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競技の魅力をもっと語れ。いまなら、全英女子ゴルフが面白かった理由だ

 ツアーの形式、メジャー大会の在り方、勝利の重みや勝者のステイタス、世界的な認知度、競技の世界性等々、テニスとゴルフは似通ったレベルにある。テニスにはダブルスもあるが、どちらも基本的には個人競技で、世界の最高峰に君臨している。渋野日向子選手の全英女子オープン優勝はそうした意味で画期的。偉大な成績だ。

 双璧の関係にあるのは大坂なおみ選手。日本人の男子選手3人が9秒台の記録を持つ陸上の100mもそれに迫るものなのかもしれない。サッカーファンとしては、苦し紛れにというか「久保建英も負けてないぞ」と向こうを張りたくなるが、それはともかく、渋野選手の今回の快挙には、他を寄せ付けぬ面白さが内包されていた。正真正銘のエンターテインメントを見た気がした。

 42年前(1977年)に樋口久子さんが全米女子プロを制した時、こちらは10代だったが、その模様を日本で視聴することはできなかった。優勝したというニュースは耳にしたが、試合展開は聞かされなかった。

 それが今回はテレビ観戦を通して手に取るように伝わって来た。

 確かに歴史的ではある。笑顔を絶やさず、観客とハイタッチをしたり、駄菓子をほお張りながらプレーしたり、渋野選手が従来の選手像を覆すイカしたキャラの持ち主であることも、優勝に華を添えた要素になるが、それはまったくメインではない。副次的な魅力に過ぎない。渋野選手の全英女子ゴルフ優勝を語る時、外せないのは試合展開になる。

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