見出し画像

作文こわい

 「書き始めちゃえばなんてことないのよ。ただね、書き出しがうまくいかんのですよ」

 高校生の頃、くだらない言い訳をよくしていた。作文は苦手だった。四〇〇字詰め、ペライチの紙が、ボクにはとても重かった。

 意見発表会の時期がくると、生意気にも主張したいことは下半身が滾るほどにあるくせに、原稿用紙を前にすると、その勢いはどこへやら、急に大人しく、インポになる。

 中々に、いつも書き出せない。文学小説のような奥ゆかしく艶めかしい言葉を並べたくても、圧倒的に脳みそが足りない。

 ただ不思議なもので、提出前日には、ええいままよ! と腹を括り、どうにか形にはしてしまう。この宵の滾りは凄まじい。

 本当は、書き始めるのだってなんてことはない。一升目に黒字を入れるだけなのだから。きれいなイメージは一切掻き捨てて、汚れた一筆を入れればいい。ずっと下手くそでいい。

 でもまあ、無駄な悩みは青春でもあったか。

もしも投げ銭もらったら、もっとnoteをつくったり、他の人のnoteを購入するために使わせてもらいます。