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欲しい暮らしをDIYするために -(一社)まるにわ 齋藤浩文 谷口俊博-

「鳥取大丸の屋上に芝生広場をつくろう!」そんな呼びかけで空間活用が始まった鳥取駅前のデパート”鳥取大丸”。屋上には円形の芝生”まるにわガーデン”があり、ビアガーデンの横で子供たちが走り回って遊ぶ様子が起きたりしている。

そんなJR鳥取駅の周辺(主に鳥取大丸の屋上、軒先)で人のモチベーションと遊休施設をつなぐ動きをしている”まるにわ”からメンバーの齋藤浩文さん、谷口俊博さんにお話しを伺いました。

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(取材前には地元FMの公開収録に参加している画面奥左が谷口さん、右側が齋藤さん)

一般社団法人まるにわとは

齋藤:「一般社団法人まるにわとは、JR鳥取駅周辺にて、チャレンジしたい事業者と遊休不動産をつなげて、欲しい暮らしを作っていく団体です。法人のメンバーは4名。みなさん本業が別にある中で協力して事業を行なってきています。今年で法人としては3年目になります。最初の年は、立上げのキッカケにもなった鳥取大丸の屋上の空間活用およびクラウドファンディングによる芝生空間の創出を行いました。2年目には、屋上や軒先での屋台BAR(#今日のサイトウ)の実施などを行ない、大丸軒先のマーケット企画の立上げに一部関わりました。2019年度は民芸館通りに焦点を当てて、民芸をキーワードにした勉強会なども実施しております」

齋藤:「メンバーが副業といいましたが、私が地元金融機関の行員であったり、デザイン・ものづくりを手掛ける事業者、町のペンキ屋さん(塗装業)やNPO法人経営、建築士の資格をもった人など専門分野を持った人材が集まっていて、役割分担をしながら実施しています」

齋藤:「けっこう遡るのですが、僕は鳥取出身ですが大学時代は鹿児島で建築を専攻していました。もともと建築を選んだのはものづくりが好きという理由だったのですが、大学に行き寝る間も惜しんでモノづくりをしていく同級生を見て、自分は違う視点で関わる方が向いているなと、鹿児島の街に飲みに行ったりしていた中で、まちの仕事やお金の流れや仕組みに興味もちまして、研究室の専攻もそちらを選びました」

その後大学院も鹿児島で過ごし就職で地元金融機関を選び帰ります。

齋藤:「銀行では最初は支店に配属し、仕事として街に関わり切れずにいました。たまに街に関わる機会を少しずつ得ながらも、そこまでガッツリは関われていませんでした。そんな時に鳥取市でリノベーションスクールや講演会などの流れが起きます。たまたま大学時代の恩師がそこに来られる機会があり、鳥取言えば齋藤だと、久々にお話をすることになりました。そこで喝をいれてもらうんですね。自分自身が街に踏み込めてなかったなと痛感しました。ちょうど金融と建築とまちづくりの接点だなと感じたので第一回のリノベーションスクールに申込みます」

第一回のリノベーションスクール鳥取では、ブックカフェが提案されメンバーの一人がそこで創業することになりました。そして第二回の開催も決定しグループの中心人物であるサブユニットマスターを務めることとなります。

齋藤:「その時の案件が鳥取大丸の屋上のリノベーションでした。大丸は昔から家族と行っていたし、思い入れのある場所なので面白いなと。結果的に屋上の案件は自分たちで積極的に関わりたいなと考え、リノベーションスクールのユニットメンバーを中心に、足りない機能を補える人に声をかけて組織を立上げました。そこからの3年はあっという間でした」

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(屋上のお掃除ワークショップ)

谷口:「僕は親戚に大工さんがいて中学生の時からお手伝いしたりしていました。夏休みはずっと行ってましたね。その後、友人のお兄さんが建築系に進学したりで具体的にイメージするようになりました。高校を卒業後は大阪の専門学校に進み、そのまま大阪の会社で8年間働いてから鳥取に戻って8年という感じです。大阪では民間建築に関わって、鳥取では公の建築に関わることが多かったです。そんな時に鳥取の建築関係の知合いにリノベーションスクール参加しなよ!って誘っていただき・・・でも僕、第一回は選考で落ちてるんですよね。それで悔しくてリベンジしたのが第二回、そこからは齋藤さんと同じユニットになり、大丸案件に協力していく感じです。」

谷口:「鳥取に戻ってきて公共建築に関わるなかで、最大公約数のための建築だけじゃなく、お客さんが具体化されている建築に関わってみたいというのもありました。もちろん、公共建築と民間建築の役割分担は理解しているので、どちらが良い悪いではないですけど、誰かが徹底的に使い倒してくれる建築ってのを考えてみたかったんですよね。」

齋藤:「大丸屋上の具体的な動きをしている時は米子に転勤になってたよね、鳥取に週末通いながら進めてた気がする」

谷口:「鳥取市でまるにわの事をやって駅前に宿泊して朝、米子に向かうとかありました」

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谷口さんは今でいうプロボノ(専門的な技術を提供するボランティア)として、物件の建築士としてのアドバイスから市民参加の芝張りイベントなど具体的な作業まで一緒にやってきました。

まちづくりにおける自分たち世代のポジション

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そのような流れで2016年11月にクラウドファンディングで予算も集めた屋上庭園”まるにわガーデン”がオープンする。この芝生広場の設置をキッカケに、鳥取大丸やJR鳥取駅前を活用した動きを始めていきました。中で動く二人が感じる”まるにわ”のポジションについてどう捉えているのか。

齋藤:「一つは事業体として小さく始める見本が見せられたら良いし、プレイヤー(創業者)と場をつなぐの可能性として成り立つこと。もう一つは、関わる人の専門性が活かせるプラットフォームやハブのようになって、仕事を作ったり、コーディネートする機能”だと考えています。前者は家守事業になりますし、後者はコンサルティングなのか、業務委託のコーディネーターのようなポジションですね」

齋藤:「まるにわに関わることで、銀行のなかでも「地域系は齋藤」のようなポジションが取れるようになりました。今後の金融機関の人間は、仕事の守備範囲が広くなっていくので、どこか従来ではふれてなかった能力や、つながりを持つことが行員としての強みになると思っています。自分は意図的に街に出るようにはしていました。そういう若手社企業人のレベルアップや多様性に寄与できるような機能が、僕らに求められている気もします。他の業態との接点があることで、自分の業界では不足している部分も学べる、そんな環境や関係性を作れる場所ですね」

齋藤:「もう一つは世代としての関わり方、自分が30代中盤になって、20代や大学生とも会う機会があって、ミレニアル世代やz世代の価値観にもふれることがあります。判断軸や哲学が変わってきているなと感じます。一方で、親世代ともつながりはあります。これまでを作ってきた世代。地域ではまだ発言力は上の世代が大きいけど、僕らよりも下の世代の声や感覚をどう伝えるのか、そこが街をつくるポイントだと思っていて、うまく間に入っていくのも大事かなと思っています」

”まるにわ”を経験して知った鳥取でチャレンジする面白さと難しさ

齋藤:「本業が別にあるメンバーが主体のチームなので、お互いの専門性がいかせる、役割分担ができることは大きいです。また各自の得意なことが違うからこそ、任せて進められる強さはあると思います、一方でみんな忙しいので、展開のスピードがゆっくりだったり、集まるのが難しかったりします」

齋藤:「今の法人メンバーの他にも、初期はリノベーションスクールのユニットメンバーが一緒に動いてくれました。今は次のプロジェクトに向けて協力してくれる社会人が出てきたりしています。そういう関わる人が、変化しつつも増えていくと良いと感じています。新しい専門性がふえますし、単純に楽しい」

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(2年目に実施した屋台BARはお客さんだけでなく、BARに立つ人、料理提供など連携体制で実施した)

谷口:「鳥取だと行政関係の人と近いってのも特徴ですよね。鳥取市のリノベーションスクールは担当行政の方がかなり熱心だったりしたので、その辺のやり取りができるってのが面白かったです。僕らの案件の企画も手伝ってくれたりしました。大阪にいたときはそういう事が起こるなんて想像できなかったですから。地域内の関係者がお互い知っているというのも強いかなと思います。」

齋藤:「行政と民間が近いということで、若手金融マンで地域といえば齋藤という感じで組織外の評価が伝わりやすいのも良いかもしれません。若手ほど動けば、その成果が本業に返りやすいかもしれません。さっきも話したように、特に金融機関はこれから守備範囲が増えていくわけなので、融資の勉強だけじゃなくて、まちのことにも詳しいとか。それぞれの得意分野を作っていけば必ず活かせる場があると思います」


今後やってみたいこと、”まるにわ”に関わりたい人へ

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(地元FMラジオ(FM鳥取)でも同じことを聞かれていました)

齋藤:「さっきもラジオで少しお話ししたのですが、JR鳥取駅周辺エリアのビルをリノベーションする企画で動き始めています。まずはそこの企画で成果を生むことが大事だと思っています。」

谷口:「エリアの遊休不動産の活用を一緒に考えるという部分にこだわりたいなと思います。大きな建築にも関わってきた中で、誰かが使い倒す建築の部分に注力できれば良いなと思っています。」

もし、都会の人や鳥取出身者が”まるにわ”に関わりたいとしたらどうすれば良いですか?

齋藤:「今の企画のプレイヤーが欲しいと思うので、サポートメンバーで良いので、一緒にビルの活用を考えてみたい人はお話ししたいなと思います。民芸に関する動きで企画をやりたいという人もOKですし、駅前で創業などを考えている人でも声はかけて欲しいです」

谷口:「”まるにわ”にはサポートメンバーがたまに入ったりしてますからね。ウェルカムです。」

齋藤:「春に向けていろいろ動き出す予定なので、連絡いただけば一緒にできそうなことを一緒に考えたいと思います。よろしくお願いします」

鳥取駅周辺の最近の新しい動きには”まるにわ”が関わっていることが多かったことがわかりました。春に向けて更に大きな動きがあるそうです。欲しい街をDIYしていく”まるにわ”の今後の動きにも注目したいですし、一緒に考えて動いてみたい方は是非、お問合せください。

連絡先
一般社団法人まるにわ
(web) https://maruniwa-tottori.com/
(SNS) https://www.facebook.com/maruniwa.tottori/

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