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夜中に蔦屋で思いの外長く過ごした話

イラストレーターの中山信一くんが漫画「労働讃歌」の発売を記念して代官山蔦屋書店で展示をしている。とのことだったのでさっき帰りがけに寄ってきた。労働讃歌は作はおおばるさん、絵は中山くんというタッグで描かれた作品でしばらく前にwebで発表された。その作品を代官山蔦屋書店が直々に書籍にし出版するというんだからなんだか凄い話だ。このスペースで展示が出来るっていうのも作家としては割と夢だ。蔦屋書店ってそんなこともするんだね。

めっちゃフューチャリングされてる。。原画も凄い良かった。余談だが他の作家さんの絵なんてほとんど買わない僕だけど中山くんの原画は3枚も持ってる。純粋に中山くんの絵のファンだ。

中山くんはこれまでも何回かこの蔦屋書店で作品集やグッズを展開していたりイベントをしたりしていて、蔦屋書店がそんな風にタッチできる場所だとは思えないから気になってそれはどういう繋がりなの?と本人に聞いてみたら、中山くんの作品を見て気に入った蔦屋書店のスタッフさんから直々に連絡をもらったと教えてくれた。そんなことってあるのか。。でも中山くんに声をかけたスタッフさん、グッチョイ。

勿論本はしっかり買いました。表紙の造りめっちゃいい〜。しっとりとした色合い惚れ惚れしちゃう。手触りも良い。

その後ホクホクした気持ちで残りの店内もぐるりと物色した。絵本売り場では荒井良二さんコーナーがあって、初めて読んだ「ユックリとジョジョニ」がかなり良かったので買う。いわゆる荒井良二調の絵の具グシャグシャー!という感じじゃなくて凄く洒落た感じの絵で素敵だった。1991年初版だ。なるほど。ついでにそこに置いてあった荒井良二さんが絵本について買いた著書「ぼくの絵本じゃあにぃ」も買った。僕は荒井良二さんの絵は特別好みではないんだけど、それでも時折凄く良いなと思う絵本がある。

店内を歩いていたら天井から永井博さんが描いた代官山蔦屋書店の絵が下がっていることに気付く。永井博さんといえば北村みなみさんから「最近凄いリバイバルがきてるんですよ」という話を聞いて「へー、あ、見たことあるなこの絵」というように認知していた人だ。つい先日も雑誌「ILLUSTRATION」に載っていた対談を読んだばかりだったので個人的に結構タイムリーで気になった。どうやら中山くんと同じような感じで、蔦屋書店から作品集を出すらしい。でちょうど中山くんと反対側の展示スペースで展示をしていた。

これがまあ驚いた。まずぱっと見の印象は「お〜原画も発色良くて綺麗だな〜」という感じだったのだけど、近くで見たら「めっちゃ筆っ!」。もうびっくりするくらい手描きだった。いやアナログで描いてるっていうのは対談でも読んでいたんだけど絵柄が凄い緻密だから間近で見て思っていた以上の「生」感に驚いてしまった。次に驚いたのが絵の値段。ここに並んでる絵、だいたい1枚100万円だった。どひぇ〜。まあ絵画の世界でそれなりに大御所ならそんなに驚くような値段ではないのかもしれないんだけど、単純に絶対的な金額感に一瞬クラっときてしまった。拙者もまだまだ未熟者でござる。。で肝心の発売された作品集「CONTRAST」。これまたかっこいい造りだ。どれどれおいくらぐらいかなと手にとって3度目の驚き。一冊約二万。ど、どひぇ〜〜〜!せいぜい八千円くらいかな〜と思ってた〜。よく見ると500部限定の出版らしい。作品集としてのクオリティを高くするために少部数高価格路線の本ということか。。でもまあ原画100万で売ってることを考えると納得という気もする・・・とかぶつぶつ一人で考えながら置いてあったサンプル本を手に取る。

良い。なんだこれは。めちゃくちゃ良いぞ。上にも書いたように僕にとっての永井博さんは「なんか見たことあるな〜」と「最近よく見かけるな〜」くらいの人だった。勿論代表的なプールの作品は綺麗だなと思っていたけど、それくらいだ。間違っても僕はこういうタイプの絵はかかないから参考にという気持ちにもならない。でもこの作品集にはそんなこととはおかまいなしのバチバチの魅力を放っていた。ノスタルジックでセンチメンタルな空気を纏った美しい作品の数々が申し分ない佇まいで並んでいた。

正直めちゃくちゃ欲しくなった。でも二万て。。帰りがけに気安い気分で立ち寄った人間にはあまりにもヘビーな値段だ。重い。重すぎるよぉ。隣には廉価版、というわけではないがいわゆる普通に流通用の(それも復刊したものらしい)作品集があったので見てみたが、掲載作品のセレクト、本のレイアウトやクオリティ、まるで比べ物にならない別物だ。こちらの作品集の方は僕が抱いていた永井博さんの印象通りという感じだった。

売り場の前でめちゃくちゃ悩むこと十数分。一人脳内会議は紛糾した。
こんな衝撃を与えてくれる本なんてそうそうないよな〜。ここで見納めなんてこれはもはや重大な損失かしら?500部限定〜?好きな作家ですら二万の本なんて持ってないぞ。。でもクオリティを考えると納得してしまっている自分もいる。。まあ世界には1冊100万で売られる写真集もあるしそれに比べれば二万なんて庶民に配慮した良心的価格という風にも考えられるし〜〜〜・・・う〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・

結果

買いました。

悔いなし。。たぶん。。。(今日は一人だったから勢いで買っちゃったけど奥さんが一緒にいたら止められていただろうな)

おしまい。

作品制作に繋げていきたいと思いますので是非よろしくお願いします。