イスタンブール

川崎F対名古屋をCL級に押し上げるためには

 金曜日に行われたJリーグ、川崎フロンターレ対名古屋グランパスは1-1の引き分けに終わった。内容で上回ったのは名古屋。55対45ぐらいの僅差ながら、その差にはそれなりの意味があった。

 だが、その違いについて触れる前に、一歩引いた視点に基づき試合のレベルについても言及したくなる。Jリーグの上位対決。CLなど欧州のトップと比べて何が違っていたか。

 Jリーグにおける他の一般的な試合より楽しめたことは確かだ。川崎F、名古屋以外のファンにも十分訴求する力があった。しかし、片方が攻めると片方が守る試合で、高い位置でお互いがつばぜり合いを繰り広げた試合だったかと言えばそうではない。物足りなさを感じたとすればそこになる。まだまだ緩い試合だった。

 試合のレベル、競技のレベル、選手の技術レベルは、プレッシングの度合いに比例して向上する。ボール操作に時間的余裕がない、厳しい環境に身を置かれれば置かれるほど上達する。競技的な魅力の最大値を更新し続けている欧州サッカーを見ていると、そう思わずにはいられない。プレッシングは競技力向上の原動力として、欧州サッカー史に強い影響を与え続けてきた。

 今季、一番の推進役を演じたのはリバプールになる。逆転劇を生んだ理由でもある。高い位置から行くその圧倒的な姿勢により、サッカーの魅力はいっそう浮き彫りになった。

 リバプールとプレッシングとCL。この3つのお題から想起するのは、イスタンブールで行われた04−05シーズンの決勝だ。

 0-3で折り返しながら3-3とし、延長PKで大逆転勝利を収めたミランとの一戦である。後半の開始時からミランの楽勝ムードが一変した理由は、リバプールが仕掛けた猛烈なプレッシングに原因があった。

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