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「二童敵討」 私の楽しみ方

◼️ タイトル

色々と調べていると意外に面白いのがタイトル。

1. 「護佐丸敵討」
2. 一名「護佐丸敵討」
3. 「護佐丸敵討(一名、二童敵討)」
4. 「護佐丸敵打」
5. 「鶴亀二児復父仇故事」


私が調べただけでも他に五つありました。
1 は有名でよく使われていますね。
2 や 3 みたいなタイトルは、他の作品でも結構みかけます。
4 は誤植かとも考えられますが、調べると少なからず出現。
5 は、冊封副使の徐葆光の「中山伝信録」(「中山傳信録」)に載っている。

5は、古(いにしえ)の世界に一気に飛んで行けそうでこの文字を見ているだけで、色々と想像(妄想とも)できます。ちなみに二童の名前が、鶴松と亀千代。

私がこの作品のタイトルを間違えそうになるのは、あれっ「うちてき」だっけ?「てきうち」だっけ?とよく悩んでます。

◼️ 台本


台本は、どうやらいくつかあるらしいです。
有名なのはバイブルと言っても過言ではない 伊波普猷の「校注琉球戯曲集」に載っているもの。ローマ字で読み方が記載してあり、歌はなんと工工四ではなく五線譜におたまじゃくし。しかも手書きの楽譜です。衣装などの記載もありました。

そして実際には見た訳ではありませんが、明治43年5月12日~15日まで琉球新報に 藪の鶯 という名で連載した台本もあるそうです。

現在は、名優 真境名由康さんの口述による台本が多く使用されているらしいとのこと。こちらも実際に見ていませんが、沖縄タイムス社の「組踊五番」という書籍に載っているそうです。

それぞれの違いを知りたくなりますね。

◼️ 歌

まずなんと言っても心情を表現する歌の使い方が素晴らしい。
選曲もタイミングもよく心情を聴かせてくれます。その際は立方の動きを抑えぎみにするところがにくい演出ですね。

◼️ シンプルなストーリー

あまおへ が護佐丸を亡き者にし、護佐丸の子二人が母から父護佐丸の形見の刀を受けとり、仇打ちをするお話し。
いたってシンプルで、初見の場合は、これだけのあらすじを知っているだけでも、楽しめるかどうか違ってくると思います。
何度か聴いている内に、想像力をかきたてられて回を重ねる毎に面白くなってきました。

◼️ 最低限の登場人物

あまおへ
供一
供二
供三
鶴松
亀千代

きやうちやこ持


と八名。
何故、供三人と書かず、個別に書いたかは、単なるエキストラ的な存在ではないからですよ。
登場人物が少ないからストーリーもわかりやすいです。

◼️ 七目付


あまおへ が登場し一番最初の見せ場。
一説によるとこの場面でその舞台の良し悪しが決まるとも言われているそうです。
迫力ある立方が演じると思わずかっこいいと思ってしまいます。男ですが、ほれぼれしてしまいますね。断っておきますが、その毛はありませんので念のため。

◼️ 母との別れ


実は私が一番素晴らしいと感じているのがこの場面。
涙がこぼれそうになり、心が震えます。
それは一番最初に二童敵討を聴いた時から変わりません。
ですが、組踊のことをわからないままこの場面がくると、きっと退屈だとも思います。曲調が暗く、立方の動きも台詞もほとんどないからです。

ところが私は組踊のことがわかっていなかったのですが、なぜかこの場面に心が持っていかれました。

父を殺めた あまおへ は、やはりおそろしいが、母から受け取った刀を懐にし、きっと仇を。でも逆に あまおへ に殺されるかもしれない。
母は刀を子に渡し、私も男だったらと悔しがり、もしかしたらと思うとこれで我が子に二度と会えないかもしれない。
そんな思いが交差し、わずかに首を傾ける様は、涙が出ます。
そして母子の別れ。

それが、
仲村渠節(なかんかりぶし) ~ 散山節(さんやまぶし) ~ 伊野波節(ぬふぁぶし) と続く三曲。

私の中では、最も重要なこの全八曲中の三曲です。地謡の皆さん次第で、より感動的になります。

◼️ あまおへ の変化


次の「二童の舞」とどちらを先に書こうと迷いましたが・・・。

あまおへ の見所のひとつというか、私は七目付以上にこちらの方が、あまおへ の見所と思ってます。
供とともにくつろぎ、勇ましい あまおへ が二童の舞とお酌で上機嫌になり、酔っぱらいだらしなくなる。ですが、殺気を感じた瞬間に真顔になり、キリッとする。この七変化をしっかり魅せていただけるとうれしくなりますね。

◼️ 二童の舞


二人の息がピッタリの舞は、見とれてしまいますね。
暫し美しい舞を堪能できます。
また、笑える場面がありますのでお楽しみに。

美しい舞を躍りながら鶴松 と 亀千代 が流行る気持ちを押さえながら虎視眈々とチャンスを狙う目付き。もうドキドキの瞬間です。前の方に座ると鋭い目付きがよくわかりますよ。
でも、前の方に座ると足元が見えない時もあります。足運びを見るのも組踊の楽しみのひとつ。幕が上がるまで舞台がどうなっているかわからないから、感に頼るしかありませんけどね。

◼️ 主人公は誰?


あまおへ の七目付によって舞台の良し悪しが決まるとも言われているのは前出の通りですので、 あまおへ が主人公とも言えますし、タイトルの通りやはり 鶴松 と 亀千代 の二童が主人公とも。
私にはどちらとも言えません。もしかしたら、どちらも主人公かもしれませんね。

◼️ ハッピーエンド


組踊は必ずといっていいほどハッピーエンドで終わります。
この演目で私が一番好きな台詞が最後の方にあります。台本により少し違うやもしれませんが、
「やあ亀千代 刀や鞘に納め 踊て戻らうや」
です。

仇打ちを果たし、ほっとし、うれしい様がよく現れていて、私も満足感で満たされます。

◼️ 能「放下僧」


能を参考にもしたといわれる組踊。
「二童敵討」とよく比較されるのが「放下僧」ですね。
一度拝見したのですが、初めて観た能で実ははっきり覚えておりません。
でも、日本人形が動いているみたいだと映像は今でも浮かんできます。
そういえば同じ日に「二童敵討」を初めて聴きました。

◼️ その他


衣装、髪型、化粧、小物なども見ていて楽しいもの。
最初、童の衣装が女性かと思いました。
少しその辺りの区別がつくようになってきましたが、まだまだわからない分野ですね。
わかってくると更に楽しめそうです。

今のところの私の楽しみ方です。
思っていた以上にボリューム満点になってしまいました。
でも、もっともっと聴くと、楽しみがもっともっと増える気がします。
その時は、PARTⅡがあるかも(๑˃̵ᴗ˂̵)