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そのサッカーを疑え!

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#川崎フロンターレ

日本人サッカー監督はなぜ「色」を貫けないのか。「森保化」したかに見える川崎・鬼木監督を心配する

日本人サッカー監督はなぜ「色」を貫けないのか。「森保化」したかに見える川崎・鬼木監督を心配する

 国立競技場に54243人の観衆を集めて行われた湘南ベルマーレ対川崎フロンターレ戦。

 この試合が両軍のホームスタジアムで行われていれば、スタンドは緑と青の2色に分かれていたはずである。第3者が介在する余地は1割も残されていないだろう。しかし舞台が国立競技場となると話は変わる。この一戦の場合は湘南3割(約16300人)、川崎2割(約10800人)、その他5割(約27000人)だった。つまり国立競

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川崎Fの凋落はJリーグの凋落そのものである。日本サッカーが抱える構造的問題とは

川崎Fの凋落はJリーグの凋落そのものである。日本サッカーが抱える構造的問題とは

 Jリーグ関連のニュースと言えば、浦和レッズのサポーター問題、ジャッジの問題が目に止まる。それはそれで追及されるべき大事な話だが、一方でサッカーそのものの話題が報じられない現実には、大いなる不満を覚える。

 2017年シーズンに初優勝を遂げて以来7シーズンで優勝4回、2位2回、4位1回と、Jリーグで断トツの成績を収めてきた川崎フロンターレが今季これまで9位に沈む現状を嘆いたり、案じたりする声は聞

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精神論か。浦和戦の最終盤に布陣を5バックに変更した鬼木采配への疑問

精神論か。浦和戦の最終盤に布陣を5バックに変更した鬼木采配への疑問

 日曜日、川崎フロンターレは浦和レッズ相手に1-0でリードしながら、終盤同点に追いつかれドロー。勝ち点1を加えたものの順位は13位から15位に後退した。過去6シーズンで4度優勝を飾っているJリーグでNo.1の実績を誇るチームである。川崎の低迷はJリーグ前半の大きな話題と言っていいだろう。

 1-1にされたのは後半34分。その少し前あたりから試合は浦和が押し込む状態が続いていた。すると後半40分、

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R・マドリーの左サイド対PSGの右サイド等。「サイドを制するものは試合を制す」が該当する試合の数々

R・マドリーの左サイド対PSGの右サイド等。「サイドを制するものは試合を制す」が該当する試合の数々

 直近の5シーズンで4回優勝した川崎フロンターレは、その前に一時代を築いたサンフレッチェ広島(2012年〜2015年シーズンの間に3度優勝)とは、サッカーのスタイルが決定的に違っている。

 現在J1で川崎と首位を争う横浜F・マリノスも、近しい関係にあるのは川崎だ。

 広島の前に一時代を築いた鹿島アントラーズ(2007年〜2009年シーズンを3連覇)は、川崎的でも横浜FM的でもなかった。広島的で

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鹿島に同種のサッカーで対抗した川崎鬼木監督への不安

鹿島に同種のサッカーで対抗した川崎鬼木監督への不安

 3連覇を狙う川崎フロンターレは、横浜F・マリノスに2-4で敗れたその3日後、試合間隔が一週間空いた鹿島アントラーズとアウェー戦を戦った。苦戦するのではないかの下馬評とは裏腹に、川崎は開始2分、相手のミスを突き先制。その15分後にも新人、佐々木旭が追加点を決め、2-0のスコアで押し切った。

 心配は杞憂に終わった。結果論で言えばそうなる。実力者をそれなりに揃えた上位候補。コンディションでも上回っ

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森保監督が鬼木采配から学んで欲しいこと

森保監督が鬼木采配から学んで欲しいこと

 11月3日(文化の日)にJ1リーグ優勝を決めた川崎フロンターレ。その4日後の日曜日に行われたサガン鳥栖とのアウェー戦には、前戦(浦和戦)からスタメンを6人入れ替えて臨んだ。結果は1-3。今季2敗目を喫した。しかし、そこにこそ川崎の強さの秘訣を見た気がした。

 川崎の優勝は残り試合に全部負けても揺るがないとはいえ、日本のスポーツ界には最後まで手を抜くべきでないという考え方が根強く存在することも事

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日本のサッカー界がいま、森保采配以上に憂慮すべき問題

日本のサッカー界がいま、森保采配以上に憂慮すべき問題

 オマーンにホームで0-1。W杯アジア最終予選の初戦で、いきなり敗戦を喫した日本。その第2戦対中国戦はファン注目の一戦だった。ところが、その視聴環境は劣悪だった。定額制動画配信サービス=DAZNに加入するしか観戦する手段がないという異常事態に陥ったのだ。サッカー競技の普及発展を考えれば、森保ジャパンの現状以上に憂慮すべき問題だと叫びたくなる。

 アジアサッカー連盟など、主催者が放映権を動画配信サ

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川崎の浮沈のカギを握る山根視来。「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」

川崎の浮沈のカギを握る山根視来。「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」

 つい1年ほど前まで日本代表に選ばれると思っていなかった選手が、今回もしっかり選ばれていた。W杯最終予選対オマーン戦(9月2日)、中国戦(9月7日)を戦うメンバーの中で、フィールドプレーヤーとして選出された国内組はわずか4人。その1人であるだけに貴重な存在に見える。川崎フロンターレの右サイドバック(SB)山根視来のことだ。

 右SBの候補として選ばれた選手は山根を含めて3人。他に酒井宏樹(浦和)

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川崎が独走するJリーグを、日本サッカー界はもっと心配した方がいい

川崎が独走するJリーグを、日本サッカー界はもっと心配した方がいい

 J1リーグで首位を行く川崎フロンターレと、それを3ポイント差で追う2位名古屋グランパスの一戦が、昨日(4月29日・金曜日)豊田スタジアムで行われた。

 結果は0-4。注目された首位攻防戦は、ホーム名古屋の大敗劇に終わった。勝ち点差は6ポイントに広がり、J1リーグは昨季に続き、川崎の独走状態に入ろうとしている。

 来る5月4日に早くも行われる、川崎対名古屋の折り返しの試合で、川崎が再度、勝利す

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開幕したJリーグ。サッカー競技の進歩発展に貢献するサッカーに期待する

開幕したJリーグ。サッカー競技の進歩発展に貢献するサッカーに期待する

 Jリーグが開幕した。川崎フロンターレの2連覇なるか。通常の2.5枠から4枠となった降格争いが大きな話題として取り上げられている。

 金曜日に行われた開幕ゲームでは、その川崎が横浜Fマリノスと対戦。2-0のスコアで勝利を収め、2連覇に向け幸先よいスタートを切った。

 昨年の開幕前は、横浜Fマリノスの2連覇なるかに関心が集まっていた。2019年シーズン。アンジェ・ポステコグルー監督率いる横浜FM

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今季の4-3-3とガンバ大阪宮本恒靖監督のゆくえ

今季の4-3-3とガンバ大阪宮本恒靖監督のゆくえ

 川崎フロンターレ対ガンバ大阪。元日の天皇杯で対戦した時は、1-0で川崎が勝利した。それから1ヶ月と20日後、同一カードとなったゼロックス・スーパー杯(埼玉スタジアム)では3-2。いずれも川崎が1点差勝利を収めたが、内容には明確な違いがあった。

 天皇杯は、その直後に書いた原稿に「これほど内容に差のある1-0も珍しい」と記した通り、3-0ぐらいの差を感じさせる1-0で、まさに川崎の完勝だった。一

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「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」「サイドを制したものが試合を制す」。天皇杯決勝で再認識したもの

「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」「サイドを制したものが試合を制す」。天皇杯決勝で再認識したもの

 元日に行われた天皇杯決勝、川崎フロンターレ対ガンバ大阪戦。優勝した川崎で、目に付いた選手は両サイドバック(SB)だった。山根視来(右)と旗手怜央(左)。「SBが活躍した方が勝つ」とは、かつて欧州で、監督や評論家等々を取材した際にレクチャーされた、近代サッカーの格言のようなものだが、天皇杯決勝を観戦していると、その言葉が脳裏をすーっとよぎるのだった。

 右の山根は前半2度、右サイドの高い位置でS

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首位を独走する川崎・鬼木監督は、交代枠使用率でも唯一「パーフェクト」を達成中

首位を独走する川崎・鬼木監督は、交代枠使用率でも唯一「パーフェクト」を達成中

 2ヶ月前(7月17日)、5人増えたメンバー交代枠を最大限有効に活用しているJ1リーグ監督は誰かという原稿をこの欄で書いた。

 交代枠をフルに使う監督は、枠を余したまま試合を終える監督より、選手から信頼されやすい。チームの士気は高まりやすい。日程がタイトになればなるほど使える選手、選択肢となる駒を多く抱えるチームが有利になる。降格のない今季は、実験を試みやすいシーズンでもある。選手交代は、監督の

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森保ジャパンは川崎フロンターレのサッカーを見習うべし

森保ジャパンは川崎フロンターレのサッカーを見習うべし

 鹿島アントラーズ(2016年)→川崎フロンターレ(2017、2018年)→横浜Fマリノス(2019年)。過去4年、Jリーグの優勝チームは、上記のように推移してきた。昨季は横浜が、鹿島(3位)、川崎(4位)の間に割って入り、2強時代を終焉に導いた。

 鹿島、川崎の巻き返しはあるのか。横浜の勢いは続くのかーーとは、過去4年の関係性に基づく今季の見どころになる。

 この中で鹿島はスタートダッシュに

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