1月〜2月あたり

2018年の10月か11月あたりにいただいたお仕事のプロットを作る為に勉強する。自然ドキュメンタリー的なものでクライアントはその分野を研究する某大学だった。分厚い図鑑を読み込みドキュメンタリー映画や番組をいくつも観てネタを拾っていく。かなり大きなジャンルがテーマだったので基本的な知識をインプットするまでに思いの外時間がかかってしまう。

3月

前述の案件の絵コンテとビデオコンテの提出があった。尺が15分と仕事では前例のない規模だったのでプロットをまとめるのにとても骨が折れた。
またNHK「ふつうってなんだろう」のアニメーションを作ったのもこの時期だったと思う。数年ぶりに（株）ロボットの方々とのお仕事で嬉しかった。締め切りが連続したことでかなりバタバタしていた記憶。

4月〜8月

長尺案件のプロットも決定しいよいよ本格的にアニメーション制作作業に入る。ここからはもうひたすら延々と制作の日々。あまりに作業量が膨大な為、管理の為に初めてGoogleのスプレッドシートを使う。1カット毎のすべき作業をすべて表にまとめ、原画や動画や着彩などの進捗を記載していく。制作のアシスタントも複数人に頼んだので誰にどの作業を振ったのかも全て記録していく。膨大なToDoリストをひとつずつひたすらこなしていく四ヶ月間。ちなみにこの間並行する案件はなくこれ一本にかかりきりだった。

9月

8月半ばくらいに素材が出揃いそこからコンポジット作業（素材を組み合わせて映像にしていく作業）に入る。コンポジット作業は比較的速いという自信があるが今回は尺が尺だけにやってもやってもこれまた延々に終わらない。普段の仕事では5日間もあれば大抵終わるものだが、今回は丸一ヶ月間かかった。
そしてついに15分のアニメーションが完成。稼働期間を合算すれば九ヶ月間くらいになると思う。クライアントが大学のようなクリエイティブ業界と縁遠い場所の場合、まあ話が難航することが多いのだが、今回は先方が物凄く理解を持って進めてくださったおかげで本当にスムーズに完成し有難かった。

本来であればここでしばらく骨休めをしたかったが生憎とすぐさま次の案件がスタートする。ティファニーとゼクシィのコラボムービーシリーズの3作目。シリーズ通して脚本を川村元気さんが書いていて、今回は作中でアニメーションを使いたいということで川村さんからご指名いただいた。川村さんに声をかけてもらえるというのは素直に嬉しい。

10月

ティファニー案件は一ヶ月間くらいで完成。九ヶ月間案件の後ではこのサラッと加減が有難い。普段はあまり縁がない実写の撮影現場にも一瞬お邪魔する（森七菜さんにお会いした）など、新鮮な体験が出来たのも良かった。今作の映像監督（毎回変わる）は山田智和さんで、米津玄師やあいみょんなどのMVを多数手がける実力者。今作の仕上がりもとても素晴らしく実写の世界の奥深さを感じた。YouTubeで公開された映像はかなり好評のようで、さっき見たら再生数が562万だった。

11月〜12月

その後ようやく仕事が落ち着く。
三井住友カードの特設サイト用のクリスマスGIFを作った。
イラストレーションの年鑑である「ILLUSTRATION 2020」に掲載していただく。
それに関連してSUZURIで新しいグッズを作る。
また「ILLUSTRATION 2020」と「アナと雪の女王2」のコラボ企画に参加し、絵を描く。

それ以外の時間はある新しい領域の仕事の為のプロット作りをじっくり進めていた。締め切りがあるものではなく自分で満足いくものを作れるかどうかにかかっている。自分的にはかなり大事な仕事なので来年も引き続き全霊で取り組んでいく。

また一方で個展の計画をゆるっと始動させ、noteで制作記を書き始めるなどもした。まだ制作記らしい制作記は書いてない気がするが。

振り返ってみて

今年は受注仕事に多くの時間が取られ、あまり作品を発信することが出来なかったのは少し残念だ。とは言えそれでなんとか成立している生活ぶりだから、そうならざるを得なかったとも言える。良いバランスでやっていけていない、というのが今の自分の作家としての実力なのだと思う。

来年はそれを良い方向に変えていきたい。個展も実行するつもりだし、Twitterベースの作品投稿も良い流れでやっていきたい。上述した「新しい領域の仕事」というのも、人生の岐路になるかもしれないぐらいのものなのでしっかりとやりたい。

今は自分の活動を次の段階にアップデートしている最中。完了がいつになるのか見当もつかないが、それを目指して来年も頑張っていこう。