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妖怪と境界とSakai

「境界について考えることほどおもしろいものはない」

という自論がある。

知ってる人も多いかもしれないが、漫画家であり妖怪研究家でもある水木しげるの育った場所であるという縁から、100体以上の妖怪像がずらりと立ち並んでいるのが、鳥取は境港である。

そう、「妖怪」という切り口で境港という町を見ることができるのだけど、そもそも「妖怪」を考えること「境界」を考えることだと気づけば、境界という切り口で眺めてみる境港もおもしろいんじゃないかい?!と思い始めたのが、約3年前のこと。

妖怪と境界、さまざま世界、時間と空間

さて、話が暴走してる気がするので、まずは「妖怪」と「境界」についての関係性についてざっくりと紹介してみたい。

人間が暮らす世界とはべつに、妖怪が暮らす”異界”がある。というのは、細田守監督の『バケモノの子』やジブリ作品の『千と千尋の神隠し』を思い返してもらえれば、ご理解もらえたらうれしい。

パラレルワールドとして人間と妖怪には暮らす世界があって、そこをつなぐための境界がどこかにある、という発想である。パラレルでないとしても”この世”と”あの世”というような区別があるのは、境界を考えるうえでも大事な要素だろう。

また「時間」と「空間」に注目してもらうのもいい。

妖怪はいつ現れるのか? 夕暮れ時という、昼と夜の狭間に現れることが記述されているものが多い。これは「闇(陰)」と「光(陽)」が混ざりあうころ合いに動き出すのが、妖怪というサインでもある。

また、妖怪が現れる場所についても、不思議なことに、家の内と外の境界線を分ける”門”であったり、川の対岸をつなぐ”橋”の上であったり、”トンネル”であったりする。つまり、AとBをつなぐ境界に現るという特性がある。

境港にみつけた境界

「妖怪」と「境界」の関係性はそのようであるとして、境港の話に戻ると、境界目線でみるこの町は、さまざまな境界を考えられる場所であることに気づく。

まず、半島から橋を渡ってしまえばすぐに松江に行けてしまうこと。つまりは、鳥取と島根の境界に接している。また、港町であることから、海(日本海)と陸(日本列島)との境界線でもある。また、国内で唯一ロシア・ウラジオストクを行き来するフェリーがあり、ロシアと日本の境界ともなっている。

さらには、水木しげるロードのおかげもあって、観光客絶えない町なのだが、とはいっても、普通に暮らしている人が大概なのであって、「観光」と「生活」あるいは「非日常」と「日常」が混在する場所でもある。冒頭の妖怪の話に少し寄せ直せば、妖怪と人間の(存在)の境界についても考えような地点でもあるように思う。

思いつくままに挙げるだけでこれだけあるので、もっと深く観察してみると、もっと多くの境界を見つけられるはずだ。

境界ラブ! - 境界を漂うために

さて、自分の半生を思い返してみれば、「境界が気になって気になってしょうがない」半生ではなかったか、と感じる。

「仕事」と「遊び」
「思考」と「行動」
「男」と「女」
「性」と「愛」
「リアル」と「ウェブ」
「健常者」と「障害者」
「移動」と「移住」
「沖縄人」と「日本人」
「本音」と「建前」

などなど、そのことばとことば(現象)の境界には一体何があるのか? という疑問を持ちながら、ずっとこれまでやってきたようなもので、右か左のどちらの極端に偏るでもなく、その境界上にどうやって浮遊していられるかをだらだらと模索してきたような30年間ではなかったか。

ようは、、境界ラブ!であり、境界にゾッコン!なのであって、さまざまな事と事における「境界」について考えてみよう、と思ったのだ(そう思っただけ、とも言えるが......)。

「境界」を探ることは、マージナルマン、間、T型人材、境目、越境、などのワードを探ることにもつながるだろう、と仮説も立てた。

その境界思考を深める地として、境港はいい場所だよなぁ、と直感的に思ったわけで、ぼくが境港に拠点を構えようと今準備してるのも、そういった点にある。

「Sakai」という寄稿型ウェブマガジン

むかし、チラリと境港発のローカルメディアでもつくろうか、と思ったのだけど、そんなものをしょうがねぇなとすぐに思い直し、最終的に思い至ったのが「境界について考えるウェブマガジンでもつくろうかしら」というもの。

上に少し並べてみたが、ぼくだけでも境界についてのさまざまなテーマを持ってるわけなので、他のだれかの”境界観”に触れてみるのもおもしろいんじゃないだろうか。

また、むかし「アパートメント」というウェブマガジンに関わらせてもらってたことを思い出したとき、寄稿型にするといいかもなぁ、と、とりあえず妄想だけは広がっている。

新しくサイトを立ち上げて、ってのもめんどうくさいので、noteマガジンを利用させてもらいつつ、はじめてみようかと。その前に、まずは自分のテーマをいくらか整理するための準備マガジンづくりから。寄稿してもらえそうな人探しもおいおい。

あ、サイトタイトルは、Sakai(仮)です。


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