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のの奥様ストーリー【4】

4
 ホテルの部屋に入るまで、俺はテンションを必死に抑えていた。
 それまでは気が気じゃなかった。家に帰り酔いが覚めると、記憶にある上司とのやりとりがじわじわと浮かび上がってくる。かろうじて予約内容を覚えていた俺は、「やっちまった」で脳内が埋め尽くされていた。
 幸か不幸か、今日の嫁さんは友達と予定があり、遅くまで帰ってこない。バックれて逃げるほどの思い切りも、ない。 
 そんな中、待ち合わせ場所に現れたののさんは、とにかく俺の好みぴったりだった。
 第一印象でしっかり選んだのだから当たり前なのだが、実際に会うと本当に可愛い。明るく笑ってくれて、そばにぴたっと寄ってくれた時にはニヤけ顔が止まらない。嗅いだことのない、でも確実に良い女を思わせるいい匂いがする。
 

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