしかなかった。が、猫の大乱闘スマッシュブラザーズばりの縦横無尽なアクションで種火が一瞬にして轟轟と燃え上がってしまった。

 そのせいで、いつものパンッという音を鳴らすつもりが、床にバンッと叩きつけるかたちになっていた。気がついたら、スマホが割れていた。床を叩きつけた右手にはスマホが握られたままだったのだ。

 「あ、、、」と怒りで我を忘れていた自分を見つけ、数秒のうちで何重もの線が入った画面を見つめて、ボクは唖然としてしまった。燃え上がった炎は、制御できないまま自身を呑み込んでいた。笑止千万の、焼死である。

 短気は損気とはよく言ったもんで、もともと喧嘩っ早くて、すぐにイラつく性格だという自覚はあった。一人のときほど、その”気”はつよくて、感情が漏れ出ては、ムシャクシャして床や壁を拳を打ち付けたり(結果、手が痛い)、うおおおおおおと勢いよく庭の草を掻きむしったりよくしていた。

 短気はよくないよな、と10代後半に思うようになってから、心理学を学んだり(自分が怒りがネガティブだけでなくポジティブにも原動力になっているタイプだとわかったり)、その感情の吐き出し口として文章をしたためるようにもなった。また、自覚があったからこそ、特に仕事のときほど、対人コミュニケーションには気をつけていたつもりだ。

 だからこそ、このスマホにおける怒りのボルテージダムの決壊は自分でも慄いた。さらにふと思い出したのは、父だった。

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大見謝らじを

ケケケという屋号でカクテルつくったり企画したり / 芸能と民俗と風俗 / ことばと思想とコミュニケーション / 元ライター

大見謝の頭の馬鹿

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