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平成期最大のルール変更に対応できなかった日本人の代表監督たち

 サッカーはルール変更が少ない競技として知られる。その普遍的な枠組みが競技力の向上を促している。明快なルールが普及発展を支えているという印象だ。とはいえ変わったものもある。

 一番に来るのは、まだ日本で本格的に採用されていないVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)だろう。ビデオ判定といえば、いかにも客観的な視点に基づく公平なジャッジのように聞こえるが、裁くのは主審だ。テニスのように、ビデオを見ればすべてがクリアになる単純作業ではない。判断が難しいシーンはいくらでもある。ハンドを取ってもいいし、取らなくてもいいし、という微妙なシーンが多くを占める。

 主審の顔はテレビ画面(あるいはスタジアムのスクリーン)にこれまで以上に長時間、大写しになる。審判は中立公正な存在だと決めて掛かり、判定問題から目を反らしてきた日本のメディアも、さすがに意見を言わなければならない状況に追い込まれる。主審の存在感はよくも悪くも増す。令和と共に、ぬるま湯からカオスの中に主審はいきなり放り出されることになる。心配である。

 オフサイド、ハンドの考え方、GKの5ステップルール、イエローカード、レッドカードの解釈の変更などもさることながら、個人的にはメンバーチェンジが一番大きな変更だと考えている。

 交代枠が2人だったのは、W杯で言えば94年アメリカ大会まで。98年フランスW杯から3人制になった。そして2018年ロシア大会からは延長に突入した場合のみ4人まで認められることになった。

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